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英国やアメリカの学校は大学院でなくても、「自分で仮説を立てそれを考察する」という学習スタイルが多い。別の機会に記事にしたいが、実はそれが自分の子供に英国やアメリカで教育を受けさせた理由だ。もちろん最初はそんなことは知らなかったのでこれは偶然の産物。
前の記事でiphoneの日本市場の戦略について書き始めたのでここで完了させたい。
ここに書くことは学校で習ったことをベースにした自分の仮説とその考察である。
だから、あたっているかも知れないし全く的外れかもしれない。
でも自分の勉強には丁度いい。特にiphoneの日本市場での展開はここ3年ほどに起こったことでよく知らず、自分の情報が断片的なので「本番のための実習」にはもってこいだ。
本番つまり自分がもしマーケティングをやる場合、全ては未知である。なのでよく知らないが過去に起こったことを題材するのが「練習」としては都合がいいということ。
ところで前の記事でApple社はipodの成功に起因するHypeつまり「あやかり人気」に便乗したと書いた。
これは一般大衆だけの話ではない。世界的な有名企業の重役に対して行われた最近のアンケートでもApple社は「もっとも先駆的で技術開拓者として成功している」企業のナンバー1に選ばれている。
しかし、1984年のMachintoshの発売以来のAppleの歴史をよーくみて見ると「先駆的技術で成功している」とは必ずしも言えない。むしろ二番煎じでの成功の方が多い。
まず最初のMachintoshコンピュータ。これについていたマウスとdrag-and-drop機能はまさしく先駆的、画期的であった。ところが特許やビジネス契約上の不手際(だったと記憶している)からこの技術をMicrosoft社にそっくり模倣され、かたやWindowsの大成功とは対象的にMachintoshコンピュータは特定のマニアだけが使うあまり売れていないコンピュータになってしまった。
1990年の前半にApple社は手書き入力機能を付けたNewton Message Padという電子手帳を開発しているが、機能の画期性とは裏腹にまったくの失敗作となった。
一方でipodであるが、これはようはMP3プレーヤーである。その最初の発売の2001年当時MP3プレーヤーは既に市場に出回っていて珍しいものではなかった。
そして2007年に発売されたiphoneにつながるが、これは機能的な斬新性はMachintoshコンピュータやNewton Message Padと比べると全く比較にならないほど劣る、のだが商売的にはその逆で大成功になっている。
いやはや、Appleは面白い会社だ。しかしボクはAppleだけがユニークと思わない、商売の成功と技術的な先駆性は必ずしも同居しない(もちろんする場合も多いが)。
漏れのないように言うがiphoneあのTouch Padの操作は画期的である。しかし、前にも指摘したように模倣が簡単でしかも特許などによる保護が困難なので長期の差別化要因にはならないはずだ。
Apple社の成功商品はどれでも単一技術の先駆性でなく「既存技術の再パッケージ化」である。上の記述からあきらかなように既に市場か形成されているMP3プレーヤー市場に操作性(あのくるくる回す選曲方法)を持ち込み消費者の興味をつかみ、ituneで曲のダウンロードの利便性と収益性を同時に確保した。
しかし、どれ一つをみても先駆的技術でないが、組み合わせは斬新といえる。
さて、iphoneの成功に対するボクの仮説はNetwork Effectに基づくと書いた(前の記事)。
で、独自の理論は
・ファーストクラス効果 First-Class effect
・Part-of-Equation Marketing Dynamics効果(適当な日本語がみつからない)
まず、コンビニストアの店頭を見るといろんな商品が並んでいる。たとえばある種類の商品、清涼飲料をみるとその売り場スペースには限りがあり、従い「(商品陳列)場所の獲得」が清涼飲料メーカーとしては重大事項である。陳列棚の割り当てがない商品には全く希望がない。また、競合他社を蹴落とすには陳列棚の場所を他社に渡さないようにすればいい(もし可能なら)。これをscarce assetのpremeptive効果というそうだ。
