キャピトンよ さようなら

風花雪月あと少しです。ここで挫けないようにがんばります。

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風花雪月 64

 
 
「殿下、チェギョンとの結婚は考えなおしてくれませんか」
 
アッパの発した言葉に頭と心が凍りつく。
 
カンガエナオシテクレマセンカ…。
 
何で?アッパは私達の結婚に反対なの!?
 
「正直に言えばこれが私達の気持ちだ」
「あの…」
 
アッパの言葉にシン君ですらまともに言葉にならずにいる。
 
「酷いよアッパ!アッパは私に幸せになって欲しくないの?私が大好きな人と結婚するのに反対なの?」
「チェギョン落ち着きなさい」
 
「落ち着けるわけないじゃない」
「私達が心配してるのはそれだよ」
 
「はっ?何言ってるの?」
「チェギョン落ち着け」
 
シン君までもが私に落ち着けって言うの?何で、何でそんなに冷静なのよ!
 
「アッパなんて・・・」
「チェギョン!!」
 
大嫌い。そう言おうとした言葉はシン君によって遮られた。
 
「これがチェギョンの本来の姿です。まだまだ子供で自分自身で理解する事も人の話を冷静に聞き入れることもできない。このままの状態で結婚など二人の為にも良くないのではないかと思うんだよ」
 
はっ!?何?どういう事?
隣に座るシン君に視線を向けると真剣な眼差しで見詰めてくれていた。
 
 
「大丈夫です。チェギョンになら理解できるはずです」
「皇太子殿下と結婚をするという事は将来国母になるという事だ。私は君たち二人の結婚に反対するつもりはない。だが、今のチェギョンには荷が重すぎる。今のままでは早すぎる」
 
「あ…」
 
アッパの紡がれた言葉に自分自身の行動を思い知らされる。
シン君との結婚はいずれは皇后になるという事。分かっているようで理解していなかったのだと今更ながらに気付く。
 
俯く私の手を包み込む温もりに視線を上げると優しく微笑みかけるシン君。
その微笑みはまるで安心しろと語りかけているようだった。その視線をアッパに向けるとシン君は落ち着いた声色で話し始めた。
 
 
「ご心配はもっともだと思っております。
僕達はまだ高校生でまだまだ親の脛をかじり甘えたり我儘を言ったり、やりどころのない感情を親の気持ちも考えずぶつけてしまう事もあります。僕は完璧な皇太子妃を迎えようとは思っていません。実際私自身もまだまだ完璧な皇太子には程遠いのですから」
 
「殿下。殿下は陛下がご療養されている間に随分と成長されました。そのお姿を拝見するたびに立派になられたと心より感じておりましたよ」
 
「私はこの数か月色々な経験をさせて戴く事で自分自身少なからず変われたのではないか、前に進めたのではないかと感じています。でもそれはチェギョンが傍に居てくれたからこそなんです」
 
「チェギョンが…」
 
「チェギョンが傍に居てくれたからこそ強くなりたいと思えました。人の気持ちを思いやれる人間になりたいと思えました。何よりも彼女を守れる人間になりたいと。
その想いが私を動かしていたのです。そして多くの方々の心に触れ随分と助けられてきました。それもチェギョンが居たからこそなんです。
チェギョンだけでなく私自身もこれから学び成長していかなければならない事が山のようにあります。チェギョンとなら乗り越えられる、共に成長出来ると思えるのはチェギョンだけなんです。僕達の結婚をお許しいただけませんでしょうか」
 
シン君の言葉に涙を浮かべながら隣で深く頭を下げるシン君と共に私も床に頭を付けた。
シン君の気持ちが嬉しくてそれ以上に感情的になってしまった自分を恥ずかしく思う。
 
 
「チェギョン」
 
アッパの呼びかけに顔を上げると先程の厳しい表情ではなく、優しさの中にも少しだけ悲しそうな表情で見詰めるアッパが居た。
 
「はい」
「殿下はこう仰ってくれているがお前はどうなんだ?皇太子妃になるという事を甘く見ていたのではないか?」
 
「アッパ…。お父様、先程は取り乱してしまい申し訳ありません。殿下とは比べ物にならない程未熟で何かあればすぐに甘えてしまう私です、お父様達の不安も良く分かりました。それでも私は殿下と共に生きて行きたいと思っています。殿下を支えられる人間になれるよう努力していきます。殿下の元に嫁ぎます」
 
