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会計出納は制度の由って立つ所、百般の事業皆是れより生じ、経綸中の枢要なれば、慎まずばならぬ
也。其大体を申さば、入るを量りて出づるを制するの外更に他の術数無し。一歳の入るを以て百般の制限
を定め、会計を総理する者身を以て制を守り、定制を超過せしむ可からず。否らずして時勢に制せられ、
制限を慢にし出づるを見て入るを計りなば、民の膏血を絞るの外有る間敷也。然らば仮令事業は一旦進歩
する如く見ゆ共、国力疲弊して済救す可からず。
国(会社でも同じ事)の会計出納(金の出し入れ)の仕事はすべての制度の基本であって、あらゆる事業はこれによって成り立ち、国を治める上でもっとも要になることであるから、慎重にしなければならない。そのおおよその方法を申し述べるならば、収入をはかって支出をおさえるという以外に手段はない。一年の収入をもってすべての事業の制限を定めるものであって、会計を管理する者が、一身をかけて決まりを守り、定められた予算を超過させてはならない。そうでなくして時の勢いにまかせて、制限を緩慢にし、支出を優先して考え、それにあわせて収入をはかるようなことをすれば、結局国民に重税を課するほか方法はなくなるであろう。収入に山気をだしてはいけない。もしそうなれば、たとえ事業は一時的に進むように見えても国力が衰え傾いて、ついには救い難いことになるであろう。くわばら、くわばら。
霧山人
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