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孟軻曰く、君子は引いて発せず。躍如たり。中道にして立つ。能者之に従ふ。
「大匠は拙工の為に縄墨を改廃せず。羿は拙者の為に其の彀率を変ぜず。」
古人学者を鍛錬するの術は皆是くの如し。山野亦常に之を用ふ。未だ敢て学者の 為に辞色を貸さず。只だ学者之を自得せんと欲するのみ。躍如とは、功夫純熟な れば、則ち自得の妙理機に触れ縁に逢うて躍如として現前するの時節を謂ふ。是
に於てか、始めて他の為に祕を発せば、他之を得て徹底せず。徹底せざれば則ち 痛快ならず。半信半疑、却つて師伝を軽忽するに至る。若し又、其の時節を待ちて 発せば、則ち飢人の食を得るが如く、大旱の雨を得るが如し。珍重慶快、拳拳失は ず、竟に其の大志を成就するに至る。人に師たるの道、慎まざるべ可けんや。孔子
一隅を示すの意、亦推して知るべきなり。
(『禅海一瀾』 今北洪川 著 より )
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