「そうか」
 
最期は涙混じりで上手く言葉にすることが出来なかった私の声にアッパは静かに呟くと殿下の前に膝を付頭を下げた。
 
 
「殿下。ご覧の通りチェギョンはまだまだ子供です。でも人を愛する真っ白な心と優しさに溢れた子です。未熟な娘ですが大切に育てて来た自慢の娘です。チェギョンの事どうか宜しくお願いします」
 
「ありがとうございます!」
 
 
その言葉に弾かれたように顔を上げたシン君と私は声を揃えた。両親の瞳にも涙が溢れ私の為を思って厳しい言葉を継げてくれたのだと気付く。アッパ達が心配しない訳がない、それなのに自分の事しか考えていなかった事が凄く恥ずかしくて、でもそれ以上に私を大きな愛情で包んでくれていたアッパの気持ちが嬉しかった。
 
 
「シン氏。チェギョンの事は私たちも見守って行きます。この二人に至らない事があれば国民が黙っていないでしょう。まだ若い二人ですが一緒に見守って行きましょうぞ」
 
「陛下よろしくお願いいたします」
 
「シン。チェギョン。お父上とこれからの話を取り決めなければならない、二人はゆっくりしていなさい」
 
 
おじ様の言葉にシン君は自分も同席すると言ったけど、ここからは親同士話をすると言い切られ仕方なく私の部屋で待つことにした。
 
 
 
 
 
 
私の部屋に入るなり大きく息を吐きだしその場に崩れるように座り込むシン君に驚きながら駆け寄ると腕を掴まれそのままシン君の胸の中に閉じ込められた。
その胸は凄く暖かくてシン君の温もりが私を落ち着かせてくれている。
 
 
「緊張したぁ」
「ふふっ。シン君お疲れ様でした。でも最高にかっこよかったよ!ありがとう」
 
「この結婚は考え直してくれないかと言われた時、心臓が止まるかと思った」
「ごめんね。私あんなに取り乱して」
 
「いや、そのお蔭でお義父さんの本当に気持ちが聴けたからな」
「うん。私皇太子妃になるって事を甘く考えていたのかもしれないって気付いた。もっともっと頑張って素敵な女性になれるように努力するからね」
 
「チェギョンはそのままでも十分素敵な女性だよ。お義父さんも言ってただろ、自慢の娘だって」
「だって、私直ぐに甘えちゃうし我儘言っちゃうし」
 
「いいんだ!お前の甘えたな部分も可愛いし、俺にだから我儘だっていうんだろ?」
「もう!シン君がそれじゃ私成長しないじゃん」
 
「ははっ。お前はきっと素敵な皇太子妃になるよ。多分すぐにお妃教育も始まるだろうしな。俺が甘やかしたって担当になる尚宮が甘やかさないだろうから俺には甘えていいんだよ」
 
「そんな事言われると…」
「そんな事言われると?」
 
 
優しく笑顔を向けるシン君の首に腕を回し今まで以上に密着するようにシン君の首に顔を埋めるとそのまま耳元で囁いた。
 
「ずっと甘えていたくなっちゃうよ」
 
 
 
シン君は急に私を引きはがすとスタスタと歩きだしソファーにドカッと腰を下ろした。
 
「えっ?何?シン君??」
 
そんなシン君の行動に何が起きたのかわからない私はアタフタとシン君の傍に駆け寄りその顔を覗き込もうとしたのに、顔を背けたままこれ以上私が近寄らない様に私の肩を押し返す。
 
「なんで?シン君怒ったの」
 
私の不安な声にも「違う」とぶっきら棒な声を返すだけでその表情は全く見えないけど微かにシン君の耳が赤くなってる?
 
