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将来の日本

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高度経済成長のモデルがここにあった。

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平民主義の運動5

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 他なし渠輩が政治上においてかくのごとき願望を有するゆえん、しかしてこの願望は鍾まりてかくのごとき大勢力をなすゆえんのものは、ただ彼らがすでに生産上において得たるところのものをば政治上に拡ぐるをもってのゆえなり。すでに商売上においては唯一の購買者、すなわち唯一の権理者と義務者とあるのみ。ゆえに渠輩はこれを政治上に推し及ぼし、政治上の関係をもただ権理義務の関係をもって支配せんことを欲するなり。生産上において渠輩を使役し、渠輩を運動せしむるものはただ自然の必要あるのみ。ゆえに渠輩は政治上においてただ自然の必要をしてその命令者たらしめんことを欲するなり。生活上の最大威権者はただ正義なり。ゆえに政治上の最大威権者もただ正義にあらんことを願うなり。これを要するに生産上において渠輩は自由なり、平等なり、自然なり。ゆえに政治上においても自由なり、平等なり、自然ならんことを欲するのみ。それ人は利害もっとも切なるの点に向かってもっともその痛痒を感ず。生活上の利害は直接の利害なり。ゆえに人類は期せずして生活上においてまずその安心立命の地位を得たり。政治上の利害は間接なり。しかれどもすでに直接の利害においてそのところを得ばこれに随ってそのもっとも心を悩ますものは必ず間接の利害ならざるべからず。直接の利害ある間こそ間接の利害なれ。すでに一歩を転じ来たれば間接の利害も一変して直接の利害とならざるべからず。それ青は藍より出でて藍よりも青し。平民主義は生産機関の境遇に生出し、その勢力はほとんど駕してこれに上らんとす。しからばすなわち今日において政治上において平民主義の流行するあにまたうべならずや。今日の社会を維持するには平民主義ならざるべからず。今日の平民主義は社会の元気たらざるべからず。かの貴族社会の武備主義のために武備主義とともに武備主義によりて立たざるべからざるがごとく、またかの生産世界なるものは平民主義のために平民主義とともに平民主義によりてたたざるべからず。ただこの一の必要あり。必要の向かうところ天下に敵なし。今日において平民主義の天下に敵なきもあにまたうべならずや。世の平民主義の仇敵をもってみずから任ずるの士はこれをもってモンテスキュー、ルソー輩の鼓舞煽動に出でたりとて恨めしくその不平を訴うれども、これあにしからんや。かの二氏はその議論少疵なきにあらずといえども、一世の知勇を推倒し、万古の心胸を開拓す。その豪胆卓識まことに不世出の人物なるは論をまたずといえども、もしその言うところにして人民の実利実益と相反するか、もしくは相関渉なきときにおいては、なにがゆえにかくのごとく一声の霹靂天地を劈くの大改革を生出し来たらんか。かの人民なるものは政治上においてこそ平民主義のいかんをば理解せざりしも、生活上においてはすでにこれを実行し来たりしなり。かの二氏のごときは空中の楼閣を構成し来たりて人民を教唆したるにあらず。ただ人民は実際上の事実を観察し、これを帰納し、これを演繹して、一片の議論を作為したるのみ。釈迦はもとより慈善家なり。しかれども釈迦の来たらざる前に人類の慈善を行うものそれ幾千人なるか。かの二氏はもとより平民的の政論家なり。しかれども二氏の説法せざる以前にいくばくの人民が事実上に平民主義を実行したるか。それ国家は人民をもって組織したる一大有機体なり。すでにしからば平民主義の分子は国家とともに国家のうちに生出したるや疑うべからず。しかしてそのいまだ発達せざるゆえんのものはなんぞや。その時節いまだ来たらざればなり。その境遇いまだ生ぜざればなり。その機会いまだ熟せざればなり。今やすでにその機会を得たり。二氏なしといえどももとよりこの境遇にはこの現象あらざるべからず。いわんや二氏のごとき案内者あるにおいてをや。

 (『将来の日本』 徳富蘇峰 第九回 平民主義の運動 二 (同上) より )

