一瞬ステージが暗くなり、イントロが流れ始め、スポットライトが当たったヨンハがステージの中央からセリで上がってくる。久しぶりの日本でのライブに観客席のボルテージも一気にアップ。
客席のファン一人一人の顔を見ながら胸を熱くしているヨンハ。そんなヨンハにやはり同じように涙を流しているファンが埋め尽くす観客席。。。
盛り上がっている観客席の一番後ろのドアの前に立っている結。もちろんステージ上のヨンハに彼女は見えない。
結の耳をつんざくようなすごい歓声と、静かに響き始めるヨンハの甘い歌声・・・彼女はヨンハの姿を目に焼き付けようとじっと見つめる。しかしすぐに背中を向けると、溢れてきた涙をぬぐうこともせずドアをそっとあけて外に出た。
彼の生きる世界と、結の生きる世界を隔てたように後ろ手にゆっくりと閉まる重いドア。。。
片付けられ殺風景になったロビーを走っていく。頭の中にフラッシュバックするヨンハとの思い出と共に涙がちぎれて飛んでいく。
海で無邪気にはしゃぐ二人、ファインダー越しに結を見つめるヨンハ、初めて手をつないだ日・・・
それらを振り切るかのように結は会場から走り出た。
・・・さよなら・・・
半年前
もう誰もいない夏のおわりの少し寒い海に、一人ただずむヨンハ。砂浜にゆっくりと腰を下ろす。
腰のポケットの携帯はさっきからずっと鳴ったままで着信ランプが光っている。マネージャーからの電話だ。なかなか収まらないその電話に軽く舌打ちをし、ヨンハは携帯の電源を切った。
また目を海に戻す。思いきって仕事を抜け出してきた海。今、世界にはまるで自分ひとりだけのようだ。
砂浜の後ろの方に走っている大きな国道。ひっきりなしに通る車の中、一台の赤い車が止まる。
路肩に止まった車のドアがゆっくりと開き、足を下ろす結。海風が彼女の髪の毛を揺らしている。そっとかきあげながら、ガードレール越しに海を見つめている結。
ガードレールに置いた手に握られた離婚届。。。どうしよう・・・やっぱりこのまま海に捨てようか。。。
これを出すことで起こるであろうたくさんのトラブルを思うとやはり悩む。結がその紙をゆっくりと開いてみた瞬間、強い風が吹き薄っぺらいその紙は彼女の手から離れて飛んでいく。
あわてて追いかけて浜辺に下りる結。ひらひらとその紙は、砂浜に座っていたヨンハのところに飛んでいった。
目の前に突然飛んできた紙をとっさにつかむヨンハ。
結「ごめんなさい!」
その声に振り返ると、頭を下げながら近づいてくる結が目に入った。
思わず見とれるヨンハ。その目線にとまどいながら、笑顔を浮かべて頭を下げる結。
結「・・・ごめんなさい・・・それ、私の」
結はヨンハの手に握られた紙を指差す。
ヨンハ「・・・ああ、これ」
とっさにつかんだ紙はヨンハが握ったせいでぐしゃぐしゃになっていた。
ヨンハ「あ・・・ご、ごめんなさい!!」
あわてて立ち上がり頭を下げるヨンハ。急いで両手で紙を広げる。
思わず吹き出す結。ヨンハはそれにつられて笑顔になり、改めて目があう二人。しかしヨンハは顔が見られたら困るととっさに顔を伏せる。
でも彼女は全く彼に気づいていないようだ。ふと見ると彼女の手にカメラが握られている。
ヨンハ「あ・・・」
結「え?」
ヨンハはそばにあったバッグからカメラを出した。同じものだった。
結「あ・・・同じだ」
また目が合い微笑みあう二人。ヨンハがカメラを持ち直した瞬間、紙が風に飛ばされた。ひらひらと海の方に高く飛んでいく。あわてて追いかけようとするヨンハ。結はその腕をつかみ、いいのという風に手を振る。
結「別にいいの・・・また書けばいいんだから」
そういって微笑む結。あわててヨンハの腕から手を離すと、二人の間に沈黙が流れる。ふと思いついたように、バッグの中からアルバムを出して彼女に広げて見せるヨンハ。
そこにはたくさんの綺麗な写真と子供達の無邪気な笑顔があった。
結「うわ・・・被写体が私と似てる」
結が嬉しそうに声を上げる。
ヨンハ「ひ・・・ひしゃたい?」
結「被写体・・・ほら、撮るもの」
ヨンハ「ああ・・・」
結「あ・・・もしかして、日本人じゃない人?」
ヨンハの顔を覗き込む結。改めてこの人は自分を知らないんだと気づくヨンハ。
ヨンハ「ええ・・・韓国人です」
結「そうなんですか・・・ふーん」
こんな海に一人でただずむ韓国人の男を、改めていぶかしげに見る結。ボクを知らないなんて珍しいと、結の顔をうかがうヨンハと目が合う。結はあわてて目線を外すと言った。
結「最近ね、写真あんまり撮ってなくて・・・あ、ごめんなさい。日本語わかんないか」
ヨンハ「いえ。少しならわかりますよ」
結「そう?・・・あのね、写真・・・久しぶりに撮ろうと思って」
