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川瀬大尉は重圧に耐えきれなくなっていた

ラバウル基地の精鋭部隊である零戦隊の丹波編隊と三沢編隊にラエへの出撃命令を出した

敵機が待ち伏せしている可能性がある事やラエの上陸部隊が敵大編隊に攻撃されている可能性がある事を川瀬は丹波に告げた

「任せろ」

丹波はそう一言だけ言うと列機の広木、森田と三沢、志村、飯沼を連れていつもの様に出撃して行った

丹波部隊はラバウル基地を出撃してすぐの海上で米軍の空母艦載機F4F四機と遭遇した

F4F四機は一機の零式水上観測機を追い回していた

丹波と零観の搭乗員、佐山と小林は支那事変の時から面識があった

上空を飛んでいた丹波部隊は一気に降下しながらF4F四機に攻撃を加えた

これが丹波部隊にとって初の敵海軍機との戦闘であった

F4F四機は零観への追跡に夢中になっていたためか丹波部隊の上空からの攻撃に全く気づいていなかった

丹波編隊、三沢編隊の順でF4F編隊に対して上空から攻撃を仕掛けた

勝負は一瞬で着いた

四機のF4Fはすぐに火を噴き海面に激突し全滅した

丹波が零観に目を向けると小林が後部座席から“敵大編隊ラエを攻撃中”と手信号で伝えてきた

“了解”と丹波は佐山と小林に手信号を送りラエに向かった


丹波部隊がラエ上空に駆けつけた時、敵の大編隊はすでに去っていた

佐山と小林の欺瞞飛行は敵機の撤退の時期を少なからず早めたようだった

ラエ湾に目をやると我方の輸送船団が何隻も火災を起こしていた

この日の敵方の攻撃によって我方は七隻の艦船を沈没もしくは大破という大損害を出した

戦死者は百三十名にのぼった

これは一作戦のものとしては開戦以来、我方最大の犠牲であった

佐山と小林の機転を利かせた飛行がなければ犠牲はもっと大きくなっていたに違いなかった




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