平成17年4月6日から平成23年9月6日までのブログ

日本の四季を大切にしよう。引越し先でも閲覧可。下の一言が入り口↓ 容量2GBを超えたので引越ししたよ。

将来の日本

[ リスト | 詳細 ]

高度経済成長のモデルがここにあった。

記事検索
検索

全4ページ

[1] [2] [3] [4]

[ 次のページ ]

将来の日本1

イメージ 1

 ああ吾人がわが将来の日本を論ぜんとするはあにまたやむをえんや。吾人は実に現今のわが社会のありさまを観察してこれを論ずるのやむべからざるを感ずるなり。それ日本の将来はいかん。いかになるべきか。いかになさざるべからざるか。吾人はわが将来の日本はもとより多事なりといえども、その第一急務は一国の生活を維持するにあることを陳じたり。しかしてその生活の手段は多端なりといえども、要するに武備生産の二主義にあることを陳じ、しかしてその手段の相違は一国の気風・品格・制度・文物・政治・経済・教育・文明等に大関係あるものなることを陳じたり。ここにおいてか吾人は一歩を進み、わが邦の生活はなんの主義をもって維持すべきかの問題を解説せんと欲し、あえてこれを速了臆断に付せず、まずこれを世界の境遇に質したり。しかして世界の境遇は実に生産的の境遇なることを発明せり。吾人はさらに眼孔をわが邦の一局部に転じて観察したるに実にわが邦現今の境遇はもっとも生産的の境遇に適し、わが邦現今の形勢はもっとも平民主義の大勢なることを発明せり。すなわちわが邦現今の状勢はこれらの境遇勢力の重囲のうちに陥りたることを発明せり。吾人がわが邦の将来を卜するの材料はすでにようやく完備し、しかして吾人がこの材料を綜索考究したるはもっとも公明正大なるを信ず。しからばすなわち吾人はこの材料によりて、ただちにわが邦の将来を卜するの決して妄想迷説たらざることを信ずるなり。
 それしかり、わが邦の将来はいかになるべきか。吾人はこれを断言す。生産国となるべし、生産機関の発達する必然の理に従い、自然の結果によりて平民社会となるべしと。吾人はたといわが人民が一挙手・一投足の労を取らざるも、現今の洪水はわが邦を駆りてここに赴かしむべしと信ずるなり。またたとい剣を挺し、戈を揮うてこれに坑敵するも、また必ず現今洪水は一層の猛勢を激してここに赴かしむべしと信ずるなり。けだし自然の勢いには適もなく、莫もなく、いかなる忠実なる味方も、執着なる敵讐も、みなその蕩々たる大翼の中に籠絡し、みなこれをその目的を達する一の利器となすものなり。それ英国の革命を激成したるものいずくんぞひとりミルトン、ハンプデン、ピム輩のみならんや。かのチャールス王彼自身こそそのもっとも張本人なるべし。維新の改革を煽動したるものいずくんぞひとり佐久間・吉田・西郷輩のみならんや。かの井伊大老のごときも、また一の発起者といわざるべからず。これを抗するももってこの勢いのために制せられてその利器となり、これに抗するももってこの勢いのために制せられてその利器とならざるべからず。すでに人力のもっていかんともなすべからざるを知らば、むしろこれをいかんともなさざるの優れるにしからざるなり。
 しからばすなわちわが将来の日本なるものはいかになさざるべからざるか。この自然の大勢に従い、これを利導するにあるのみ。故人曰く、「達人よく明了。すべて天地の勢に順う」と。実にしかり。ただこの天地の勢いに順うにあるなり。

(『将来の日本』 徳富蘇峰 第十六回 将来の日本(結論) より )

