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物心ついた時から、いつも傍らには紙と鉛筆があった。
私はその紙に絵を描いていた。
何かを描きたいではなく、自然に何かが描かれてゆく。
紙と鉛筆が擦れあう音や感触が好きなのである。
木の彫刻を彫るときは、木の削れる音や感触が好きなのである。
その結果、ヒトガタが生まれるだけである。
私にとってアートとは何かと問われたら、
色や形や造形ではなく、その先にあるものと答える。
バングラデシュという未知の国に図書館を造ることなど
夢のまた夢。私は到底実現不可能な夢物語だと思っていた。
しかしアートは乗り越える。
アートは言葉の壁も国境も乗り越え図書館を完成させた。
ストリートチルドレンと一緒に遊んだ時、
彼等は今の境遇を決して諦めていなかった。そう感じた。
彼等はその先にあるものを見ていた。
彼等がその先にあるものを手に入れようとする時
そこにはアートが存在する。
その先にあるものは幸福。
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