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やりました!やっとめぐり合えたのです。時間を忘れて読み進めることが出来る東野圭吾氏の作品に!
タイトルは「どちらかが彼女を殺した」。少しばかりストーリーを。一人の女性が部屋で変死しているのを発見したのは警察官の兄だった。部屋の状況から自殺とも思われたが、兄は殺人との確信を抱く。怪しいのは2人。妹の学生時代からの女友達と、妹の以前の交際相手の男性。いわゆる3人は三角関係にあった。逮捕よりも復讐の気持ちを抱きながら、兄は事件の真相に迫っていく。
この作品はとにかくスリリングにストーリーが展開していく。読者の目線はいつしか兄の目線にすり替わり、我がことのように事件を見つめる自分を発見するだろう。RPG(ロールプレイングゲーム)がゲームならば、RPN(ロールプレイングノベル)という感じで一気に読んでしまった。
おなじみ加賀恭一郎氏も事件の真相を追う兄を時に牽制しながら、違う角度から事件を解明していくのだが、2人のコラボ感もきわめて爽快なのだ。決してキャラ的に濃いわけでもない加賀氏だけに、このような絡み方のほうが輝くのかもしれない。
実はこの作品では最後まで2人のうちどちらが犯人かが、作者によって明示されることはない。兄と加賀氏の推理を基に、読者自身が最後の推理をするという形式なのだ。実際にネットでは、どちらが犯人かを東野ファンが推理しているサイトがいろいろある。ただ、私から言わせれば、どちらが犯人でもかまわないという気持ちにさせてくれる作品なのだ。最後の最後に亡くなった女性をめぐる真実も明らかにされるし、2人の容疑者の気持ちも手に取るように分かる。つまり、この作品はミステリー形式のヒューマンドラマノベルなのだ。
そういう意味では、東野氏はミステリー作家でありながらも、トリックよりも人間の心理描写や心の揺れなどを表現するのが上手い作家なのだなと実感した次第だ。
これで東野氏の作品にどっぷりと浸かれそうだ!
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