過去の日本1

イメージ 1

 めいめいの先祖たるものは多くは東照宮へ仕えた奉り数度の戦場に身を砕き骨を粉にして相働きその勲功により知行あてがわれ候間、今に至ってその身その身安楽に妻子を扶助し、諸人に御旗本と敬われ候これみな先祖の勲功によるところなり。しかるところその先祖の恩を忘れてあてがわれたる知行を自身の物と心得、百姓を虐げいささか撫恵の心なくややもすれば課役を申しつけなど致し候輩これみな心正しからず。不行跡というは若年より不学にして何事をも弁えず育ち候よりのことに候。……たとえば楽しみと致す古来よりのものとして和歌を詠じ、蹴鞠・茶道・あるいは連歌・俳諧・碁・将棋等の遊び業これあるところ、今にては御旗本に似合わざる三味線・浄瑠璃をかたりこうじては川原ものの真似を致す族も間々これある由、これみな本妻というもののなく召仕の女にて家内を治むるゆえ軽々しく相成り、不相応なる者を奥深く出入りを免し不取締りにて候。その身恥を思わずわがままなる行跡に成り行き候ままにおいておのずから勝手不如意に相成りて嗜むべき武具をも嗜まず、益もなき金銀を費やし、これを償わんため多くは筋目なきものの子を金銀の持参にめでて貰い、軽き者の子も縁金によって養女とし、娘と致すより事起こり自然と家内を取り乱し候。天和の制法にありて養子は同姓より致すとあるも筋目を糺すべき制法につき某殿寄には以後養子を致すとも娘取り致すとも縁金と申すことを停止せしめ、姓を糺し婚姻すべき時節を延ばさず取り結ぶべきことに候。不勝手なる族片づき候に金銀の用意これなく自然と時節を送り候ときは男女の道おのずから正しからざることに至り候。ここを深く相考うべきこと頭たる者よくよく心をつけもはや縁辺願い出で候節吟味を遂ぐべきことに候。婚礼の時節はずれ候につき年若き面々遊所に入り込み不相応の遊び事を致し風俗乱れ、衣服等につき候紋を略し夜行のとき提灯の印を替え云々。
 それ衰勢ここに至る、いかにかの賢相が苦心をもって祖宗の天下に回復せんと欲するも荳また得べけんや。

 (『将来の日本』 徳富蘇峰 第十二回 過去の日本 一 (第四 わが邦 現今の形勢より論ず)より)

天然の商業国3

イメージ 1

 もしこの時節に際せばわが邦はたといみずから好まざるもわが天然の好位置はわが邦を駆って勢い商業国たらしむべし。いわんや旧来の陋習を破り、天地の公道に基づき上下心を一にし盛んに経綸を行い、断然として武備拡張の主義を廃棄し、吾人がかつて『自由道徳および儒教主義』の小冊子〔明治十七年十二月〕において論じたるごとく、
 もしわが制度をして自由の制度となし、財政を整理して、信用を厚うし、人民所有の権を安全にし、百般の職業を解放して人民の自由に任せ、干渉保護の跡を削り、大いにわが港湾を浚え、大いにわが関税を減じ、全国を開いて内地雑居を公許し、来るものは拒まず、往くものは追わず、外国の人民も、外国の資本も、外国の貨物をも、自由に注入するを得せしめば、わが国百工の興隆するあたかも霜雪に圧せられたる草卉が春風に逢うて俄然としてその芽を発するがごとく、たちまちにして池塘芳草の好時節となるは決して疑うべからず。はたしてかくのごとくんば、耕者みな王の野に耕さんと欲し、商賈みな王の市に蔵めんと欲し、行旅みな王の塗に出でんと欲し、たちまちにして太平洋中の一埠頭となり、数万の烟筒は煙を吐いてために天日を暗からしめ、雲のごとき高楼、林のごとき檣竿、錘鑿・槓杆・槌鍛の音は蒸気筒の響き、車馬轣轆の声とともに相和して、晴天白日雷鳴を聞くがごとくならん。あにまた愉快ならずや。
 かのジョセフ・クック氏はいわずや。「日本は小なれども楫のごとし。東洋の大船を揺かすはすなわちこの楫ならざるべからず」と。実にもっとも道理ある言というべし。以上の理由はたして相違なくんばわが邦は実に天然の商業国たるの境遇を有するものといわざるべからず。しかれどもここに一の疑うべきことあり。わが人民の資格ははたして商業家たるの資格を有するや否やの問題これなり。

 (『将来の日本』 徳富蘇峰 第十一回 天然の商業国 (第三 わが邦 特別の境遇より論ず)より)