「シン君耳が赤い、どうしたの?」
 
尚も不安で呼びかけると大きく息を吐き出したシン君がもう一度私を胸の中に閉じ込めたけどその行動が早すぎてシン君の顔を見る事すらできなかった。
 
「チェギョン」
「ん?」
 
「あんまり可愛い事言うなよ」
「はっ?」
 
 
言葉の意味が分からない私は顔を上げようとするけれど抱きしめる腕の力が強すぎて顔を動かす事すら出来ずもがく事しか出来ない。
 
「やっと結婚を許して貰えたって事だけでも舞い上がってるのにチェギョンにあんな顔されてもっと甘えたくなるじゃんなんて可愛い事言われたら我慢できなくなる」
「えっと…何を我慢するの?」
 
「だからぁ。俺の自制心総動員してお前に触れたいのを我慢してるのに、そんな事されたら俺の理性が何処まで続くかわかんないって事!分かったか?」
「あ…ごめ…」
 
 
私の言葉は最後まで発することなくシン君の唇で塞がれた。それは凄く優しいキスでシン君の言葉に焦り出した心を落ち着かせていくような優しい優しいキスだった。
 
ドアをノックする音と共に離れた唇が少し色づいていてそれを目にして真っ赤になった私の目の前にオンマが用意してくれた紅茶が並んだ。
 
 
「チェギョン。良かったわね」
「オンマありがとう。それと心配かけてごめんね」
 
「親が子供の事を心配するのは当たり前の事でしょ。でも、あの優しいだけで気の弱いお父様が陛下の前で頑張ったわねぇ。オンマもちょっと惚れ直しちゃったわよ。後でお父様にもちゃんとお礼をいいなさいね」
「うん。分かった」
 
「殿下。チェギョンの事よろしくお願いします」
「はい。大切にします」
 
「でも、お父様の前ではあんまりイチャイチャしないであげてね。娘の結婚が決まった父親は傷心中だから」
 
手をひらひらと振りながら出ていくオンマの言葉に固まる私たち。
 
「まさか見られてないよな」
「どうだろう…」
 
 
オンマの言葉に顔を真っ赤にさせるシン君が可愛くて「甘えさせてあげる」と言って両腕を広げる私に「ばーか」と顔を背ける。そんな些細な事も幸せでこれから二人で歩き出す未来が近づく事にドキドキしながら他愛のない会話をしながら陛下達の話が終わるのを待っていた。
 
 
これからの未来に少しの不安と大きな幸せに包まれ私たちは歩き出す。
シン君に守られるだけじゃない。大切な貴方を守れる強くて優しい女性になれるように。
 
 
 

風花雪月  63

 
 
済州島での3日間は俺にとって色々な意味で成長出来る時間だった。
チェギョンの覚悟、両親の優しさ、そしてシファヒョンの想い。
その全てに報いたい。これからの俺の生き方でこの感謝を表していかなければと心に誓った。
 
そして今シン家の門前で父上と共に肩を並べその時を待っていた。
 
「シン大丈夫か?」
「不思議ですね。今は落ち着いています。夕べは眠る事すら出来ない程緊張してたって言うのに可笑しいです」
 
 
昨夜チェギョンとの電話を終えた後、緊張のあまり寝付く事が出来ず心臓が高鳴っていた。
未だに押せないインターフォンの前で大きく深呼吸をしていると、誰かの足音が近づいてくる。一定のリズムを刻むその音は俺の心を静めるかのように知らぬ間に同調していく。
その音がすぐ近くに聞こえ視線を向けるとそのリズムは静に止まった。
 
「…ヒョン」
「シン、それに皇帝陛下まで、先日は大変お世話になりました。とても有意義な時間を過ごす事が出来ました」
 
「シファか。私達の方こそ楽しませてもらった。世界的なピアニストが奏でるメロディーを独り占めした気分だよ」
「未来の…ですけどね。一日も早くご期待に添えるようがんばります」
 
 
シファヒョンと父上の他愛のない会話を聞きながら、ヒョンにとってどう有意義だったのかを考えてしまう。
大きな決断を決めたのは俺達だけではない。ヒョンにとっても決断の時だったはずだ。
 
 
「陛下。こんな時に大変申し上げにくいのですが、どうやらシンが私に話があるようなので少しだけお借りしてもよろしいですか?」
「ははっ。さっきからシンは固まったままなんだ、この緊張を少しほぐしてやってくれ。私は車の中で待っている」
 
 
笑顔を残し父上は一度車に乗り込んだ。
正直、今ヒョンと話す事が俺にとっていい事なのか悪い事なのか判断が付かない。ただ、今ヒョンから逃げ出す事だけはしたくなかった。
 
