チェギョンは初めて目にするカジノに気持ちが高鳴る
ただでさえ好奇心旺盛な彼女がジッとその場に居る事は無理な話し
その時彼女の直ぐ脇で大きな歓声が上がる
「何?誰かが大もうけしちゃったとか?」
歓声の上がる場所に足を向けようとしたその時
誰かに腕を掴まれハッと振り返る
「こんばんは、お嬢さん」
「え? こんばんは・・・」
「楽しんでおられますか?」
チェギョンは突然見知らぬ男性に声を掛けられた事に一瞬驚くが
その紳士的な男性に目を奪われた
「どうかされましたか?」
「あ・・いえ、貴方が私の主人に良く似ていたもので驚いてしまって・・・」
シンより少し年上に見える落着いた雰囲気の男性
彼も韓国人なのだろうか それにしてもチェギョンでさえ
一瞬シンかと錯覚を起こしそうな程よく似ている
「先程一緒に居られた方ですか?ご主人? ご結婚されてるのですか?」
「はい。今チップの交換に行っています」
「そうですか。もう、幾つかのゲームを楽しまれたのですか?」
「まだなんです。今来たばかりで・・・主人も私もカジノは初めてなので」
「それなら今夜は私にエスコートさせてください」
「え!?いえ・そんな・・・主人もおりますので あの手を離していただけますか?」
「ご主人も初めてならお1人で楽しまれたほうがいいですよ」
その半ば強引な様子に困り果てるチェギョン
『なんなのこの人? こんな所シン君に見られたら大変!』
シンがその場に戻ると見知らぬ男性に腕を掴まれて困り顔のチェギョンが目に飛び込んだ
ドクン・・・まるで心臓を掴まれたような感覚に息が出来なくなる
「失礼。私の妻が何か その腕を離して頂きたい」
振り向いたその男性の顔を観て驚いた。
まるで鏡の中の自分自身を見ているかのような錯覚に陥るが瞬時に冷静さを取り戻す
「これは失礼いたしました。奥様が余りにもお美しくて。
貴方がこちらのレディーのご主人ですか? コレは驚きました」
「ええ。妻の話し相手になっていただきありがとうございます
ですが本日は妻と二人でゆっくりカジノを楽しもうと思って降りますので」
「カジノは初めてと伺いましたが」
「ええ。」
「では、今夜は私が奥様にカジノの楽しさを教えて差し上げたいのですが
少しお借りできますか?」
その男性は挑発的にシンに詰め寄る
「いえ。結構です」
「ならば・・・私とルーレットで対決してみませんか?
私が勝ったなら少しの間奥様をお借りしたい」
「私もカジノは初めてと申したはずですが」
「ルーレットはとても簡単なゲームです。初めての貴方とも十分に楽しめる
もしも、私に勝てたら奥様にも貴方の素敵な姿を見せる事が出来る
ふふふっ。いかがですか? それとも貴方にそっくりな私に負けるのが恐いですか?」
その男の理不尽な要求にシンが乗るはずが無いと思っていたチェギョンはシンの言葉に耳を疑う
「分かりました。いいでしょう。それではルーレットで・・・
赤・黒どちらを選ぶかの単純な一回勝負という事でよろしいですか?」
「もちろんです」
「シン君!!! 何言ってるの!?
ねぇ。私を賭けるって何!? 賭けなんてやめて!!!」
「大丈夫だから!この俺が負けるわけないだろう」
「シン君!正気なの? シン君!!!」
「では・・・参りましょうか 殿下」
{{え??今殿下って言った? この人シン君が太君だって知ってるの??}}
「チェギョ〜ン 機嫌直せよ・誤ってるだろ??」
「シン君なんてもう知らない!!!」
「だから・・・悪かったって。 おい!ジェヨン。お前からも何とか言ってくれよ」
「妃宮様・・・申し訳ありませんでした。
あの・・・お二人のお姿を拝見してちょっとイタズラしようかと・・・
妃宮様には初めてお目にかかります。ジェヨンと申します
シンが心を奪われた妃宮様にお会いしたいと思っておりましたが
これ程までに魅力的な方とは・・・」
「おい!ジェヨン!!」
先程チェギョンを賭けの対象にしようと申し出たこの男
ミン妃の兄上の子・・・つまりシンとは従兄弟の関係になる
幼い頃からシンと見分けが付かないほどにそっくりで二人で周囲の大人達を困らせてきた
しかし、シンが皇太子に柵封され、ジェヨンも父の仕事の関係で渡米し数年に一度の割合でしか
会うことが出来なくなっていた
自分が本当に賭けの対象にされていなかった事は理解しても
嘘でも自分を賭けようと言葉に出すシンに腹が立つ
チェギョンはその瞳に溢れんばかりの涙を滲ませ収まらない怒りを露にする
「いいえ! 許せないわ!!
