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トンネルの中はひんやりとして心地よかった。ただ、中間付近あたりからは天井からの出水がかなりあり、路盤は歩きにくいし、水しぶきはかかるしで、ひたすら出口を目指す。
出口で照明を消し、再び歩き出す。このあたりの風景、今にも列車がやってきそうな雰囲気だった。
少し登り勾配のついた路盤上をゆっくりとしたペースで快適に歩く。杉木立に囲まれているせいか、そんなに暑くなく、少し伸び始めた草もじゅうたんのようで歩きやすかった。
その時、後ろで突然獣の気配を感じた。振り返ってみると、小動物が跳ねている。
うさぎか、たぬきか、と思って見ていると、その背後から人が歩いてきた。
まさか、ここを歩いている人なんていないと思っていたので、少しびっくりした。
追いついてきたその人に話を伺うと、地元の人らしく、毎日ここを散歩しているという。愛犬の誘導で、しばらく一緒に歩いた。
作業道との分岐でその人と別れ、再び一人で歩き出す。分岐のすぐ先には、目指す「幸野川橋梁」があった。
橋梁の上からの眺め。緑にも濃淡があって美しい。
橋をわたりきったところから左手に降りる道があるはずだったが、草刈がしてなくて草ボウボウの状態。しかし、ここしか降りる道はないので、覚悟を決めて降りることにした。
朝露でズボンが濡れたが、我慢しながら降りていく。少し降りると、上からは見えなかった美しいアーチの部分が見えてきた。
しばらく降りると、民家の庭先にたどり着いた。
この辺は酪農が盛んなようで、牛が沢山飼われている。犬も同様に沢山飼われているようで、民家の前を通るたびに異常な勢いで吠えられている。
しかし、この風景を求めてわざわざ来たので、そう簡単に立ち退くわけにもいかない。いろんなアングルでカメラに収める。
この橋の特徴は、アーチの側面に三つの小窓が空いていることである。
コンクリートのアーチ橋の場合、アーチ部分が全てコンクリートで満たされている充腹アーチと穴が空いた状態の開腹アーチとがある。
この橋の場合、穴が空いているので開腹のように思えるが、アーチに係る部分が空いているわけではないので充腹アーチに属する。穴を開けた理由は、デザイン性もあるが、橋の重量を減らす目的もあったと思う。
この橋、全体は6径間(アーチが6連)のはずなのだが、木立に隠されて4径間しか見ることができない。ちなみに全長は115.7mある。
橋のすぐそばまでが放牧場となっているのも面白い。写真を撮っていると、牛に睨まれた。
再び遊歩道に戻り、歩き出す。時刻も昼に近くなり蒸し暑くなってきた。
路線脇に白い杭が1本立っていた。距離表のように見えるのだが、どの面にもなにも書かれていなかった。
路線脇に鉄道遺構が残っていないかとずいぶん探したのだが、境界杭が数本あった他は、めぼしい物は見当たらなかった。もう少し、いろんなものが残っていると、趣があるんだけど。
先ほどの橋梁を過ぎてから、登り勾配が少しきつくなったようで、歩くペースも少し遅くなる。
汗が吹き出して止まらなくなったところで、2本目のトンネル「北里トンネル」が見えてきた。
先ほどと同様に、照明をつけて中に入る。天然のクーラーは、すこぶる快適であった。
歩き始めて1時間半、心配したにょろさんにも出会うことなく、遊歩道の終点に出た。
心地よかった風が、急に熱風に変わった。(つづく)
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おはようございます!
コメントいつもありがとうございます!
なんだかのんびりした風景…
落ち着きますね!ぽち
2011/7/31(日) 午前 8:56
よっしーさん、こんにちは。
牧歌的な風景が続いていて、歩きながら癒されるいい道でした。
2011/7/31(日) 午後 1:11
橋の見入ってしまうデザインですね!
地元の人との交流など、人との出会いは旅の醍醐味で楽しそう!
2011/7/31(日) 午後 7:46
まつさん。
この橋は、戦時中の物資不足のなかで造られたため、鉄筋の代わりに竹が使われた竹筋コンクリート橋だといわれています。窓のあいたデザインも案外と、物資不足のためかも分かりません。
2011/8/3(水) 午前 8:23