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「何処に・・・何処に居るの?シン君」
チェギョンは自宅を飛び出し明洞へ向った
皇太子がこんな街中に居るなど普段なら考えられない だが何か見えない力にでも引き寄せられるかの様にその街を目指した
『シン君に私の気持ちを伝えなきゃ
お願いシン君・・・何処にも行かないで!!』 「クソ! チェギョンの奴なんで携帯に出ないんだ!」 一方シンもチェギョンを求め宮を飛び出したものの
その脚は別の場所へ向っていた 「頼む!電話に出てくれ!!」
何度も繰り返される留守番電話サービスのアナウンス
その声にこれほどの恐怖を感じるとは そして再びリダイヤルを押す トゥルルルルルル…
「!!!もしもし!? チェギョン!!」
「もしもし?」
誰だ!?携帯から聞こえる声はチェギョンの声では無かった
一瞬にしてシンの思考が止まる 「もしもし? どなたですか?」
「あの シン・チェギョンさんの携帯ではないですか?」
「そうですよ でもあの子携帯忘れて飛び出して行ってしまったの」
「飛び出した… 申し遅れました イ・シンと申します
あの…チェギョンさんがどちらへ行かれたかご存知ありませんか?」 「知ってますよ」
「どちらですか!?」
「殿下 チェギョンは大好きな人の元へ行くと言っておりました
多分殿下の元へ 」 「え!?」
俺の元!?もしかして・・・
「殿下 チェギョンを宜しくお願いします」
「分かりました ありがとうございます」
チェギョン頼む!其処に居てくれ
直ぐに行くから!! シンが目指した場所は明洞
チェギョンとの思い出の場所 此処での出会いが全ての始まりだった
そして必ず其処にチェギョンは居る シンの心には何の迷いも無かった
「チェギョン!!!」
「シン君!」
細い路地裏の向こう側から走り寄るチェギョンの姿を見つけたシン
二人には互いの存在以外何も目に入らない 「やっと見付けた」
抱きしめる腕に力が入る
触れる腕も胸も指先さえも愛しい人を記憶する 「シン君!あのね 私シン君に話したい事が沢山あるの」
「あぁ 俺もだ!でももう少しこのままで
チェギョンを感じさせて!」 「シン君 大好き」
「!! 俺の方がもっとチェギョンを好きだ!」
やっとチェギョンから聞くことの出来た魔法の言葉
抱きしめる腕に力がはいる 「痛いよ シン君」 「これくらい我慢しろよ
俺は 全然チェギョンが足りない!」 「・・・私もシン君が足りない」
「そんな可愛い事言うなよ 離せなくなるだろ!」
その時二人の足下に何かが触れた
その違和感に驚き視線を移すと見覚えのある猫 「「あ!!!」」
「そっかチェギョンもこの猫知ってるんだよな」
「うん!珍しいブルーグレーの長毛種
何で外に出てるんだろう?」 「俺達の事は覚えて無いと思うけど店に入って爺さんの顔でも見てくるか」
「うん!」
ここはアンティークショップの前
二人の全ての始まりが此処からだった 店内に入るとカウンターには真っ白な髭を生やしたお爺さんが
以前と変わらず静かに眠っていた お爺さんの膝に猫が乗るとそっと目を開け優しく撫でる
「お帰りチャチャ 何処に行ってたんだ?」
優しく響くお爺さんの声が懐かしい
二人の存在に気付くと微笑み掛けてくれる 「やっと二人揃って来たな」
「「えっ!?」」
「僕達を覚えていてくれたんですか?」
「いつか二人で来る日が来るんじゃないかと楽しみにしてたんじゃ
忘れる訳がなかろう」 その言葉に驚き見詰めあう二人に優しい眼差しを向けながら話を続ける
「ワシのばあさんが昔話してくれた事があるんじゃ
いつかこの人!と思う人にこれを渡しなさい それは何時とはいえないがそれを持つに相応しい二人が現れるはず そう言って手渡された物が【セレンディピティー】と呼ばれる2つのキャンドルだった」 「「!!!?」」
「お前さんたちに渡した事に理由なんてなかった
ただ誰にも懐かないチャチャが興味を持ったのが二人だったんじゃ」 「え!?シン君も持ってるの?そのキャンドル」
「あぁ 3年前に此処で貰った・・・本当に大切だと想える人に出会ったら渡すようにって」
「でも・・・そのキャンドルに何か意味があるんですか?」
「ワシにも分からない ばあさんに言われた事さえ忘れていた位だからな
ただお前さんたちに出会った時に自然に思い出せたんだ ワシが分かっているのはただ一つ」 「ただ一つ?」
「そうじゃ そのキャンドル【セレンディピティー】が
『幸せな偶然』と言う意味を持つという事だけじゃ だからいつかお前さんたちが揃って現れるんじゃないかと それを楽しみにしていたんじゃ」 「・・・『幸せな偶然』」
店を出た二人は手を繋ぎ夕暮れの街を歩いた
以前チェギョンを追って夕暮れを駆け抜けた時は 不安に押し潰されそうになっていた 同じ夕焼けに伸びる二人の影がこれまでの道のりを振り返らせるように感じ
遠回りをした分長く想いを乗せているように思える 「チェギョン」
「ん?」
「セレンディピティー 持ってるんだろ?」
「うん!」
「こんなに素敵な幸せな偶然を運んでくれるなんて思ってなかった」
「うん」
「早く一つにして上げなきゃな!」
「うん」
「もう離さないから!」
「うん」
「何でお前さっきから「うん」しか言わないの!?」
そういって覗き込んだチェギョンの瞳からは今にも涙が零れそうに潤んでいた
「何で泣くんだよ!」
そういって抱きしめるシンにしがみ付くチェギョン
「だって!嬉しいんだもん!幸せなんだもん!!」
そういって泣き出したチェギョンが愛しい
自分の胸に顔を埋め甘えるように擦り寄るチェギョンが可愛くて シンの心が締め付けられていく 「もっと幸せになろうな」
長く伸びる影が重なり一つに溶け込んで行った
セレンディピティー・・・・・・ それは幸せな偶然
END
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