平民主義の運動4

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 そもそもこの平民主義の運動のもっとも著名なるは政治世界にあり。けだし平民主義の政治世界に侵入するあたかも狂瀾怒涛の海面を撒いて奔るがごとく、貴族的の堤防は一時に潰裂せざらんと欲するもあたわざるの勢いにして、すなわち米国革命戦争のごとき、仏国革命のごとき、ギリシア、イタリアの独立のごとき、英国憲法改正案・非穀物条例運動のごとき、みな十目の観るところ、十手の指すところなり。一八六五年、ブライト氏はバーミンガムの公館において議院改正案に関し左の演説をなせり。
 国家の奇禍として恐怖すべきものは平民主義にあらずしてむしろ平民の正常なる請求と権理とに敵対する執政者・執権者なり。その名称は彼みずから称して王党といい、民権党ともいうにせよ、その真面目は保守党なるものにしてこの党派こそ実に吾人が戦わざるべからざる真に国家の大奇禍なり。渠輩は河流を禦ぐべし。奔水を逆流せしむべし。しかれどもいったん水勢の激昂氾濫するときにおいて、しかして今やそのときの来たる真に眼前の迫るのときにおいて、もし聡明なる政略をもってこの愚妄なる政略に代うることなくんばたちまちにしてその堤防を潰破せしむべし。かれみずから揚々として今は平民主義を鎮圧したりと安心するのときにおいてたちまち一致雄決したる人民の猛志をもってこれを一掃するに至るべし。乞う試みに眼を挙げて欧州の表面を見よ。いまだ代議の制度を適用せざるの国はただ二国、すなわちロシア、トルコの二国あるのみ。しかして露国のごときは他の欧州諸国とともに駸々乎として自由の域に進めり。代議政体のごときはイタリアにおいても、あるいはオーストラリアにさえも、またあるいはほとんどゲルマン諸連邦において、北方の諸国において、ベルギーにおいて、オランダにおいて、フランスにおいて、ポルトガルにおいて、スペインにおいて発見せられざるところなきにあらずや。
 けだし平民主義は今日政治世界の一大勢力なり。吾人はそのいずれのところより来たり、いずれのところに往くを知らず。しかれどもその威の触るるところ、その気の激するところ、至大至剛ほとんど天地に充塞するの勢いなるは吾人がつねに目撃して驚嘆するところのものなり。その気運の趣くところ、あるいは貧賤なる農夫・傭兵・職人をして権利を保有せしむるの嘆願書となり、あるいは柔婉優美なる婦女をして参政の権を分配せんことを迫るの公訴状となり、あるいは壮烈鬼神を泣かしむる独立檄文となり、これがために俄然として一の太平民国興り、これがために忽然として一の大貴族滅び、これがために一個の市民はたちまちにして世界万国の敬礼推尊を受くるの大統領になり、これがために朕はすなわち国家なりと誇言したる大皇帝の子孫も他国に流寓し天涯の孤客とならざるべからざるに至れり。

 (『将来の日本』 徳富蘇峰 第九回 平民主義の運動 二 (同上) より )

