平成17年4月6日から平成23年9月6日までのブログ

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一言

 儒学は君子や仁をめざすように教えるので、怨みを被ることはあまり想定されていない。

一言

 怨みに直で報いる儒学よりも、無とか空とか諦念の仏教の方が解決するのではないかと思う。

一言

 利害関係で怨みが生じるような社会では、もはや正直さや素直さしかない。

怨みに報いば如何。

 或人曰く、「徳を以て怨みに報いば如何。」
 
子曰く、「何を以てか徳に報いん。直を以て怨みに報い、徳を以て徳に報ゆ。」
 
(『論語』 憲問第十四 より )
 
 ある人が問うて言うには、「もし他人が自分に怨むべきことをした時に自分は却って恩徳をもってこれに報いたならばどうでございましょう。」
 孔子「報いは互いに平等でなければなりません。怨みのある者に恩徳を報いるならば、恩徳のある者に何を報いますか。公平無私をもって怨みに報い、恩徳をもって恩徳に報ゆべきものであります。」
 
 恩怨に対する態度を示したものである。
 
 「怨みに報ゆるに徳を以てす」という言葉が、老子にある。孔子は「直を以て怨みに報いる」という。老子の場合、怨みに対する徳という行為は、本物の聖人君子である以外にあり得ない。ここに、孔子のリアリズムがある。羅大経という人は仏教と比較して「徳を以て怨みに報いるのは慈悲広大で高く人に抜け出た行いではあるが、孔子が取らないのは世間に通用しない(仏や聖人君子になることは容易なことではないから)と思うからである。わが儒の道は必ず通用すべきことを欲する。故に『中庸』とか『人情に近い』とか言うのである。」といっている。
 「何を以てか徳に報いん。」ということは、仏教の因果応報とか、神道の明鏡止水に通ずる。「徳を以て徳に報ゆ。」ということに繋がるからだ。一番大事なことは、「直を以て怨みに報い」という言葉である。直ということは、正直かも知れないが、愛憎取捨の公平無私と解釈されている。現実問題として、非常に難しいことである。理想としては、怨みには愛でということがあるけれども、現実の愛は達成できないという恐れから、祈りと懺悔が必要となる。怨みに対して信じることと許すことが必要だが、その怨みを消すということはできるのだろうか。それと同じで、怨みに徳でということも理想でもあるが、これは高度経済成長で達成されたかに見えた。しかし、疑えばきりがないのだが、現状は今のようになっている有様であった。つまり、愛も徳も一事しのぎにしかならなかった。 孔子は、怨みには直であるという。どうなるかわからないが正直によって、怨みに報いれば、復讐されるかもしれない。殺されるかもしれない。これは、GHQに占領されたとき、昭和天皇が、自分はどうなっても構わないといった姿勢そのものだといえる。それはキリストの愛に近いではないか。結局、怨みに対しては、裸になってみなければわからないところがある。腹の中に一物を隠していないことを証明しなければ、受け入れてもらえないだろう。怨みには、ありのままの姿をさらすしか仕方がない。おそらく、怨みという人間の持つ一番醜い感情に対しては、美しい愛や徳は通用しないであろうという徹底したリアリズムが孔子には流れている。苦しみに耐えるしかないのであろう。

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