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昭和十七年三月十一日 ケータイ投稿記事

ラエ基地の滑走路が海軍陸戦隊によって整備され使用可能になった

私達、通称“丹波部隊”はラエに転戦せよと川瀬大尉から命令を受けた

整備兵の岡村、そして川瀬大尉自身もラエに転戦する事となった

私達を含めた零戦隊十七機、陸攻隊十五機が本日ラエ基地に進出した

ラエ基地の滑走路は狭く広大な滑走路が何本もあるラバウル基地とは比べようもなかった

まさに最前線と言う感じがした

ニューギニア島は米国が金の採掘をするために進出していた島である

ニューギニア島全土から採掘された金を米国本土に輸送するため島のそこら中に小さな滑走路が作ってあった

ラエ基地の滑走路もその一つだった

文明の名の元に未開の地に進出してはその土地の資源を根刮ぎ奪い去る

米国に限った事ではない
我が国も亜細亜のいたる所で似たような事をやっている

近代国家とは名ばかりの略奪者が世界中を手中に納めようと躍起になっている時代であった

兵舎もなく少し前まで豪州人が住んでいたと言う大きな家を兵舎変わりに使う事になった

家には豪華なベッド等がありそれなりに快適な生活が送れそうだった

我々、搭乗員はすぐに休む事ができたが川瀬大尉や整備兵の岡村等は基地移転の準備で忙しそうであった

いよいよ豪州の眼前、ニューギニヤ島まで我々は来たのだ

戦況は順調なように見えた

南国の夕日を久し振りにゆっくりと眺める事ができた



今だからこその一冊! ケータイ投稿記事

福島原発事故が大きな問題になっています。

想定外の津波によるダメージのため福島原発は電源喪失と言う大変危険な状況を招きました。

現在、福島原発は何とか電源を確保し電源喪失と言う異常事態からは脱したと伝えられています。

東野圭吾著「天空の蜂」と言う本があります。

1995年に書かれた古い本ですが原発から目を背ける、また原発に対して無関心な国民の姿が鋭く書かれています。

放射能レベルが人体に与える影響が少なかった良かったではなく今こそ1人1人が原発問題に対して考える時が来ているのではないでしょうか?

「天空の蜂」では国民に原発問題を訴える手段として犯人がある重大な行動に出ます。

この本の中には我国が抱える原発問題とそれに対して国民が悲しいほどに無関心な事が詳しく書かれています。

この時期だからこそ是非、御一読下さい!

東野圭吾著

「天空の蜂」

講談社文庫
川瀬大尉は重圧に耐えきれなくなっていた

ラバウル基地の精鋭部隊である零戦隊の丹波編隊と三沢編隊にラエへの出撃命令を出した

敵機が待ち伏せしている可能性がある事やラエの上陸部隊が敵大編隊に攻撃されている可能性がある事を川瀬は丹波に告げた

「任せろ」

丹波はそう一言だけ言うと列機の広木、森田と三沢、志村、飯沼を連れていつもの様に出撃して行った

丹波部隊はラバウル基地を出撃してすぐの海上で米軍の空母艦載機F4F四機と遭遇した

F4F四機は一機の零式水上観測機を追い回していた

丹波と零観の搭乗員、佐山と小林は支那事変の時から面識があった

上空を飛んでいた丹波部隊は一気に降下しながらF4F四機に攻撃を加えた

これが丹波部隊にとって初の敵海軍機との戦闘であった

F4F四機は零観への追跡に夢中になっていたためか丹波部隊の上空からの攻撃に全く気づいていなかった

丹波編隊、三沢編隊の順でF4F編隊に対して上空から攻撃を仕掛けた

勝負は一瞬で着いた

四機のF4Fはすぐに火を噴き海面に激突し全滅した

丹波が零観に目を向けると小林が後部座席から“敵大編隊ラエを攻撃中”と手信号で伝えてきた

“了解”と丹波は佐山と小林に手信号を送りラエに向かった


丹波部隊がラエ上空に駆けつけた時、敵の大編隊はすでに去っていた

佐山と小林の欺瞞飛行は敵機の撤退の時期を少なからず早めたようだった

ラエ湾に目をやると我方の輸送船団が何隻も火災を起こしていた

この日の敵方の攻撃によって我方は七隻の艦船を沈没もしくは大破という大損害を出した

戦死者は百三十名にのぼった

これは一作戦のものとしては開戦以来、我方最大の犠牲であった

佐山と小林の機転を利かせた飛行がなければ犠牲はもっと大きくなっていたに違いなかった



“零式水上観測機は本当に優秀な飛行機だ”と佐山は思った

時代遅れの複葉機は単葉機と比べると翼が二枚ある分速度は出なかったが小回りが利き安定性も抜群であった

六機のF4Fに追い回されているのに今だに命中弾もなく逆に一機を撃墜する事に成功した

佐山は零観に乗って死ぬなら本望だとさえ思った

「集中しやがれ!」

伝声管から小林の怒鳴り声がした

小林の指示に従って回避動作を繰返しながら佐山は無意識のうちに他の事を考えていた

回避動作が甘くなったのかすぐに小林に自分の集中力が薄れてきている事に気づかれた

回避動作を繰返している内に高度はどんどん失われて行く

F4F搭乗員の練度はやはり高くなかったがそれでも下に下に追い詰めては来ている

いよいよ海面スレスレまで零観は追い詰められていた

これで縦の動きは封じられた

佐山は横の動きだけを使ってF4Fの射撃をかわさねばならなくなった

「右上方から敵機射撃!」

小林の声も焦りからか上ずってきている

「貴様、焦るんじゃねぇ!こっちまで焦るだろ!」

今度は佐山が小林を叱咤した

「黙れ!左上方から敵機射撃!」

佐山は小林の声に合わせて寸分の狂いもなく操縦悍を切る

すぐ下の海面に零観がかわした弾丸が弾けている

小刻みに上がる水飛沫を見て佐山は全身を固くした

F4F編隊は零観を追い詰めたと思って油断したのか真後ろを取ってきた

その瞬間、小林の操る七、七ミリ後部機銃が火を吹いた

弾丸はF4Fの操縦席を貫いた

小林の目には血を吹くF4F搭乗員の白人の姿が見えた

F4Fはそのまま海面に突っ込んだ

それでもまだ執拗にF4F四機が零観を入れ替わり立ち替わり射撃してくる

もうダメだ…やられちまう!

佐山も小林も同時に最後の瞬間を自覚した

死を受け入れた

佐山も小林も同時に“やっぱりこいつと一緒に死ぬのか”と思っていた



(続く)
六機のF4Fに零観は追い回されていたが空戦の妙で六機のうち後方について射撃できるのは一機だけである

敵機同士での接触を避けるため密集できないのだ

六機に追われていると言っても佐山はその時の一機の射撃をかわせば良い

「右上方敵機射撃…急速旋回!」

佐山は小林に言われた通り右上方からのF4Fの射撃を急速旋回でかわした

「好機!」

小林の声と同時に射撃を急速な旋回でかわされ勢い余って前方に飛び出てきたF4Fが佐山の視界に入った

佐山は前方七、七ミリ機銃の発射悍を引いた

卑光弾の煌めきが見え弾丸はF4Fに吸い込まれて行った

後方から狙われないよう小林が後部機銃を乱射している

頑丈なF4Fは射撃が命中してもしばらく飛行していたがその内、翼から煙りを噴き始め高度を下げ消えて行った

「一機、撃墜!」

小林が興奮気味に叫んだ

二人を乗せた零観はいつの間にか海上に出ていた



(続く)

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