平民主義の運動3

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 実に自由の世界すなわち平民的の社会はかのルソーが夢想したるごとき質朴野蛮の社会において決して行なうべきものにあらず。すなわちその性質をして従順ならしめ、その気象をして馴致せしめ、これをして結合協力の道を知らしめ、これをして自愛・他愛の関係を知らしめ、これをして社会の威力を感ぜしめ、その形体上においては恒久に耐うるの身体たらしめざるべからず。その知力上においては遠慮あり、将来を予備するの知識を蓄えしめざるべからず。その感情上においては主我的の放恣なる運動を制する種々の体面法・習慣法の支配を被らしめざるべからず。ただかくのごとく進歩したる社会にして、初めて人為の結合やんで自然の結合生じ、人為の必要やんで天然の必要生じ、強迫牽制的の運動やんで初めて自由随意的の運動行わるることを得るなり。それ野禽を林園に馴れ養わんと欲せばまずこれを籠中に収めざるべからず。籠中は決して野禽目的の地にあらざるなり。しかれども林園のうちを高飛朗吟せしめんと欲せば、必ずまずこの窮屈なる籠中の苦を忍受せしめざるべからず。しからざれば決してその性をして馴養せしむることあたわざるなり。それ世界は造物主の林園なり。人類はその野禽なり。これをしてその幽谷を出で喬木に移り林園を快翔せしめんと欲せば、まず貴族社会の籠中に孤囚たらしめざるべからず。それ上古貴族的の社会は人類を教育して自由の天性を全うせしむる一の学校にてありしことは、人類が幾千年を経過したるの今日に至り、初めてその過去の足跡を回顧しようやくにしてその深意の万一を理解するを得るに至れり。それ火中に蓮花を咲かしめ荊棘のうちより葡萄を収穫し、不自由中より自由を生ずるがごとき不可思議の手段に至りては、吾人は実に驚嘆せざらんとするもあたわざるなり。しかして人生の狭小なる心をもって考うればこの不自由の学校に在る日月のあまりに遼遠なりしを見てひそかに疑う者あれども、かれ無極をもって時となし、宇宙をもって家となす、上帝の眼光より見れば一秒時間にだも価せざるべし。造化一歩を転ずれば人生幾千年を経過するを知らず。ああまた大なるかな。

 ( 『将来の日本』 徳富蘇峰 第八回 平民主義の運動 一 (第二 社会自然の大勢より論ず)
 より)

平民主義の運動2

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 しかりといえども光陰の潮流は奔りてやまず。武備的の機関すでにその効用を社会の進化に竭し、これがために社会が一歩を転ずるのときにおいては社会の境遇も一歩を転ぜざるべからず。白雪天地に満ち四望銀世界の日において、春風百花を扇ぐの好時節はほとんど人の夢想せざりしところなりといえども、地球が地軸を転じ、その軌道を奔るや、端なくこの時節に来たらざるべからざるがごとく、わが世界の歴史も、日月の潮流とともについにこの意外なる境遇に来たらざるべからざるの命運となれり。けだしかの中古の歴史は武備の境遇一変して生産の境遇となり、貴族の社会一変して平民の社会とならんとする一大過渡の歴史にして近世の歴史はすでに半ばその目的を成就し、また半ばこれを成就せんと欲するの歴史といわざるべからず。かの生産の機関が武備機関の中心より出でたるがごとく、また近世平民的の現象なるものは多くは中古の貴族的の現象中より生出し来たらざるものほとんどまれなり。しかして武備機関の衰亡と、貴族社会の凋落と、生産機関の興隆と、平民社会の勃起とは、つねに一致連帯の運動をなすものにして、このなかには実にいうべからざる妙理の存するものあるは社会の大勢に通じたるの士の実に玩味するところとならん。けだし英国ほどその秩序よく平民主義の進歩したるものはあらず。実に英国社会変遷の実例はもって欧州一般社会の模範として論ずるに足るべし。しかしてかの英国はなにがゆえにかくのごとくすみやかに封建の羈絆を脱し、かくのごとくすみやかに帝王の専制を脱し、かくのごとくすみやかに宗教の専制を脱し、妄想迷信の専制を脱し、いかにしてその政治の自由を得、いかにしてその思想・議論・良心の自由を得たるかと問わば、古今の学者のこれに答うる、その説はなはだ繁くかつ長しといえども、ただ一の要領を挙げんことを請わば、万口一声みな富の進歩したるがゆえなりというべし。商業の進歩と、平民主義とは、決して単行するものにあらず、よし暫時はかかる例外の現象もあるべけれども、とうてい相連絡せざるべからざるものなり。いやしくもしからざればその二者の生存決して覚束なきなり。もしこれを疑わばなんぞ試みに英国憲法史を一読せざるや。
 ああいずくんぞそれ造物主の用意の周到懇切なるや。彼は抑圧の人生に幸福を与うるときにおいては必ず人生に向かってはその抑圧を与えたり。かの手みずから与えたるにあらず。しかれども社会の境遇は当時の人類をして抑圧を忍受せざるべからざらしめたり。人類すでに自由を必要なりとなすときにおいては造物主はまた自由を与う。かれのこれに与うるゆえんのものは他の術なし。ただ人類の境遇を一変して抑圧を忍受すべからざらしめたり。上古の社会に武備機関の増長したるは近世の社会に生産機関の増長せんがためなり。上古の社会において貴族的の社会の流行したるは近世の社会をして平民的の社会たらしめんがためなり。吾人が先祖の抑圧をこうむりたるは吾人をしてこれをこうむらざらしめんがためなり。すなわち吾人をして自由を得せしめんがためなり。