「すぐに済むから」
 
ヒョンの言葉に頷きながら少し後ろを歩く。数歩先に進んだベンチに腰掛け俺達の周りはイギサが遠巻きに取り囲んだ。
 
 
「シン。チェギョンのご両親に挨拶に行くんだろ?」
「ええ。知っていたんですか?」
 
「ばーか、お前の表情を見れば誰だってわかるって」
「酷い顔してます?」
 
「酷い顔っていうんじゃなくて、戦いにでも行くみたいだ」
 
戦いに行く?でもある意味戦いより激しい感情かもしれないな。
 
「心配するな。大丈夫だから」
「これは心配なんでしょうか?」
 
「恐れだろうな」
「ですよね」
 
「骨は拾ってやる。だから安心しろ」
「拾って頂かなくて結構です」
 
 
ヒョンらしい励まし。骨を拾ってやるとはっきり言うくせに、後の事は自分に任せろとは絶対に言わない。
それだけ俺の事を認めてくれているという事がジワリと伝わってくる。
 
 
「なんか勇気出ました」
「骨を拾ってもらえるからか?」
 
「ええ。その腹黒そうな笑顔のおかげでね」
「俺のどこが腹黒なんだよ」
 
 
ほんの一瞬の事だった。何をいうわけでもなく人の心を解いていくこの人を俺はこれからも追いかけて行くんだと思う。少しだけ悔しいけどいつまでも憧れの存在でいて欲しいから。
 
「ヒョン」
「ん?」
 
「行ってきますよ」
「おお!俺もジョギング行ってくる」
 
 
またなと手を振るヒョンの後姿に頭を下げた。
いろいろな事を教わった。あの人がいたから俺は成長する事が出来るのだと思える人。
 
再び門扉の前に立ち、今度はすんなりとインターフォンを押した。
中から聞こえる騒がしい声に自然と笑みが浮かんでくる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
学校から戻ると家中がキレイに整えられていた。
いつもお手伝いしてくれるおねーさんたちがキレイに片づけてくれてはいたけど、今日はいつにもまして凄い。
玄関を開けたらびっくりするほど大きな花瓶に活けられた花?枝?…フラワーアレンジメントと日本の生け花の融合らしいけど凄すぎる。
廊下に敷かれた絨毯さえも変えられている。朝はいつもと変わらなかったはずなのに、そんな時間あったのか?と関心しちゃった。
 
 
「オンマ。ただいまぁ でっ!?」
「チェギョンおかえりーっ」
 
「何してるの?」
「え?お料理だけど?」
 
「それ誰が食べるの?ってかオンマが料理?アッパは?」
「アッパは寝込んでるからオンマが変わりに作ってるんだけど、これだけじゃ料理たりないよね」
 
 
キッチンの作業台に所せましと並べられた料理達。きっと宮廷料理を作ったんだろうけど、どんな料理か皆目見当もつかない。だけど、今日はそんな料理なんて必要ないでしょ!
 
「オンマ。シン君達が来るのは夜だよ」
「わかってるわよ!だから夕食を用意してるんでしょ」
 
「今日は結婚の許しを貰うだけで、食事は済ませてくると思うよ。それに陛下もシン君も宮以外で食事出来ないの知ってるでしょ」
「あ・・・」
 
うん。気付いてくれたんだね。うれしいよ。
だけど「あ」って言ったきり唇とじないし、手は止まってるし、完全に思考停止状態なのはわかるけどさ。
それ以上に気になるアッパの事。
 
「オンマ!オンマーーーーっ」
「え?あっ、そうよね。食べられないわよね。じゃこれご近所に」
 
「そうじゃなくて!アッパ寝込んでるって何?」
「あぁ、緊張から来る動悸、息切れ、心臓発作だって」
 
「心臓発作?」
「冗談にきまってるじゃない。ただ、落ち着かないんだと思うわ」
 
「アッパ、反対なのかな?」
「心配はしてるけど反対はしてないわよ。皇太子殿下あけだったら言いたい事もあったらしいけど陛下が一緒じゃ何も言えないでしょ。あの気の弱さがいいところでもあり悪い所でもあり…。」
 
