平成17年4月6日から平成23年9月6日までのブログ

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悠塾の心得

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『文明論之概略』 福澤諭吉 1875(明治八年)
『氷川清話』   勝 海舟 1897(明治三十年)
『学問のすすめ』 福澤諭吉 
   1872(明治五年)〜1876(明治九年)
『福翁自伝』   福澤諭吉 1997(明治三十年)

明治の時代背景を考慮して読んでいただきたい。


 丸山真男によれば、福澤諭吉は「脱亜入欧」なんて言っていないらしい。儒教の道徳は、ちゃんと認めていた。
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 学問をするには分限を知ること肝要なり。人の天然生れ附きは、繋がれず縛られず、一人前の男は男、一人前の女は女にて、自由自在なる者なれども、ただ自由自在とのみ唱えて分限を知らざれば我儘放蕩に陥ること多し。即ちその分限とは、天の道理に基づき人の情に従い、他人の妨げをなさずして我一身の自由を達することなり。自由と我儘との境は、他人の妨げをなすとなさざるとの間にあり。譬えば自分の金銀を費やしてなすことなれば、仮令い酒色に耽り放蕩を尽すも自由自在なるべきに似たれども、決して然らず(そうではない)、一人の放蕩は諸人の手本となり遂に世間の風俗を乱りて人の教えに妨げをなすがゆえに、その費やすところの金銀はその人のものたりともその罪許すべからず。

(『学問のすゝめ』 初版 福澤諭吉・小幡篤次郎 同著 )

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 学問とは、ただむつかしき字を知り、解し難き古文を読み、和歌を楽しみ、詩を作るなど、世上に実なき文学を言うにあらず。これらの文学も自ずから人の心を悦ばしめ随分調法なるものなれども、古来世間の儒学和学者などの申すよう、さまであがめ貴むべきものにあらず。古来漢学者に世帯持の上手なる者も少なく、和歌をよくして商売に巧者なる町人も稀なり。これがため心ある町人百姓は、その子の学問に出精するを見て、やがて身代を持ち崩すならんとて親心に心配する者あり。無理ならぬことなり。畢竟その学問の実に遠くして日用の間に間に合わぬ証拠なり。されば今かかる実なき学問は先ず次にし、専ら勤むべきは人間普通日用に近き実学なり。譬えば、いろは四十七文字を習い、手紙の文言、帳合の仕方、算盤の稽古、天秤の取扱い等を心得、なおまた進んで学ぶべき箇条は甚だ多し。地理学とは日本国中は勿論世界万国の風土道案内なり。究理学とは天地万物の性質を見てその働きを知る学問なり。歴史とは年代記のくわしきものにて万国古今の有様を詮索する書物なり。経済学とは一身一家の世帯より天下の世帯を説きたるものなり。修身学とは身の行いを修め人に交わりこの世を渡るべき天然の道理を述べたるものなり。これらの学問をするに、いずれも西洋の翻訳書を取調べ、大抵の事は日本の仮名にて用を便じ、或いは年少にして文才のある者へは横文字をも読ませ、一科一学も実事を押え、その事に就きその物に従い、近く物事の道理を求めて今日の用を達すべきなり。右は人間普通の実学にて、人たる者は貴賎上下の区別なく皆悉くたしなむべき心得なれば、この心得ありて後に士農工商各々その分を尽し銘々の家業を営み、身も独立し家も独立し天下国家も独立すべきなり。

(『学問のすゝめ』 初版 福澤諭吉・小幡篤次郎 同著 )

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 天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり。されば天より人を生ずるには、万人は万人皆同

じ位にして、生れながら貴賎上下の差別なく、万物の霊たる身と心との働きをもって天地の間にあるよろ

ずの物を資り、もって衣食住の用を達し、自由自在、互いに人の妨げをなさずして各〃安楽にこの世を渡

らしめ給うの趣意なり。

(『学問のすゝめ』 初編 福澤諭吉・小幡篤次郎 同著 )

百谷の王者

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 大河や大海が百谷の王者でありうるのは、それが低きにいて善くへりくだるから、

百谷の王者でありうるのだ。だから、人の上に立とうと思うときには、

必ず謙虚な言葉で相手にへりくだり、人の前に立とうと思うときには、必ず人の後ろからついてゆく。

だから無為の聖人は、民の上に居ても民は重荷とせず、その前に居ても民は邪魔者としない。

だから世界じゅうの人間が、彼を推し戴くことを楽しんで厭な顔をしないのだ。誰とも争おうとしないか

ら、世のなかに敵対しうるものがいないのだ。

(『中国古典選 11 老子 下』 福永光司  下編(徳経) 第六十六章 より )

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 節義廉恥を失ひて、国を維持するの道決して有らず、西洋各国同然なり。上に立つ者下に臨みて利を争

ひ義を忘るる時は、下皆之に倣ひ、人心忽ち財利に趨り、卑吝の情日々長じ、節義廉恥の志操を失ひ、父

子兄弟の間も銭財を争ひ、相ひ讐視するに至る也。此の如く成り行かば、何を以て国家を維持す可きぞ。

徳川氏は将士の猛き心を殺ぎて世を治めしか共、今は昔時戦国の猛士より猶一層猛き心を振ひ起さずば、

万国対峙は成る間敷也。普仏の戦、仏国三十万の三ヵ月糧食有りて降伏せしは、余り算盤に精しき故なり

とて笑はれき。


 節義(かたい道義、みさお)廉恥〈潔白で恥を知ること)の心を失うようなことがあれば国家を維持することは決してできない。それは西洋各国であってもみな同じである。上に立つ者が下に対して自分の利益のみを争い求め、正しい道を忘れるとき、下の者もまた上を見習ってしまい人は皆財欲に奔走し、卑しくけちな心が日に日に増長し、節義廉恥のみさおを失うようになり、親子兄弟の間も財産を争い互いに敵視するに至るのである。このようになったら何をもって国を維持することができようか。徳川氏は将兵の勇猛な心をおさえて世の中を治めたが、今〈明治初)は昔の戦国時代の勇将よりもなお一層勇猛心を奮い起さなければ世界のあらゆる国々と相対することはできないであろう。独仏戦争のとき、フランスが三十万の兵と三ヵ月の食糧があったにもかかわらず降伏したのは、あまりにも金銭財利のそろばん勘定にくわしかったがためであるといって笑われた。つまり、頭が良すぎると、あきらめが早すぎることになる。

                                 霧山人


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