ヨンハ「そうですか・・・写真撮るの好きですか?」
結「うん・・・でもずっとこのカメラもしまったままで久しぶりに出したの」
結はカメラを愛しそうに撫でた。
ヨンハ「ボクも好きです・・・趣味です」
結「そうなんだ・・・でもここじゃ海だけで、被写体になるようなものがあんまり無いわね」
ヨンハ「ボク・・・どうです?」
結「え?」
ヨンハは少しいたずらっぽい笑顔を見せて結の顔を覗き込む。
ヨンハ「ボクの写真」
思わず吹き出す結。
ヨンハ「な、なんですか?」
結「ごめんなさい・・・子供にしちゃ大きすぎるなって思って」
ヨンハ「子供?」
結「私、人間は子供しか撮らないから」
ヨンハ「・・・そうなんですか・・・残念」
ヨンハは微笑んでカメラをバッグに戻した。
結「あ・・でも今日は撮ってみようかな」
ヨンハ「え?」
結「だってせっかく久しぶりに海に来たし・・・あなたが私の離婚届をつかまなきゃこうやって話をすることもなかったもんね」
ヨンハ「り・・・りこんとどけ?」
結「あ、ああ・・・わからなくていいの・・・ただの紙だから」
ヨンハ「?」
結「じゃあ撮らせてくれますか?・・・えっと・・・」
ヨンハ「あ・・・ヨンハです」
結「ヨンハさん・・・じゃ、海辺の方をバックに、がいいかな」
ヨンハ「こっち?」
結「うん」
カメラを構える結。雑誌の写真では見せない自然な笑顔を見せるヨンハ。ファインダー越しに二人の瞳が交錯する。撮り終わるとヨンハが微笑んで結に言った。
ヨンハ「今度は、ボク撮っていいですか」
結「え?私??・・・私なんて撮ってもしょうがないよ」
ヨンハ「そんなことないですよ・・・子供まではいかないけど・・・すごく若いです」
結「なにそれ・・・」
思わず笑みがこぼれる結。あわてて手をふり否定するヨンハ。
ヨンハ「ごめんなさい・・・えっと・・・若くて綺麗ってこと言いたかった」
結「ありがとう」
カメラを下ろし海に目をやった結を、瞬間ヨンハのカメラのシャッターがとらえる。
結「え?ちょっと、撮るならちゃんと言ってよ・・・全然気抜いてたんだけど」
ヨンハ「それがいいです・・・自然な方がいいでしょ」
結「・・・でも」
ヨンハ「ほら、こっち向いて」
結「もういいって・・・写真なんてしばらく撮られてないし」
恥ずかしそうに下を向く結。構わずシャッターを押し続けるヨンハ。
ヨンハ「ほら、こっちこっち」
結「だからやめてってば」
結は照れて笑いながらカメラのレンズを手で隠そうとする。ヨンハはその手を払いながらなおもシャッターを押し続け、ふざけて結の足元に砂をかけてみる。
結「ちょ、ちょっと!!」
軽く悲鳴をあげて笑顔で砂を払う結。
彼女の周りを動きながらシャッターを押していき、ヨンハのカメラのフィルムには自然な結の笑顔がどんどん収められていく。
しかし、しばらくすると結の携帯が鳴り彼女の表情が一変する。思わず覗いていたファインダーから目を外しカメラを下ろすヨンハ。
結「・・・もしもし・・・ええ、もうすぐ帰ります」
彼女は携帯を切ると立ち上がった。もうさっきの笑顔はどこにもない。服についた砂を払う。あわててヨンハも一緒に彼女の服を払う。
結「ありがとう・・・じゃ」
カメラを肩にかけて、背中を向けた結。
ヨンハ「あ・・・」
結「え?」
振り返る結にヨンハが言う。
ヨンハ「しゃ、写真・・・撮った写真、どこに送ればいいですか?」
結「ああ。。。捨てて」
ヨンハ「え?」
結「捨ててください・・・いらないから」
彼女の目はもうヨンハを見ていなかった。
ヨンハ「・・・」
結「じゃ、さよなら」
そのまま結は足をとられながら砂浜を歩いてヨンハから離れていく。その後姿をただ見送るしかないヨンハ。
しかし、すぐに思い直しあわててヨンハは彼女を追いかけようとする。すると砂浜にさっき彼女が持っていた紙が落ちているのが目に入る。それを拾いあげた瞬間、彼女の赤い車は走り去っていった。
残されたのは、ヨンハの手に握られた彼女の離婚届。。。
「あいアイ」が終了しましたので、よつばさんの「風恋」をそろそろ始めようかと思っています。
あ、ちょっと様子見です^^;まだ「あいアイ」もhanaさんからOKを頂いていないので。。。
hanaさ〜〜ん!!お元気ですか??連絡待ってます^^
よつばさんのバトン↓↓↓
http://blogs.yahoo.co.jp/ysmh8338/27395136.html
画像はよつばさんから頂いたものと検索したものを使わせて頂きます
転載元: イ・ジュンギ☆韓国エンタメ雑記☆シナリオ書いてます
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