|
タイトルや文庫の表紙に騙されてはいけない。なかなかヘビーなホラー・ミステリィで、ドキッとする場面も多い。心臓の悪い方は要注意だ!
夏休み前の終業式の日。先生に頼まれて、欠席した友人の家を訪れた主人公の小学生。そこで、彼は首を吊って死んでいるS君を発見する。ところが、その死体は忽然と消え、一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れる。はたして、S君の死をめぐる衝撃の真相とは?
私はこの小説を勝手に「オセロ小説」と名付けた。あのゲームのオセロだ。最初は白一色の盤上がストーリーの展開とともに次々に黒に変えられていく。白は善、愛といったプラスの要素。黒は反対に、悪や裏切りといった要素と考えてほしい。
一般的な小説では途中に黒の要素が増えながらも、最後は白が優勢になったり、白への期待をつなぎながら終わるケースが多い。いわゆる「読後感のさわやか」な小説だ。ところが、この作品では、そのような前向きな期待を次々に消し去っていく伏線が潜んでいるのだ。読後感は最悪に近い!
評価も真っ二つに分かれる作品だが、私の評価はやや厳しい。前半ではある意味、さわやかに裏切られながら、「この作者はスゴイ!」と思わせる展開が続くのだが、後半になってくると、白から黒へと変わる局面にかなり無理を感じてしまうのだ。「生まれ変わり」も大きなテーマの一つなのだが、後半の設定にはやや強引なところがあり過ぎる。
道尾氏はとにかく、「100%、読者を裏切る小説」を書きたかったのではないか。最後のページで「オール黒」は完成するが、あまりにも唐突だし、救いが無い。
救いのない世の中には、やっぱり救いは大切でしょ?
|