「リリカさん、これまで通りボクと付き合ってくれますよね」 「ああ…うん。もちろん」 でも、どうしたの? ヤマダくんの話によると、こんな感じ。 最近、ボク、よその病院から引き抜きの話が来てるんですよ。
それで、どうしようかと思って嫁に相談したんです。 そしたら、嫁が言うんですよ。 「職場を変えたら、リリカさんはあんたのこと相手にしてくれへんの違う?」って。 「オンナっていうのは、そーゆーもんや」とか。 リリカさん、ボクがA病院に行ったら、もう今まで通りに会ったりしてくれませんか。 ん?どーゆーこと? ヤマダくんの嫁さんの言葉の意味が、イマイチよく分からない。 今でも別々の病院に勤務しているし、たしかにA病院になれば近隣ではなくなるにしても 別に距離が問題になるとも思えない。 それに「オンナっていうのは…」の意味も不明で 「いや〜私はむしろオッサンだから」と返したくなったが、まあ黙っておいた。 ヤマダ嫁の心配の中身がよく分からず、二人で首を捻り合う。 嫁によると 今のヤマダくんの職場には指導者がいないから、違う病院の私が親切でバックアップをしてくれているけど システムの整ったA病院に行けば、ヤマダくんを教育してくれる人は大勢いるから 私は彼の面倒を見る必要がないし、見てくれなくなるかもしれない…ということらしかった。 「嫁の心配の正体はともかく、ボクはリリカさんと会えなくなるくらいなら
A病院の話は無かったことにしようと思って まず、今日はリリカさんにそのことを確認したかったんです」 「何だかよく分からないけど、私は所属病院の都合でヤマダくんにこうして会ってるわけじゃなくて ヤマダくんがヤマダくんだから会ってるわけだし、これからもソレは変わんないよ。基本的に」私がそう答えると、ヤマダくんは安堵のため息をついた。 「は〜良かった。それを聞いて、安心してどうするかを考えることができます。
ありがとうございます!」 それから、二人で仕事の話をあーでもないこーでもないと話しているうちに、ふとひらめいた。 「ねえ。ふと思ったんだけど、A病院で上司になる小野さんって私と同じ職種だし、女性だしさ。 A病院に行ったら、小野さんに遠慮して私がアレコレ言わなくなるかもってことなんじゃない? 奥さんが心配しているのは。 ヤマダくんが私より小野さんを選んだ、みたいに思って、私が拗ねるとか。 あるいは、ヤマダくんが新しい職場で私の話をすることで 上司の小野さんが気を悪くするかもってことも心配してるんかな。 小野さんはそういうタイプの人じゃないし、私もそんなことないんだけど 奥さんはあまり知らないから、そういうことを心配しているのかも。 普通なら、どちらかが気を悪くするパターンもアリじゃない? そうだとしたら、ヤマダくんの奥さんはエライよね〜。よく気がつくというか。 うん。私にはない発想だから、スゴイって思うよ」「そうですねぇ(@o@!」とヤマダくん。 しばらく二人でヤマダ嫁をほめ合う。 「でも、うちの嫁は“師匠と上司は違う”ってことが分かってないんですよ^^。
彼女には上司しかいないから。 ボクにはリリカさんがいるから幸せです♪」 たはは^^;。 ひと通り話が済んで、店を出る段になって。 「どうせリリカさんに会ったら『講師料ですから^^』とか何とか言って あなたが払うことになるんだからって、嫁がお金くれたんですよ」 そう言って、彼はニコニコと会計を済ませた。 ヤマダくんは100%ストレートな人だなと思う。 そして、その嫁のタナゴコロの広さにも感心。 その夜、天然ストレートなヤマダくんの株よりも まだ若いのに、男性をタナゴコロに乗せる術を知っている彼女の株が 私の中で赤マル急上昇したのは間違いない。 |
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