平成17年4月6日から平成23年9月6日までのブログ

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古典

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一寸法師 5

御心の中、おしはからひてこそ候へ。あらいたはしや一寸法師は、姫君を先に立ててぞ出でにけり。宰相

殿はあはれ此事をとどめ給ひかしとおぼしけれども、継母のことなれば、さしてとどめ給はず。女房たち

も付き添ひ給はず。姫君あさましき事に思しめして、かくて何方へも行くべきならねど、難波の浦へ行か

ばやとて、鳥羽の津より舟に乗り給ふ。折ふし風荒くして、きようがる島へぞ着けにける。舟より上り見

れば、人住むとも見えざりけり。かやうに風悪く吹きて、かの島へぞ吹き上げける、とやせんかくせん

と、思ひわづらひけれども、かひもなく、舟より上り、一寸法師はここかしこと見めぐれば、いづくとも

なく鬼二人来りて、一人は打出の小槌を持ち、いま一人が申すやうは、「呑みてあの女房取り候はん」と

申す。口より呑み候へば、目の中より出でにけり。鬼申すやうは、「是は曲者かな。口をふさげば目より

出づる」。一寸法師は鬼に呑まれては、目より出でて、とび歩きければ、鬼もおぢをののきて、「是はた

だ者ならず。ただ地獄の乱こそいできたれ。ただ逃げよ」といふままに、打出の小槌、杖、苔、何にいた

るまでうち捨てて、極楽浄土のいぬゐの、いかにも暗き所へ、やうやう逃げにけり。さて一寸法師は是を

見て、まづ打出の小槌を濫妨し、「われわれがせいを大きになれ」とぞ、どうど打ち候へば、程なくせい

大きになり、さて此程疲れにのぞみたることなれば、まづまづ飯を打ち出し、いかにもうまさうなる飯、

いづくともなく出でにけり。不思議なるしあはせとなりにけり。

(『御伽草子』 一寸法師 より )

一寸法師 4

 かくて年月送る程に、一寸法師十六になり、せいはもとのままなり。さる程に宰相殿に、十三にならせ

給ふ姫君おはします。御かたちすぐれ候へば、一寸法師姫君を見奉りしより、思ひとなり、いかにもして

案をめぐらし、わが女房にせばやと思ひ、ある時みつもののうちまき取り、茶袋に入れ、姫君の臥してお

はしけるに、はかりことをめぐらし、姫君の御口にぬり、さて茶袋ばかり持ちて泣き居たり。宰相殿御覧

じて、御尋ねありければ、「姫君の、童がこの程取り集めて置き候うちまきを、取らせ給ひ、御参り候」

と申せば、宰相殿大きに怒らせ給ひければ、案のごとく姫君の御口につきてあり。まことはいつはりなら

ず、かかる者を都に置きて何かせん、いかにも失ふべしとて、一寸法師に仰せつけらるる。一寸法師申し

けるは、「童が物を取らせ給ひて候程に、とにかくにもはからひ候へとありける」とて、心のうちにうれ

しく思ふ事限りなし。姫君はただ夢の心地して、あきれはててぞおはしける。一寸法師とくとくとすすめ

申せば、闇へ遠く行く風情にて、都を出でて、足に任せて歩み給ふ。

(『御伽草子』 一寸法師 より )

一寸法師 3

 かくて鳥羽の津にも着きしかば、そこもとに乗り捨てて、都に上り、ここやかしこと見る程に、四条五

条の有様、心もことばにも及ばれず。さて三条の宰相殿と申す人のもとに立ち寄りて、「物申さん」とい

ひければ、宰相殿はきこしめし、おもしろき声と聞き、縁のはなへ立ち出でて、御覧ずれども人もなし。

一寸法師、かくて人にも踏み殺されんとて、有りつる足駄の下にて、「物申さん」と申せば、宰相殿、不

思議のことかな、人は見えずして、おもしろき声にてよばはる、出でて見ばやとおぼしめし、そこなる足

駄はかんと召されければ、足駄の下より、「人な踏ませ給ひそ」と申す。不思議に思ひて見れば、一興な

るものにて有りけり。宰相殿御覧じて、げにもおもしろき者なりとて、御笑ひなされけり。

(『御伽草子』 一寸法師 より )

一寸法師 2

 さりながら、生れおちてより後、せい一寸ありぬれば、やがてその名を、一寸法師とぞ名づけられた

り。年月をふる程に、はや十二三になるまで育てぬれどもせいも人ならず。つくづくと思ひけるは、ただ

者にてあらざれ、ただ化物風情にてこそ候へ。われらいかなる罪の報にて、かやうの者をば、住吉より給

はりたるぞや、あさましさよと、みるめもふびんなり。夫婦思ひけるやうは、あの一寸法師めを、何方へ

もやらばやと思ひけると申せば、やがて一寸法師此よし承り、親にもかやうに思はるるも、口惜しき次第

かな、何方へも行かばやと思ひ、刀なくてはいかがと思ひ、針を一つうばに請ひ給へば、取り出したびに

ける。すなはち麦わらにて柄鞘をこしらへ、都へ上らばやと思ひしが、自然舟なくてはいかがあるべきと

て、又うばに、「御器と箸とたべ」と申しうけ、名残惜しくとむれども、立ち出でにけり。住吉の浦より

御器を舟としてうち乗りて、都へぞ上りける。

  住みなれし難波の浦を立ち出でて都へ急ぐわが心かな

(『御伽草子』 一寸法師 より )

一寸法師 1

 中ごろのことなるに、津の国難波の里に、おほぢとうばと侍り。うば四十に及ぶまで、子のなきことを悲しみ、住吉に参り、なき子を祈り申すに、大明神あはれとおぼしめして、四十一と申すに、ただならずなりぬれば、おほぢ喜び限りなし。やがて十月と申すに、いつくしき男子をまうけけり。

(『御伽草子』 一寸法師 より )

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