トポロジーから物理学へ

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『時間のない宇宙』ユウグロー
 日本の憲法の矛盾を指摘したのは三島由紀夫だが、米国の憲法を指摘したのはゲーデルである。一方はボディビル、他方は菜食主義で晩年は拒食症で亡くなった。
 数学で論理を追究することは果てしもない話で、古代のピタゴラス学派の無理数や近代のライプニッツからコーシーに至る無限小、そして現代のカントールによる無限大の探究以上のものがある。
 しかし、それを解明したゲーデルが、晩年アインシュタインと討議を続け、相対論から宇宙の論理、と言うか本質的に宇宙の構造と言い直していいようなものとして解明しようとしていたものがある、それは時間を完全に幾何学化してしまった果てに視る世界であるというのが本書の主題である。アーベルやガロア、リーマンのような夭折した天才数学者以上にこれは身に詰まされるようなあまりに哀しいエピソードを含んでいる。
 日本で思想や哲学の分野でゲーデル問題として扱われたのもあくまで不完全性定理の方で、ゲーデルの宇宙論は知られていなかったし、未だに知られていない。

 ゲーデルの理論でタイムマシンが可能になるとは思えないものの、ゲーデルが宇宙論に科学革命を迫っているのは意識を論じた現象学を通じてであったというのは何とも示唆的であろうし、それ以上に無意識の構造を超えたところに意識現象を仮に精緻なトポロジー幾何学ででも解明できるものがあるとしたら、宇宙を知性の一部として相対化し知性こそが一般理論として統一論となり得るという事をまで想定し展望する事が考えられるかもしれない。
 
 本書の論文リストには含まれていない以下の論文が重要である。
「アインシュタインの重力場方程式における新タイプの宇宙論的解の一例」現代物理学論叢1949.7
"An example of a new type cosmological solutions of Einstein's fields equations of gravitation,"Reviews of Modern Physics,vol.21,No.3,pp.447-50,July 1949

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