二人とも私がどれだけ恐かったかわかる?
しかも シン君は私を賭けの対象として差し出したんですからね!
私は物じゃない、心を持った人なのに、私を無視して賭けるなんて最低!!」
「チェギョン・・・」
「私は部屋に戻ります! 久しぶりの再会で積もる話もおありでしょうし
どうぞ!お二人でお楽しみください!」
そのまま部屋に戻ろうとするチェギョン
「ジェヨン悪い 部屋に戻るよ。
まだマカオには居るんだろう?改めてゆっくり話そう」
「ああ。ごめん!俺があんなイタズラを仕掛けたばかりに・・・」
「イヤ。僕の方こそ・・・じゃ、またな。連絡するよ」
シンは慌ててチェギョンの後を追った。
部屋に戻ってもチェギョンの怒りは治まらず口を聞いてくれない
{{せっかく2ヶ月ぶりにチェギョンに会えたのに・・・くそっ!!}}
無言のままバスルームへ向かうチェギョンの腕を掴み抱きしめようとする
「やめてよ!!」
「チェギョン。悪かった・・・本当に」
「離して!」
「チェギョン。愛してる。もう二度と離したく無いほどに
だから・・・許してくれ・・・」
「シン君。本当に悪かったって思ってる?」
「ああ・・・」
「こんなイタズラもう二度としない?」
「ああ。。」
「シン君。悪い事をしたら誤る。そんな事小さな子供でも知ってるわよ」
「悪かった・・・」
「悪かったって、それ誤る言葉なの?」
「・・・・・ゴメンナサイ・・・」
ゴメンナサイと口にするシンの顔に今度はチェギョンが魅入られる
{{もう・・・この人は。。ゴメンナサイって言葉で子供のように真っ赤な顔してテレ捲くるなんて・・・
そのくせ最近は甘〜い殺し文句はサラッと言ってのけるのよね〜
なんだか、ツンデレの域を超えてない??}}
「シン君。もうこんな事しないでね。」
その言葉でシンがチェギョンを抱きしめようと腕を伸ばすがチェギョンはそれをさらりとかわす
「もう許してあげる!でも、今夜は罰としてシン君はセカンドルームで1人で寝てね」
唖然とするシンに目もくれず寝室に向うチェギョン シンはその場に立ち竦んだ
「何でこうなるんだよ・・・やっと二人の時間が過ごせたハズなのに・・・」
気持ちを落着かせようとシャワーを浴びるも、チェギョンが気になり悶々とするシン
{{このまま別々に眠るのか?イヤ・・・チェギョンの部屋に向う??
そんな事したらまた怒らせてしまうかも・・・
一体どうしたらいいんだよ!}}
そんな事を考えながら部屋の中を歩き回っていると不意にドアを叩く音が耳に入る
「チェギョン!! 来てくれたのか?」
「うん・・・シン君。何してたの?」
「お前の事を考えてた・・・」
「そう・・・反省してる?もう二度としないって誓える?
「ああ。」
「じゃ〜シン君 両腕をだして」
「え?」
「いいから。両腕をだして」
不思議に思いながらも言われるままに両腕を差し出す
その瞬間、両手首に白い布が巻かれる
「シン君。今夜は罰なんだから、大人しくしててね
両腕は縛っておくから 朝には外してあげるわ!」
万遍の笑みで部屋を後にするチェギョンをシンはただただ呆然と見送る事しか出来ない
「チェギョ〜ン 許してくれよ〜〜」
これから一週間・・・二人は一体どんな夏休みを過ごすのであろう・・・
〜 韓国 宮 東宮殿 〜
「コン内官。いかがですか?今週中に終りそうかしら」
「はい。陛下。あと5日ほどで完成と聞いて降ります」
「全く・・・人が王族会の面々に個別にあって妃宮帰国のために働きかけたって言うのに・・・
チェギョンの帰国が可決された事はシンには暫く教えてあげないんだから!
シンが帰国する前に私が夏休みを頂きます。
コン内官。そのつもりでね! まぁ・・・この部屋を見れば分かるか ふふっ」
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