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夜のうちただ一度、目を、
片目をあけて、 わずかに微笑んだ目尻のしわが 深く濃く 眠りに消えるのを 見ていた 髪は 毛の落ちた鳥の骨のように 束ねられて、そこへある もやのかかった、 私たちを覆う白い布、 呼吸を受け止めて震えて 浮かんでいる、 そして、髪で目隠しをする |
今日の詩 2013〜
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水のように泣いている
涙は流れずに皮膚だけを赤くして 日のあたらない腕を見せる 腕を撫ぜるとくらい陰がぽろぽろとはがれ かなしいと言うのに 首肯して振り返るともう 眠りに落ちてしまっていて どこもあたたかくよく乾いているのにかなしいと 言った陰だけが足下へ溜まった |
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雲の上を
歩いていられるように、 (まるいあしのうらの) まるい夢を見る 唸る声で目を開ける まぶたのうらの雨のそぼふるような渦 皮膚のなかで 音を立てる |
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肩をすっと落として触れる、夜明け、
結んだ唇の音を聞くため
つとめて呼吸をしない
豆電球は消せなくなり
小さい、
震動、
眠ったままの蹠の
こまかい傷のいくつかを弾いて
熱を帯び、水をのみ、
汗をかく、わずかの蒸気の
雲になった
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丸まる虫をひとさしゆびではね、
同じような、音がする
指のつけ根が、鈍く明るく
たてる音で、
網の目は埋もれて
夜が勝手に深く落ちる
小指だけを握る、片手で、指は、
白く小さく、痛み、内へなくなっていった
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