 (『将来の日本』 徳富蘇峰 第八回 平民主義の運動 一 (第二 社会自然の大勢より論ず)
より)

平民主義の運動1

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 天地は万物の逆旅にして光陰は百代の過客なり。しかしてこの光陰の大潮流とともに世界の表面に発出する人事の現象はおのずから運転変動せざるべからざるものあり。しかしてその変動なるものはおのずから社会自然の大勢のために支配せらるるものあるを見るなり。
 試みに見よ。上古において光彩燦爛、世界の舞台を装うたる貴族的の現象は今いずくにある。看よ。その一半はすでに凋落し去り、視聴の世界を去り、すでに記憶の世界に入りしにあらずや。しかしてそのわずかに生存するものとても痩歩蹣跚すでにその片足をば墓中に投じたるにあらずや。これに反しかの平民的の現象なるものは、あたかも一夜のうちに富士の高山が地面より湧出したるがごとく、第十九世紀の世界に突兀として聳え来たりたるにあらずや。けだし貴族的の現象すでに去りて平民的の現象まさに来たらんとするはこれ歴史上の一大事実なり。すでに事実なり必ずそのしかるゆえんのものあらざるべからず。
 そもそも社会を組織するの分子は、実に雑駁なるものなれば、その運動のごときも決して単純の法則のみにて支配せられるべきものにあらざるはもとより論をまたず。ゆえに吾人はあえてこれをもって、生産武備二機関の消長盛衰をもって、唯一の原因とはなさざれども、もしこれらの現象はいかなる境遇に生ずるものにして平民的の現象は武備機関の隆盛なる境遇に生ずるものなりと。すなわち上古の歴史にしてかくのごとき現象あるは決して異しむに足らず。なんとなればかくのごときの境遇あればなり。近世の歴史においてかくのごときの現象あるは決して異しむに足らず。なんとなればかくのごときの境遇あればなり。
 いかなる自由の意志を有する動物も、必要の前には必ずその首を低れざるべからず。実に上古において武備機関を設けざるべからざるの必要は、すでに他の一種、異様異彩なる貴族的の現象を生ぜざるべからざるの必要を産せしめたり。しかしてなんの必要ありて上古においては武備機関を設けざるべからざらしめたるか。人間社会の進歩せざるべからざる必要あるがゆえなり。せつにこれをいえば、優勝劣敗の妙理を活用してもって優等の人種と優等の社会とをして社会に生存せしめ、社会を支配せしめんとするの必要あるがゆえなり。
 世界文明の微光は兵の運動とともに始まり、武備の機関進歩するに従い社会はいよいよその歩を進め、二者並行いまだかつて轡を駢べ、袂を連ねて運動せざることはあらず。吾人は実に断言す。文明なるものは実に武力の胎内より孕産したるものなることを。試みに思え。文明世界の人類をして文明の民たらしめんと欲せば自由の必要なるがごとく、野蛮世界の民をして文明の民に進めんと欲するときには抑圧なるものは実に必要なり。これはその意の動くままに放任せざればもって文明の運動をなすあたわず。かれはその意の動くがままに放任するときにはもって文明の運動をなすあたわず。その目的は一なり。しかれどもその手段かくのごとく異ならざるべからざるゆえんのものは実にその人民の位置においてやむべからざるものあればなり。
 
 ( 『将来の日本』 徳富蘇峰 第八回 平民主義の運動 一 (第二 社会自然の大勢より論ず)
より )

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