「言いたい事って?本当はだめだって言いたいのかな?」
「だから、心配はしてるけど反対はしてないって言ってるでしょ。そろそろ起こして来て。陛下達が来る前に食事もしてお風呂入ってすっきりさせてあげたいから」
 
 
オンマに背中を押されアッパの眠る寝室へ向かった。
寝ていたはずのアッパは立ち上がり窓の外をジッと眺めていた。その表情がいつものアッパとは少し違っていてなんだかカッコイイなぁなんて思ってしまった。
 
 
 
 
 
 
家中にインターフォンが響きシン君の到着を伝える。
 
「はーーーいっ」
 
 
インターフォン越しではなく直接声を張る私にオンマの怒り声が届いたが今はそんな事は気にしていられない。
勢い良く門を開くと大好きなシン君。その横に先日まで一緒に過ごしたシン君のお父様である皇帝陛下。
そしてコン内官とキム内官。イギサのお兄さんたち。
自分の登場の仕方がそぐわない事に気付いても今更、だよね。
 
 
「皇帝陛下。ようこそお越し下さいました」
「ははっ。チェギョン堅苦しい挨拶はここではいらない。中に入れてくれるかな」
 
「はい。おじさまお入り下さい」
「シン、私は先に行ってシン氏と奥方にご挨拶をしてくる。まずはチェギョンと話しなさい」
 
 
陛下はシン君の肩をポンポンと叩くと先に玄関の中に入って行った。それに続くイギサのお兄さんたち。
コン内官たちもシン君に目礼すると私に笑顔を向けて中に入っていった。
 
 
 
「チェギョン大丈夫か?」
「うん。私は平気だけどシン君は?」
 
「さっきまで盛大に緊張してた。でももう大丈夫だ」
「ふふ、シン君を幸せにしてあげるからね」
「頼もしいな」
 
そっと抱き寄せられ一瞬だけ力が込められた。
すぐに離れてしまったシン君に淋しさを感じながらも見つめる瞳の力強さにホッとする。
 
「行こう」
 
強く握り締められた手が熱を感じる。大丈夫とは言いながら緊張はしてるはず。
だけど信じてるからね。ここから私達が始まるって事を。
 
 
部屋に入ると陛下と私の両親が和やかに会話をしていた。
私達がそばまで行くとアッパは急に真剣な表情になり、陛下も一歩後ろへ下がった。
 
「失礼いたします」
 
シン君の声と共に私達は両親の前まで歩き姿勢を正した。
その時、隣にいるはずのシン君の姿に消えたのではと錯覚を起こすほど彼は身を小さくしていた。
 
歳拝(せべ)?シン君が歳拝!?
韓国皇太子の歳拝など陛下以外に受けるモノがいるのだろうか?
だけどそれはとても自然でそれを受ける両親の顔にも驚きの表情は浮かんでいなかった。
歳拝を終えたシン君が両膝をつき私の両親に頭を下げる。それをどこか遠くで見詰めているかのような私。
 
そしてシン君はあの言葉を口にした。
 
 
 
「私イ・シンはシン・チェギョンさんと生涯を共に過ごしたいと思っております。私達の結婚をどうかお許し下さい」
 
シン君の口から丁寧に発せられる一つ一つの言葉に胸が苦しくなっていく。
こうやって自分の両親に結婚の許しを得る事がここまで緊張する事だとは思わなかった。それ以上に私の大好きな人が自分との結婚の許しを両親に問うているという事が胸が締め付けられる程嬉しい事だと思わなかった。
感動に浸る私の耳に飛び込んできたアッパの言葉を聞くまでは…。
 
 
「チェギョンとの結婚は考えなおしてくれないか」
 
 
アッパの言葉にシン君も私も瞬きすらできずに佇んでいた。
 
 
 
 
 

春のお届け

 
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
本日中に帰って来れて良かった…。でも限界なのでこれからお風呂に入って寝ちゃうと思います。
 
 
先日のヘタレ記事にコメントを寄せて下さったみなさま!
本当に暖かいお言葉に涙が出そうな程嬉しかったです。
お返事出来ていませんが粛々と拝読し痛み入っております。ありがとーございます!
 
