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竜疲れ虎困しみて川原を割く
億万の蒼生 性命存す
誰か君王に勧めて馬首を回さしむ
真成に一擲 乾坤を賭す
(鴻江を過ぐ) 韓愈
「乾坤一擲」という成語はこの詩から、
天地をさいころの一振りに賭ける意から、
のるかそるかの勝負をすることをいう。(成語大辞苑)
運命を賭して、のるかそるかの勝負をすること。(広辞苑)
という意味に用いられる。
4年に及ぶ漢楚の戦いで竜(劉邦)は疲れ、虎(項羽)は苦しんで、
鴻江を境にして天下を二分し、西を漢、東を楚とすると取り決めた。
ために、億万の民の生命は保たれるはずだった。ところが、劉邦の
軍師 張良と陳平は、君王に馬首を回して項羽を追撃することを勧めた。
そこで劉邦は、乾坤一擲の勝負を挑んだのだった。
乾坤とは天と地のこと、一擲は一度にすべてをなげうつこと。
つまり劉邦は天下を賭けて、のるかそるかの勝負にでたのである。
結果は「四面楚歌」「抜山蓋世」「捲土重来」でみてきたように、
劉邦が項羽を倒して、栄光の漢帝国を建てるのである。
韓愈は唐宋八大家の筆頭に挙げられる文章家の泰斗で、この詩は
韓愈が鴻江を過ったとき、漢楚の戦いに思いを馳せて詠んだものである。
(棚平 晃 氏 菊医ニュース 第331号 平成12年2月10日発行 より)
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