四十だから惑う

世の中が少し見えてきたら,分からないことも増えてきませんか?

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 ようやく秋らしくなってきて,京都の呑み屋でもそれらしい酒の肴が並ぶようになってきた。寒くなれば京都では湯豆腐。小さな土鍋に昆布一切れと四角く切った豆腐が四五切れ。柚子か酢橘の利いたタレに九条ねぎの刻んだのをたっぷり入れて。酒は玉の光。あまり熱くない燗で。
 合鴨も脂がのってきてこれからますますうまくなる。甘辛いタレをつけて少し炙る。皮目がテカッと光って香ばしく,ビールにも酒にもあう。
 ぐじ(アマダイを京都ではこう呼んでいる)を開いて軽めの塩加減で少し干した奴は,遠火で焼くと脂がしたたり落ちてくる。皮のすぐ内側や骨の周りの身が堪らなくうまい。
 えび芋も出始めた。田楽か揚げ出しでいただく。寒くなると千枚漬けやすぐきもうまくなるし,淀大根の煮たのも捨てがたい。敢えて言うまでもないが,丹波松茸の土瓶蒸し。恐るべき旨さとそれに輪をかけた値段のすさまじさ。せっかく京都にこられたなら,ぜひとも本物を試してほしい。
 まさに至福の時。京都はこれから最高の季節を迎える。青菜と油揚げを炊いただけのおばんざいでさえ,うんと旨くなるように思う。大勢の人に来てもらいたいような,そうでないような,複雑な気持ち。惑える親父が益々惑ってしまう,そんな京都の秋が来た。


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