 
そして、コメントまでは躊躇っちゃったけど読んで下さったみなさま。
いつも応援ありがとうございます。
 
 
今日は春のお届けをどうしてもしたかったので画像だけ貼り付けに参りました。
 
 
 
えっと…。
いつかなぁ。多分2月の終わり頃の我が家のご近所の桜たちです。
 
 
 
 
イメージ 1
 
 
あれ!?携帯変えたからかな??画像が小さい…
 
イメージ 2
 
 
 
皆さまの地域より少し早めの春。
毎年少し早かったり、ちょっと遅かったりしながらも必ず訪れてくれる春。
 
 
小さい花だけど寄り添って咲き誇る様はとっても力強くて、見てるだけで心を和ませてくれる桜たち。
当たり前のように咲く花だけど、当たり前の事が幸せだって思える心を今年も届けてくれました。
 
イメージ 3
 
 
春よこーいっ!!
 
 
 
 

こんばんはっ!

 
みなさまこんばんはっ!
昨日も今日も物凄ーく暖かい陽気でしたね。
私の住んでる富士山のおひざ元は20度超えてました。
外気温計が24度を示していたのには驚きましたけどね(笑)
 
いや…あの本題デス。
風花雪月を読んで下さっている皆さんにお詫びを…
あのお話は後数話でラストを迎える予定なんですけど、わたくし想像以上の激務に見舞われておりまして先日更新した以後全く書けていない状態なんです。
予定ではこの激務に入る前に書き上げよう、もし間に合わなくてもボチボチ進められるだろうなどと
安易に考えていたのがアフォでした。
もうこの忙しさ、年末年始をしのぐ勢いで睡眠時間も殆ど取れない状態でお話を書く、いや、考える余裕など微塵もないんです><。
ホントはね、お仕事の息抜きに書こう!ってつい先日まで思っていた自分の馬鹿さ加減にほとほと呆れる位なの。
毎年の事なのに何故それが分からないのか。ドあほヤローっす
 
という言い訳をわざわざ出てきて書かなくてもいいかなぁとも思ってたんですけどね。
こんな拙いお話でも待っていて下さる方がいて下さるのでご報告だけでもと思ってノコノコ来てしまいました。
 
ホントにすんません。
えっとこのお仕事期限が決まっているものなので来週末には体の空く状態にはなるんですけどね。
ただ、かなり頭の中を酷使してますのでしばらくは使い物になら無い様な気も…。
 
しばしお時間くださいませーっ。
ってかね。もう殆どのエピは出てしまったのでこれからはエピローグに向かっていくだけなんですけどね。
こんなウダウダで本当にごめんなさい。
 
では、お仕事に戻ります。
ホントにごめんなさーい。後1週間程消えさせていただきます。
 

風花雪月 62

 
 
 
 
父上達との約束の時間になりチェギョンと共に執務室に向かう途中ユルとヒョリンに合流し4人でそのドアをくぐった。
出迎えてくれた尚宮は俺たちの来訪を告げると、先に言われていたのだろう直ぐにその部屋を後にした。
 
 
「シン、チェギョン。そしてユル、ヒョリン。もう一度そなた達の意向を確認したい」
「「はい。陛下」」
 
「そなた達の結婚に対する意思は固いのか?その話を進めるにあたってそなた達に揺るぎ無い気持ちがあれば私たちは反対はしない。妃宮となるチェギョンとヒョリンには正式発表の後直ぐに入宮してもらいお妃教育に入ってもらう事になる。今まで通りの高校生活は送れないだろう。ご両親に会いたいと思っても直ぐに行かせてやれる訳でもない。それでも良いのか」
 
 
皆と過ごした済州島で見せた父親の顔ではなく、大韓民国の皇帝としての厳しい顔をした陛下の言葉に、誰にも見えない様に俺の服を掴むチェギョンの気配に気付いた。
厳しい表情でこう言われてしまえば、たかだか18歳の少女がその迫力に圧倒されるのは当たり前の事。俺はその腕を取ると握りしめチェギョンを見詰めた。
しかし思っていた以上に彼女の表情は凛としていて、見詰め返すその瞳はゆっくりと頷き返した。
 
