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高松宮日記
昭和16   1941     
826
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夜、宮城映画に、暑いから略服でとのことだったが、背広で上がる。皇后様は風邪でお引っ込み中。三笠様は、そんなら和服でよいかと伺ったら、洋服でよいとの陛下のお返事で、断然軍服で出ると申し上げたという。そのせいか、せっかく私が背広で行ったのに、海軍の軍服を着ていた。三笠様は、この頃、女も和服を着て参内するようにと主張している。一時はそんな気で張りきる年頃があるものだ。その意気その意気と言いたいところである。
                          [現代風に書きあらためた。曜日と天気は省略。]
 
8月、昭和天皇はアメリカとの外交関係の調整を熱心に望んだ。しかし、平和主義のイメージがある皇族の中から予期しない反抗が現われる。御所で映画を上映するときに、三笠宮は和服を着ていいか、と聞く。天皇陛下は、〈洋服でよい〉という返事。和服か?洋服か?これが重大な対立であることを理解した日本人は当時もそう多くなかっただろう。戦後の日本人はTVで女性の皇族の和服姿を見なれているから、何でもないことだと思ってしまう。ところが、高松宮喜久子妃のエセー《菊と葵のものがたり》を読むと、戦前は洋服でなければ御所に入れなかったと一言書いてある。慣例らしいが、別に説明はない。それを理解するには、明治の文明開化のさまざまなシーンを想い浮かべて、日本民族文化と西洋文化の対立という枠組みの中で見なければならない。
 
しかし、和服の禁止は極端な反日本を意味すると社会に受け取られるおそれもあった。こんな大胆さはもっと歴史の奥深いところから来るかもしれない。たぶん有栖川宮の歴史の考察で再現したキリシタンの時代から、だろう。天皇と公家は西洋文化の定着を望んでいたが、仏教と徳川幕府がキリスト教とともに西洋文化を禁止したのだった。これは文字で言い表わされた禁止ではない。しかし、日常生活に便利なさまざまな道具と事物までも消えてしまった…時計、手袋、靴、靴下、帽子、マント、おそらくズボンも、など。時計の他は、寒い地域に住む人たちにとって冷酷な禁止である。

 
それらは強烈な抑圧で長いあいだに忘れられしまった。復活したのは明治維新前から明治時代にかけてだった。復活した天皇と公家の欲求に並行していた。洋服を着るのは自然なことだった。
 
そういう歴史を考えると、三笠宮崇仁(たかひと)は、大正天皇の四男で一番若いが、明らかに幕府時代の非科学的で不合理な生活への退化を願っている。これは愛国主義や国粋主義と呼ばれる昭和の軍国主義の一面と共通する。天皇陛下が絶対に認めないことを理解したかどうか、三笠宮は意地を張って洋服と和服の中間を取ったつもりで軍服を着て映画を見た。
 
それだけでもびっくりさせるホーム・ドラマだが、三笠宮は、女も和服を着るようにと強気にファッション革命を唱えていた。高松宮はそれに対して大人としてからかっている感じである。

 
敗戦後、どんな話し合いで女性の和服が認められたのだろうか?
和服のファッションが嫌いな一人として言えば、結果的に皇族文化と世俗文化の和解のメッセージになって、女性の和服の価値を国際的に宣伝した。
 
 
 
List 2 有栖川宮の歴史; 有栖川宮とアリス
             c 天皇と西の都山口の教会堂
d 公卿と初期の教会堂
                                          活字印刷機の運命
                                          時計の運命
                                          手袋の運命
                                          靴と靴下の運命
 
 
Filming; 2015.11.25 大館橋右岸 御成町
 
 

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