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どんどんどんどん雨の降る下へ
ジャムパンくらいの大きさの、静けさがある
そこへ雨は降っていず
花びらが少し
耳たぶは程よく湿り
目を覆う、手のひらの隙間へ何も入れられないくらいに
濡れた手紙を読む、暗がりの中で、
鉛筆の匂いをさせて文字が、
忘れている、と、並んだ
忘れて、いる、
一日一日、読んでも読まなくても過ぎる
食べることをして、すべてを忘れてまた
あした
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今日の、雨の詩
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前髪をつたって細い蜘蛛が落ちて
今にも水にのまれそうで
しゃもじですくいあげる
すぐそばの丸い皿の横へ置く
気圧計は天辺をさして
それを見ながら空腹で何も考えられない
と思う
気圧の干満を眺めながら
それでも
栄養を摂って生きる家族の幸せを
同時に考えていた
顔を覆って寝る人の
呼吸を蜘蛛が引っぱる
そうしながら
すくった蜘蛛はどうしても
水にひかれるのか何度も
同じところへ戻っていく
枯れた花をついに捨てて
しばらく上を向いていた
花が枯れるまでまた
何もできなかった
蜘蛛と行きつ戻りつして
自分の身体が今日は少し
大きすぎるような気がしている
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