映画脚本「ペギー、ナンシーそして

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車の中では助手席に座った瑤子がハンドルを握る
ウィリーと会話に熱を上げていた。これからの瑤子の
ビジネスの打ち合わせを大きなジェスチャーを交えて
していた。
ウィリーは神妙に前を向いたまま、時折頷いていた。

後座席の二人は瑤子の達者な英語力と、それにも増して
白人をも負かせてしまう程の態度の大きさに圧倒され、
ただただお互いの目を見詰め合っていた。




サンフランシスコのダウンタウンに近い駅に着くと列車に
乗り換える為、発着場に向ってドンドンと歩いてゆく。

 「二人ともこちらよ。」

瑤子は外国語を話すのも、異国の旅行も躊躇するどころか積極的で
楽しんでいる風だった。二人は黙ってついて行く。

 「ウィリーに頼んで、列車の個室を取らせたわ。
  ここで目的地に着くまで楽しくお喋りしましょう。」

コンパートメントの入り口を珍しそうに眺めながら、中に入ると
レイコがやっと口を開いた。

 「これって、すごく高いんじゃないの。いいの、そんなお金使って?」

 「いいのよ。大丈夫。ウィリーがやってくれるわ。
  彼は私のお父様と葉巻の輸出の仕事をしていて、何度も日本には
  来ているの。お父様は大切な仕事のパートナーだから何でも聞いて
  くれるわ。」

瑤子はヨーロピアン風の客室椅子に腰掛けると、タバコをポケットから取り
出し火をつけた。急に今まで快活だった瑤子の声のトーンが低くなる。

 「ところで、、、、」

 「ところで?なんだよ?」

レイコがオウム返しに聞く。千鶴子が体を前にのめらせて話に聞き入る。

あの物事をいつもはっきり言う瑤子にしては珍しく、口ごもった様子で
切り出した。

 「ところで、、、例の件何だけれど、、、、
  無かったことにして欲しいの。
  誰にも言わないと約束して欲しいの、、、、」

一瞬、意表を突かれたかのように顔を見合すレイコと千鶴子。

しばらくして物分りのいいレイコが頷いた。

 「いいよ。勿論だよ。
  瑤子がそんな事持ち出すから思い出したけど
  アタイはそんな事とっくの昔に忘れていたよ。
  なあ、千鶴子?」

 「ええ、、、そうよ。忘れていたわ、、、、」

気弱い千鶴子は他人に合わせるのが上手い。

 「そう、、、、ありがとう、、、、」

と言い、タバコの煙を吐き出すと、やがて啜り泣きを始める瑤子。

 「おいおい、どうしたんだ。大丈夫だよ、誰にも言うどころか
  もう忘れちまってるよ。」

 「ありがとう、、、じゃ、ここで約束してね。」

と言って小指を差し出す瑤子。

 「瑤子も結構、乙女っぽいところがあるんだな。
  いいよ、なあ千鶴子。」

レイコがせかすように千鶴子の手を引っ張り寄せると、三人の指を絡ませ
指きりげんまんをした。

 「何があってもこの事は公言しない事、、、」

 「それよりアタイ達3人、これから何があってもお互い助け合って
  やって行こう!」

 「乾杯、乾杯しましょ。私達3人の将来に、、、」

瑤子は気を取り戻すと、急いでタバコを灰皿に押しつぶし、テーブルの下の
シャンペーンを取り出すとコルクを天井に音を立てて飛ばした、

 「乾杯!!」

 「乾杯!私達3人のハリウッドに乾杯!」


列車は右手に眩しいほどの太平洋からの海の反射を受けながら、
ロサンゼルスへと南下して行った。

サンフランシスコ到着

船は9日間の長い航海の後、無事サンフランシスコに
到着した。

そこには興奮した幾千もの出会いが待ち受けていた。

旅慣れた瑤子の平静さは別格として、初めて外国の地を
踏んだ千鶴子、レイコの2人とも興奮と未知への恐怖感
を隠しきれなかった。

波止場では瑤子の所属する事になる白人のエージェントが
山高帽を手に持って待っていた。
瑤子はすでに東京でこの男の事を知っていた。ウイリアム・
モリスと言い、現在のハリウッド・エージェンシーでダントツ
トップを行くタレント・エージェンシーの創業者である。

 「Hi! Willie. How have you been? It's so nice of you to
come down to pick me up over here.」

瑤子は澱みの無い流暢な自信に溢れた英語を見事に操る事が出来た。

 「Hello, Yoko-san. I've been waiting for you so long.
How's your trip?」

鷲鼻に鬢長をたくわえたこの目つきの悪い白人はヨーロッパの
貴族気取りを演じていた。と言うより瑤子の侯爵上がりの風格に
対応する為、わざと紳士気取りを繕う空気に押されていた。

 「The food they served in the cabin was all right, but
I simply couldn't bear the seasick on the boat at all.」

