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乾の四徳―元・亨・利・貞の意味を敷衍する。
四徳のうち 元は物を生ずる元、人間の道徳でいえば最高至善の仁に当るから、善の長である。
亨は物を生育し通達させるはたらき、道徳でいえばその理想的秩序の集中的表現たる礼に 当るから、嘉の会、嘉しきことの会まりである。
利は物の生育を遂げさせ各々その宜しきを得さしめるはたらき、道徳でいえば義であっ てしかもその調和を得た状態である。
貞は物の生育を成就充足させるはたらき、道徳でいえば智にあたり、智は物事を成し遂げ るための根幹である。
さて、君子たるものが、その仁を身につければ人の上に立つに足りるであろうし、嘉しきことをすべて一所に聚め得ればおのづから礼にかなうに足りるであろうし、物それぞれに利を得させ宜しきところを得させれば、義にかなって和するに足りるであろうし、その智によって貞正を固くとりまもれば、事の根幹となるに足りるであろう。君子とはこの天の四徳を道義的に実践する者にほかならない。
それ故に「乾は元亨利貞」と言ってあるのである。
(『易経』(上) 高田真治・後藤基巳訳 より)
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