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“零式水上観測機は本当に優秀な飛行機だ”と佐山は思った

時代遅れの複葉機は単葉機と比べると翼が二枚ある分速度は出なかったが小回りが利き安定性も抜群であった

六機のF4Fに追い回されているのに今だに命中弾もなく逆に一機を撃墜する事に成功した

佐山は零観に乗って死ぬなら本望だとさえ思った

「集中しやがれ!」

伝声管から小林の怒鳴り声がした

小林の指示に従って回避動作を繰返しながら佐山は無意識のうちに他の事を考えていた

回避動作が甘くなったのかすぐに小林に自分の集中力が薄れてきている事に気づかれた

回避動作を繰返している内に高度はどんどん失われて行く

F4F搭乗員の練度はやはり高くなかったがそれでも下に下に追い詰めては来ている

いよいよ海面スレスレまで零観は追い詰められていた

これで縦の動きは封じられた

佐山は横の動きだけを使ってF4Fの射撃をかわさねばならなくなった

「右上方から敵機射撃!」

小林の声も焦りからか上ずってきている

「貴様、焦るんじゃねぇ!こっちまで焦るだろ!」

今度は佐山が小林を叱咤した

「黙れ!左上方から敵機射撃!」

佐山は小林の声に合わせて寸分の狂いもなく操縦悍を切る

すぐ下の海面に零観がかわした弾丸が弾けている

小刻みに上がる水飛沫を見て佐山は全身を固くした

F4F編隊は零観を追い詰めたと思って油断したのか真後ろを取ってきた

その瞬間、小林の操る七、七ミリ後部機銃が火を吹いた

弾丸はF4Fの操縦席を貫いた

小林の目には血を吹くF4F搭乗員の白人の姿が見えた

F4Fはそのまま海面に突っ込んだ

それでもまだ執拗にF4F四機が零観を入れ替わり立ち替わり射撃してくる

もうダメだ…やられちまう!

佐山も小林も同時に最後の瞬間を自覚した

死を受け入れた

佐山も小林も同時に“やっぱりこいつと一緒に死ぬのか”と思っていた



(続く)

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