 「Oh! You poor thing,,,」

 「なんか安物の三文オペラを見ているようだぜ、、、、」

瑤子の後ろで隠れるようにしてウィリーとのやり取りを見ていた
二人だが、レイコがわざといつもの男声で呆れるように、そして
瑤子に聞こえるように呟いた。

そんなレイコの言葉を無視するように、瑤子は髭の白人相手に英語で
対等に渡り会うどころか、これからの指示さえ出している身振り手振り
だった。

右手でハイカラな日笠を指しながら、左手を使って大きなジェスチャーで
2人にこの似非紳士のウィリーを紹介した。

 「千鶴子ちゃんにレイコ、よく聞いて。この方が私のハリウッドでの
  エージェント、ミスター・ウィリアム・モリス。」

2人は見慣れない白人相手にばつの悪そうなお辞儀を同時にした。

 「今、彼に言って駅まで一緒に車に乗せて行って貰う様に手配したから。
  さあ、荷物を早速取りに行きましょう。」

ロサンゼルスまでエージェントの出迎えの無い千鶴子とレイコの2人は始めての
異国に放り出され、今の自分の身の回りの処理をどうして良いのか周章狼狽する
ばかりだった。

瑤子の段取りの良さと、半分その命令口調に押されて二人はおろおろと瑤子の
指示に従った。

車はフォードT型だった。

まるで地に付かないような足取りで2人は車に乗り込んだ。

瑤子の唄う歌は彼女の性格がよく表われた優等生のそれだった。

英語の発音もきれいで、とても自信に満ち溢れた歌唱力だが
個性も面白みも無い、無機質のまとまりだった。

拍手をした後で千鶴子がうらやましそうに言った。

 「いいな瑤子姉さんは。歌はもちろん英語もお上手だから、、
  私も女優を目指す以上は歌もある程度歌えないと、、、。」

すでに千鶴子にとって瑤子は「姉さん」になっていた。

 「踊りはどうなんだい?千鶴子。」

カウチに横になったレイコが尋ねる。

 「えっ?」

 「教えといてやろう。ハリウッドじゃ歌も唄えない、踊りも
  踊れない奴は他の職業につくしかないって言われてんだぞ。」

そう言いながらかったるそうに立ち上がるレイコ。

 「いいか。見てな、、、」

と言うが早いか瞬発的にダッシュして狭いキャビンの壁を駆け上がる
ようにして見事な爆転を見せるレイコ。
まるでアクロバットを見ているようだった。
目を丸くする千鶴子。
大袈裟に目を白黒させ驚いた表情で手を叩く瑤子。

 「今日は酔っ払ってるから、これぐらいしか出来ないが目的地までの
  道のりはまだある。それまでに千鶴子に幾つかのダンスの基本を
  教えてやろう。向こうについてから役立つかもね。」

 「ああ、レイコさん是非、是非教えて!」

甘え上手、おねだり上手の千鶴子が猫なで声で乞う。

 「千鶴子ちゃん、じゃ私は歌の発声法を教えてあげるわ。」

 「ええ、ほんとう瑤子姉さん。千鶴子、うれしい!」

 「いいわよ。ほら軽くお腹に手を当てて、、、息を吸って、、
  吐き出しながら、ららら、らららら〜」

 「ららら、らら〜」

 「そうそう、でももっとお腹に力を入れて、喉からじゃなく
  お腹から声を出すように。」

 「ららら、ららら〜」

 「そう、それでいいのよ。この発声法を知っているだけで全然
  声の響きが違うのよ。聞いている人にはプロのように聞こえる
  のよ。」

目を輝かせて教えられた発声法を飽きずに何度も繰り返す千鶴子。

 「千鶴子、じゃ次はオイラがダンスの基本ステップを教えてやるよ。
  ほらこうしてつま先で立つようにして、、、アン・ヂュ・トロー、
  アン・ヂュ・トロー、、、」

 「こう?アン・デュ、、、ああ難しい。でも楽しい!」

この貪欲な千鶴子の吸収力、一心に良くなりたい、と言う素直な上昇欲が
後々、二人を驚かせ、特に瑤子には殺意に近い嫉妬心を呼び起こす事になる
とは、、、、、


神さえも予期しない3人の将来をハリウッドが待ち構えていた。

 

HAPPY NEW YEAR 2009!

イメージ 1

A Happy New Year 2009 !!

今年は「ペギー、ナンシーそしてレイコ」の3人が
それぞれの夢を抱いてハリウッドへ乗り込みます!

3人はどんな気持でこのハリウッド・サインを眺めて
居たんだろう、、、、

お酒が回って、お腹も一杯になった頃、リラックスして
キャビンのカウチに横たわったレイコが話の先頭を切った。

 「で、瑤子はどんなジャズ・シンガーを目指してんだ?」

瑤子、聞かれてうれしそうに目を輝かせながら、

 「私はドリス・デイが大好き!彼女みたいにフィーリングの
  あるホンモノの歌手になりたいの。いや、なるわ。絶対!」

 「フィーリングねえ?
  そのフィーリングとやらでここで何か唄って頂戴、瑤子さん。」

 「いいわよ。"Above Crowd is Always the Sunny Day"を唄うわ。
  「雲の上はいつだって晴れ空」て意味よ。いい、唄うわ。」





と言う事で瑤子、レイコ、千鶴子さん達の楽しい時間が過ぎて行きます。

うらやましい、、、、、

それではボクも何とか家族と和解?を試みて見ます、、、



みなさま、良いお年を!!!!

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