天然の商業国2

イメージ 1

 〔第二〕 外国社会の刺激あるがゆえなり。もし過去において二国相仇とし、いわゆる歴史的の記憶なるものを有する場合においては、我より彼に報いずんば、彼必ず我に報うることあるをもって、勢い相互に竜驤虎視、武備機関を発達せしめざるばからず。あるいはよし、しかることなきももし強大にしてかつ武備的の国とその境界犬牙相接する場合においては我つねに戒厳するところあらざるべからず。しからずんばたちまちかの封豕長蛇もって我をして城下の盟をなさしむべし。またことにその位置において兵略のいわゆる争地たるの国土はもっとも武備に注目せざるべからず。なんとなれば万邦・万人、みな涎を流し、牙を磨し、みなその呑噬の機会をまつをもって少しく我に乗ずべき隙あらばたちまちその国体を亡うに至らん。かかる場合においては万々やむをえず、泣く泣くもたとい一国を身代限りの悲堺に沈淪せしむるも武備の用意をなさざるべからず。すなわち独仏の関係は歴史的の記憶あるがためなり。露独の関係は犬牙相接するがためなり。イタリアのごときローマ帝国没落以来群雄鹿を遂い、千兵万馬の驟地するところ万目一手、みなもってその大いに欲するところを逞しゅうせんと欲するものあるがためなり。試みに思え、わが邦ははたしてかかるやむべからざるの事情あるか。唯一の国体なり。唯一の人種なり。唯一の風俗なり。唯一の言語なり。その結合なるものは利益の結合にして兵略上の結合にあらざればもとより利害をことにするがごときものあることなし。宗教のごときは今日に至るまでほとんど政治家の注意をひくほどの現象にすら進歩することあたわず。たとい将来においてキリスト教の勢力を進歩したりとてこれがために一国の一致を鞏固ならしむることはあるべからず。しかしてその面積は二万四七九四方里に出でず。いかなる凡庸政治家といえども、もってこれを掌上に運転することを得べし。しからばすなわちその外部の事情はいかん。四方八面ただ大海の茫々蒼々たるを見るのみ。三十年前までは鎖国の政略を採りたれば歴史的の記憶とてさらに存するものはあらず。封土美なりといえどもイタリアの単騎長躯ただちにその城下を陥れらるるがごときにあらず。すでにしからばわが邦を商業国となすにまたなんの妨害的の事情あらんや。もし外部の事情はつねに我に向かって反射の運動を与うるものとせば、わが邦はむしろ武備的の運動をば障碍することあるも商業上の発達を激成するものなりといわざるべからず。これを要するにわが邦は自然の結合によりて自然の国体をなしたるものなり。ただただ自然の傾向によりてすなわち水の下流に就くがごとくしてこれを治むべきなり。

(『将来の日本』 徳富蘇峰 第十一回 天然の商業国 (第三 わが邦 特別の境遇より論ず)より)

天然の商業国1

イメージ 1

 全体の境遇はもって一部の境遇を支配せざるべからず。全面の大勢をもって一局の大勢を支配せざるべからず。しからばすなわちわが日本特別の境遇と大勢とはまたいずくんぞ世界一般の境遇と大勢とによりて支配せらるるものなることを疑わんや。
 読者はすでに記憶せらるべし。今日の世界の境遇は実に平民主義の大勢なることを。すでにしからば吾人はただこの事実よりしてただちにわが日本の将来は商業国となるべし、また商業国とならざるべからずと断言することを得べきやもとより論をまたず。しかりといえどもかのゲルマンのごとき、露国のごときはその国に固有する一種特別の事情あるがために容易に全体の大勢に従い、全体の境遇に入り全体と協同一致の運動をなすべからざるがごときの観なしとせず。おもうにわが日本においてははたしてこれらの事情あらざるや、否や。これ吾人がわが邦の境遇を観察するにさきだち、思考を労せざるべからざるの点なりとす。
 およそ今日の大勢に抗し武備をもって一国の生活を維持するものは必ず過去のやむべからざる事情あるがゆえなり。しかしてその事情においてもっとも重なるものは、〔第一〕内部の結合薄弱にしていまだ強迫の威力を仮ざるべからざるもの存すればなり。
 けだし内部の結合薄弱にしてややもすれば分裂の傾向を生ずるゆえんのものその原因一にして足らず。あるいは人種を異にしてその性情行径においておのずから氷炭相容れざるものあり。あるいはその腕力をもって征服せられたるにもかかわらず、そのかつて独立国たりし遺風を存し、その国体の記憶を有し、恥を包み愧を忍ぶといえどもその心中報復の念いまだ一日も去るあたわず。ために征服者をして一日も去るあたわず。ためあらざれば高枕安臥するあたわざるものなり。あるいは宗教・言語・風俗の相撞着するよりして、あるいはその国家の面積あまりに広漠に過ぎ、政治家の手中において随意の結合を頼んでこれを維持するあたわず。ややもすれば分解せんとするの勢いあるがために、またあるいはその政府なるもの、人民を、すなわち人民の実例実利を代表するあたわず。これがために風声鶴唳その位置の危険なるに恐れ、ためにやむをえず武力を仮りて国を維持せざるべからざるの苦策を行なうことあり。

 (『将来の日本』 徳富蘇峰 第十一回 天然の商業国 (第三 わが邦 特別の境遇より論ず)より)

全4ページ

[1] [2] [3] [4]

[ 次のページ ]


.
霧山人
霧山人
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

エコロジー

日本的なもの

標準グループ

感覚として

健康について

わーるど・ネット

小説家たち

政治勢力

料理ひと

Yahoo!からのお知らせ

友だち(8)
  • 杉山 浩司
  • ゆきの@冬地蔵
  • C-KOA
  • ayumu
  • cafeherb
  • oxauco
友だち一覧
検索 検索

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事