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風は相変わらずゴーゴーと唸りをあげていた。
岩から引き剥がされないようホールドをしっかりと握る

ここは風衝地のようで予期せぬ方向から翻弄してくるので
数歩の距離を進むのに時間がかかる
ジリジリと目の前の岩を決死のスタイルで登る。

突然白い雲で明るくなった。
その先にもう登りはない。
ようやく山頂へ立ったのだとわかった。

黙っていると泣いてしまいそうな気がして声を出した

「ウォー!」

少し元気がでた

ニンマリ笑みを浮かべ余裕を見せた。

弱気が去って力が湧いてきた

時間がない

一先ずタコさんがいるところまで戻ろう


雨がバーバーたたき付けてきた。
まるで油膜の張ったフロントガラスを洗うように
周りの景色を滲ませた。
こちらも負けてなるものかとチカラ一杯踏ん張り下山にかかった。


そのとき一瞬静寂があった

身体が軽くなってフワッと空へと飛び出したようだった。




少し前の話になるけれど、シルバーウィークに北海道へ行った。
大雪山の紅葉は、日本一早い紅葉と言われているのは知っていたけれど、
実際には見たことがなかったから、
この目で直接見なければ、知っていることにならない。
それならばやはりトムラウシだろう
ということで出かけてきたのだ。

ANAの5000マイルでバニラエアー特典航空券成田ー千歳がゲット出来る
しかも最近ネットでとれるようになったので便利になった。
今回はそれを利用してみる。

残念ながら予約が遅かったので
千歳に19時着の便しか取れなかったが、
幸い今回のシルバーウィークは5日あるし、
ここのところ忙しくて旅の準備もままならなかったので、
朝起きてから旅の用意をする時間があるのはよかった。

第三ターミナルを利用するのは初めてだったけど、
預け入れ荷物の中にあるガスバーナーのヘッドのチェックで呼び出された。
普段呼び出されたことはないのでちょっとビックリしたけれど、
新しいターミナルでまだ係員も若い人が多く、
基本に忠実に職務を遂行しているようで安心できる。

ただ時間がなかったため慌てたけれど、
結局飛行機が15分遅れてことなきをえた。
第三ターミナルを利用する場合、
羽田のようにはいかないから少し余裕があった方が安心である。

千歳空港にはJAL側のショップにガスボンベが売っているが、営業時間が19時迄。我らの飛行機は1845着の予定でギリギリ大丈夫\(^o^)/と思っていたが、
出発が15分遅れれば、到着も15分遅れるのは至極当たり前。

そこはなんとかならんもんか((((;゚Д゚)))))))
走ってショップに向かったけれど規則正しい日本人は
すでにシャッターを閉めてお帰りになっていた。

まあLCCを使う場合、多少の遅れは止むをえない。
海外に一度行けば一回北海道旅行がタダになる。うまく付き合うのが得策だ。
そんなわけで空港ではガスボンベを手に入れられなかったが
まだまだ奥の手がある
空港横のアウトレットモールにあるショップは20時まで
それでも駄目なら某高級レンタカー会社の受付では、
22時まではボンベを調達可能なのはリサーチしていた。

幸い、レンタカー会社のすぐ横にあるアウトレットモールに
19時40分には到着したのでそこでガスボンベをゲット
無事にガスバーナーの呪縛から逃れることができた(;´Д`A

これで準備万端。いよいよ天人峡へと向かう。
天人峡は朝日岳ロープウェイの南側。千歳からは200キロ程度だ。
天人峡へ向かう途中、十勝岳中腹にある北の国からでおなじみ
吹上露天風呂へよってひとっ風呂浴びていこう
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トムラウシには東西南北からアクセス出来るけれど、
いずれの登山口もちょっと遠い。
今回はその中でもハードな天人峡コースなため早立ちが欠かせない。
吹上露天風呂で汗を流し車泊して早朝に出発しようというわけ。
そんなわけでガスボンベはどうしても今日欲しかったんだよね。

地元のおじさんたちと風呂で談笑しすぎて天人峡の駐車場に着いたのはすでに3時Σ(゚д゚lll)
しかも雨が降ってきたためテンションダウン

3時間 つかの間の睡眠
起きてみると雨はさらに強く降っていた
イメージ 2
早く出発しなければ今日のコースは長いんだ(;´Д`A

わかっちゃいるが気持ちが乗らず用意が進まぬ
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柱状節理にガスがかかる天人峡を出発したのは8時を回っていた((((;゚Д゚)))))))

まわりは白く煙っているが、雨はさっきより小降りとなっている。
登山届けをポストへ入れ九十九折の登山道を早足で登って、急速に標高をあげる。歩き始めはいつもゆっくり歩くよう心がけているけれど今日はいつもより急いで息が上がる
台地に上がると登山道はフラットになった
途中、美しいと評判の羽衣の滝はガスで見えず、ただ滝の音が北の大地の森に広がっていた。
イメージ 7
雨粒が樹々に溜まっては大粒の雫となって落ちて来る
まだ九月というのに冷たい雨だ
この時期北海道では雪が降ることも珍しくない
気を引き締めて歩く
途中一組のご夫婦とすれ違った
お互い初めて出会う登山者に話もはずむ
僅かながら緊張から解放される
聞けば今日我々が向かうヒサゴ沼から直接降りてきたとのことで避難小屋の様子を教えてもらう
清潔快適とのことで
今日はテントを担いできたが天候によっては避難小屋もありだなぁと思い始めた

結局出会った登山者は彼らだけだった。いかに天気が悪いとはいえ紅葉のピークに、しかもシルバーウィークにである
トムラウシはやはり秘境の山であるということだ

雨は相変わらず降り続く

秋の北海道は本州よりも日暮れが早い
早足で進んだが再び雨が強くなって登山道は川の様相を呈してのぼりづらい
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しばらく登山道が底なし沼の様相となり
まともに歩けば登山靴はまるで田んぼの中に突っ込んだよう

登山道の水深が30センチを超え
石でルートを作ったり、横の笹藪に逸れてみたり
色々と格闘して徐々に体力を奪われていく
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あとあと聞いた話ではこのルートは晴れが続いていても田んぼのようで地元の人は長靴で登る人も多いらしい
今日はなおさらであろう
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 小化雲岳の登りにさしかかったあたりで
雨が一瞬やんで青空が広がり色づき始めた樹々が見渡せた
「わーっ!」
それまで真っ白なガスのなかを歩いていたから思わす感嘆の声をあげた

続く





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