ところが、世の中には陳列棚のスペースが実質的に無限に広がっているという商売の形態もある。
インターネット小売のアマゾンの場合、実質的な限界がないと言ってもいいくらいの陳列スペースがある。別に理由で制約はあるが。
前の記事でアプリケーションソフトウエアを開放するかしないかの話をしたが、これを開放するとインターネット小売のような状況になる。高機能携帯電話でそのアプリケーションインターフェイスが開放されると、世の中に無数にある第三者ソフトウエア提供会社が様々な機能のアプリケーションソフトを提供し、その高機能携帯電話自体の付加価値が増大する、と考えるのが普通だ。
ところがこの逆の戦略もありえる。
本来、無限に広がっている陳列棚に敢えて制限された区域を意図的に作る。
そこを「高級品商品棚」と勝手に命名する。
命名するだけなくそこにどんな商品が並ぶかも制限するのだ。一見、無限の選択を与えられていたのに比べると販売能力が落ちたようにみえるが、そもそも「無限の選択」とは与えられた購入者側もどう選択していいか判断に困るので、この「高級品商品棚」は意外に好都合となる。
しかも「高級」と名がついているのでなんとく安心もでき、また優越感にも浸れて、結構居心地がいい。
これがファーストクラス効果、その居心地のよさが飛行機のファーストクラスと重なるので命名。
また、Appleは高級とは命名していないが、その値段が高級感を暗示する。
さて、この戦略、無名の会社がやっても全く効果がない。Appleのようにipodで既に知名度があり、その動向を世間が注目しているからこそできる。これをPart-of-Equation Marketing Dynamics効果、つまりその会社の動向が市場の形状を多少なりとも変えることができる会社が取り得る戦略となる。
ファーストクラス効果でAppleが「高級品商品棚」の販売および仕入れを牛耳っていることにもう一つ利点がある。ボクはiphone用に作成されたアプリケーションは他の高機能携帯電話では使えないようになっていると想定している。こえはNetwork Effectの効用のひつつでBuyer Switching Costの増大効果という。
つまり、MicrosoftのOfficeと同じで他社のアプリケーションに切り替えると各ユーザーが今まで蓄積した文書やSpreadsheetの資料が使えなくなり、全てを一から作り直すコストがかさみ、切り替えに二の足を踏むということ。iphoneでいろいろ便利なアプリケーションの使い勝手に慣れると、いまさら操作方法の違うBlackberryに変えたくない、という話。これは教科書ににのっている一般戦略でボクの新たな理論ではない。
とりあえず、iphoneの件はこれでおしまい。
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たしかに、iPhone って、操作が超簡単なんですよ。
近々、新型が出ると言う話があって、開発中の写真がリークされたりしているみたいですけど、今度のキャッチフレーズは
「バカでも使えるiPhone」
「サルでも使えるスマートフォン」
などというのがいいと思います。
2010/5/14(金) 午前 0:58
おーーーー。考察おもしろい!それもエンジニアとビジネス側からの見識がまたいい!
2010/5/16(日) 午前 7:52
最近ね・・・・・近くのものが見えなくなってきて(老眼って言うな〜〜〜〜笑)
携帯電話の機能がどうこうと言うより・・・・
文字を大きくしてくれ〜〜〜〜〜と言う要求の方が強かったりして、、、、、、ははは
2010/5/17(月) 午前 6:34
IT-Bさん
操作が簡単というのはきっと「こうすればああうごくのでは?」と想像したことがその通りの動作をするということではないですか。
Appleはそのへんには長けていると思います。
2010/5/18(火) 午前 1:11 [ 忍者半蔵でござる ]
Momokoさん
そう言われてみればビジネスとエンジニアの側面からみたような考察になっていますね。意識はしていませんでしたが。
2010/5/18(火) 午前 1:12 [ 忍者半蔵でござる ]
ゆーさん、ボクも目の焦点距離問題は日増しに実感させられています。
そういえば日本の携帯電話でそういう年齢層??に特化した商品があったような。
2010/5/18(火) 午前 1:16 [ 忍者半蔵でござる ]