 
「陛下。わたくしの気持ちはかわりません。皇太子殿下のお妃になるという事がどれほど大変な事か、今の私には分かっていないかもしれませんが、それでも殿下と共に生きて行きたいという気持ちに迷いはありません」
 
「わたくしもです。これから先どれ程の試練が待ち受けようとも義誠君殿下と共に歩み続けたいと思います。その想いに迷いはありません」
 
 
そう言い切る二人に俺は目頭が熱くなるのを感じた。
きっと二人には…特に皇太子妃となるチェギョンには想像以上の苦労を掛けることになるだろう。それでも傍に居たい、生涯の伴侶として苦楽を共にしたいという気持ちが勝ってしまうのだ。
 
溢れそうになる想いを必死に留めその視線を両陛下に移した。
そこには陛下の仮面を脱ぎ捨て優しく微笑む両親の姿があった。
 
 
 
「チェギョン、ヒョリン。二人にはこれから数々の試練が待ち受けているかもしれません。ですが宮に嫁いだ先輩として、そしてあなた達の母として私もあなた達を助け支えて行きます。何かあればシンやユルだけでなく私にも相談してくださいね」
 
 
母上のその言葉に二人の頬を涙が伝った。それを見た母上が二人の元に駆け寄り抱きしめる光景は息子としてどれ程嬉しかった事か。そんな姿を見詰める父上も立ち上がり俺たちの傍までくると俺とユルの肩に手を掛けて囁いた。
 
 
「お妃教育は思った以上に大変な事だ。入宮してしばらくはそなた達とも居住まいは別になる。母も入宮したばかりの頃はその大変さと寂しさで良く涙していたものだ。お前達は私たちとは違い自分の愛する者を妃に迎え入れるのだ。出来るだけ二人の心のサポートを怠るな。いいな」
 
父上の言葉に頷き頭を下げた。
俺の心の中に様々な想いが募っていく。
宮という特殊な環境に生まれた事を悔いた事もあった。チェギョンの心が見えず自棄になりそうになったこともある。
しかし、この両親のもとに生まれ降りる事が出来た事、そしてチェギョンに出会えた事を心から感謝したい。
 
 
両陛下と今後の事に付いてその後1時間ほど過ごした。
両家への挨拶は早い方がいいとその場で連絡を取り、火曜日にシン家水曜日にミン家への挨拶をさせていただく事に決まった。チェギョンの父上に至ってはチェギョンからの電話で腰が抜けてしまいしっかり者の母上が全ての段取りを済ませるという事で了承をしてくれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「なんか凄いね」
 
夕食も済ませ部屋に戻ったチェギョンがソファーに座りクッションを抱えたまま呟いた。
今では当たり前になった二人の距離。寄り添うように座るこの距離を手に入れた幸せを感じながらチェギョンの言葉に続いた。
 
「何が?」
「何だろ…」
 
きっと今日起こった出来事についてなんだろうが何と表現していいのかわからないのだろう。
 
「俺はチェギョンの言葉に涙が出そうになったよ」
「え?」
 
「俺と共に生きていく事に何の迷いもないと言い切ってくれたこと。そして前に俺に向けてくれたあの強い意志が籠った瞳に感動したんだ」
「シン君」
 
 
ソファーが静かにきしむと隣に座るチェギョンが俺に体を預けるように肩にその頭を乗せた。
入浴を済ませた石鹸の香りとチェギョンの甘い香りに心臓がドキリと音を立てるが、そのまま彼女の肩の腕を回し抱き寄せる。
凄く穏やかで幸せな時間。このまま時が止まってしまえばいいのにと思える瞬間でもあった。
 
 
「ずっとシン君と一緒に居たいから。まだまだ両親と居たいって思いもあるけど、それ以上にシン君と離れたくなかったんだもん」
 
前言撤回。時が止まらなくて良かったと思う自分に笑ってしまいそうになる。
 
「俺もどんなに苦労を掛けたとしてもお前を手放す事なんて出来ない。でも、俺の全力で守るから辛い時は言えよ」
「辛くても大丈夫。だって1日も早くシン君の奥さんだってみんなに認めて欲しいから」
 
「…そんな可愛い事言うなよ」
 
 
 
