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カルカッタ その日も勿論暑かった。 人いきれが余計に湿度を上げるし、ひしめく通行人の群れで不快指数は更に上昇。 でも、俺は若かったし、こういう粘度の高い空気の中を歩くのは大好きだ。 カルカッタの街は、本当に楽しい。歩けば歩く程、現実感が遠退く。 信じられない場所で寝ている人。 見ても何の用途か解らないものを売っている人。 暗がりからでこちらを見る目。その白眼の部分が異様に目立つ。 死ぬ寸前に見える人がいるのに誰も知らん顔。 おそらく植民地時代のものだと思われる崩れた壁の建物。 サリーで土方をするインドかあちゃん。 その日も、そんな街歩きを堪能してサダルストリートの宿へ帰る途中だった。 リキシャーワーラー(人力車引き)と目が合った。 老人だった。 雑踏をかき分け、こっちへやってきた。無論乗る気は無い。 俺は早く宿に帰って[冷えているうちに]、キオスクで買ったカンパコーラ(インド製偽コーラ)を 飲みたいのだ。 断ると、執拗に食い下がって、値段交渉してくる。 もう面倒臭いので、乗る事にした。 多少時間が掛かっても、断る為の時間に比べたら乗った方が良いと判断したから。 折角インドに来たんだし、一度は乗っておくのも経験だし、とも思ったし。 狭い通りは、ひしめいている。職人芸でそれを巧みに避けて行く。 感心しながら、それを見ていた。 と、その時だった。 通りの対岸で叫んでいる白人がいる。その声にそっちを見ると 俺に叫んでいるのが解った。 「早く降りろ。老人虐待だろ!! 可哀そうだ!!」 (はあ? 何だこいつw) 「ほら、早く降りろ! お前は、歩け!」 ってな狂った事を顔を真っ赤にして、ムキになって喚いている。 (これが、啓蒙主義(笑)ってヤツか。初めて見た。しかし、何だ。そもそも、営業妨害だろうが。) 黒柳徹子とか、アグネスチャンなんかの顔が浮かぶ。 「お前の知った事か!」 俺は、そう怒鳴って、後は無視して宿まで送って貰った。 料金を受け取りつつリキシャ引きの老人が言う。 「ああいうのは、困るんだよ。」 「だよね〜〜。」 二人で苦笑いした。 ロビーの椅子に座ってカンパコーラを飲んだ。やっぱりぬるくなっていたので、余計に不味かった。 http://www.kjclub.com/UploadFile/exc_board_61/2010/07/02/127804193248.GIF あの白人の現在の職業は、捕鯨妨害かな? |
旅行
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貧乏人が多い国ばかり巡ってきました。
自分が貧乏だからですね(&ケチ)。
自分が貧乏だからですね(&ケチ)。