そのまま体をかがめてチェギョンの唇にキスを落とす。抵抗する事のないチェギョンは俺の首にその腕を回した。
何度も何度も重ねる唇。触れ合うたびに恋する想いは強くなり全ての感覚が研ぎ澄まされて、柔らかく蜜のように甘い唇に夢中になっていく。
 
チェギョンに回した腕はそのまま彼女の背中を滑り落ちる。
それは凄く自然な事だったのかもしれない。
パジャマの中に入り込んだ掌がチェギョンの柔らかい肌の上を辿り何度も腰のラインをなぞっていた。
彼女の肌は自分のモノとは比べ物にならないくらい滑らかで、俺の掌に吸い付くようなその感覚に我を忘れそうになっていく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「チェギョン」
 
耳元で囁くシン君の声に体の奥がジンと熱くなっていく。こんな感覚知らない。
 
「チェギョン好きだ。愛してる」
 
 
まるで呪文のように繰り返される言葉。また落とされるキスで何かが入って来て私を満たしていく。
何度も繰り返されるキスに私の頭はクラクラしちゃうのに、背中の腕がゆっくりと下がったと思ったらするりとパジャマの中に入り込んで来た。
 
ドキドキして心臓が壊れてしまいそうなのに、私の肌の上を滑るシン君の手の暖かさが気持ち良くて何が何だかわからなくなっていく。
 
 
 
「…し、ん君」
 
やっとの想いで読んだ彼の名前。言葉になっていたかもわからないその声にシン君は少しだけ離れて大きく息を吐き出した。
 
「これ以上はヤバいよな」
「ヤバいって…?」
 
 
私の両肩を掴んだまま顔を上げずに少しだけ息の上がったシン君の手に力が籠る。
彼の顔が見たくて覗きこもうとすると、少しだけ怒ったような彼の表情に泣きそうになってしまう。
 
「シン君怒ってるの?」
「バカ、怒ってる訳ないだろ。我慢してるだけだから安心しろ」
 
「我慢って…」
「これ以上チェギョンに触れてたらもっとお前が欲しくなる。俺の理性を総動員して必死に止めてるんだからな。あんまり煽るなよ」
 
やっと顔を上げてくれたシン君は悲しそうな笑顔を向けた。我慢って…あっ!我慢!!
 
 
「シン君」
「ん?」
 
震える手をシン君の両頬に添えながら逸らす事の出来ない瞳から溢れそうになる涙を必死に堪えて覚悟を決めた。
 
 
「いいよ」
「えっ!?」
 
「ちょっと恐いけど、…手が震えちゃうけど。でもシン君だから大丈夫」
 
私の気持ち届いたかな?いいよね。だって私たち結婚するんだし、いつかはシン君とって思っていたんだもん。
それが少しだけ早くなっただけ。だから大丈夫。
大好きなシン君だから。恐いって気持ちよりシン君に触れたい気持ちの方が強くなってしまったから。
 
 
それなのに…。
 
 
 
「そんな事言われたら我慢できなくなるだろ」
「だから」
 
「俺がここでお前を抱いてしまったら火曜日にどの面下げてお前のご両親に挨拶していいかわからなくなりそうなんだ。お嬢さんを下さいって言いながら少しだけ後ろめたい気持ちが湧いてしまいそうで。
何の後ろめたさも感じずに純粋な気持ちのままチェギョンを貰いに行きたいんだ。」
 
「シン君」
「だから、シン家へのご挨拶が済むまでは我慢する。でもお前の気持ちは分かった以上次は我慢しないからな。覚悟しろよ」
 
 
優しく抱きしめてくれるシン君の胸に顔を摺り寄せた。シン君の優しさが凄く伝わって来て嬉しくて涙をこらえる事なんて出来ない。凄く勇気のいる言葉だったけど私以上の想いを返してくれたシン君を本当に愛してるって想った。そして愛されていると感じる事が出来た。
 
 
「その顔、他の男に絶対見せるなよ」
「み!見せる訳ないじゃない」
 
 
っていうか、その顔ってどんな顔なのよ!ドキドキしすぎる心臓が飛び出してしまいそうなままシン君の胸に抱き寄せられ
 
「ありがとうチェギョン」
 
耳元で囁くシン君の吐息にもう一度大きく心臓が揺れる。
そして、今までで一番優しいキスをくれた。
 
 
 
 
 
 

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