私は時代小説の他に、一気に本を読み続けるということはほとんどなかった。でも安さんのこの本は「労働情報」の30周年記念レセップションで売り出した次の夜、一気に読み抜いてしまった。 千葉県にある養豚場のごくごくありふれた作業現場から、一人の中国人研修生の物語が始まる。起きるべくして起こった自殺願望と殺人事件が交錯する「現代の悲劇」が安さんの心・情動との対比の中で展開されていく。 冷めた目で現実を見ている目は確かにジャーナリストの目であるが、切り取られ突きつけられた現実の一端に安さんの自我は苦悶し、よりよい回答を探してまた苦悶する新鮮な精神の躍動が文章に貫かれている。その精神の躍動感は、題材が重い分だけ読者の目を引きつける。 中国人研修生・実習生達が熱望した、よりよい生活。その希望を叶えるのは、日本の「外国人研修生・技能実習生制度」であり、それが中国の農村と日本のローカル都市や農村を跨ぐ虹の架け橋のように見えたことは不思議ではない。 しかし、彼ら・彼女らにとって、黄金の国・ジパングでその夢を実現させるには、現実はあまりにも虚構であることを思い知らされる。現場に足を向けて取材する者のみが持つ説得力で、その内実が中国取材で、国内取材で暴かれていく。 かつての総評議長・槙枝元文達の日中友好の陰に隠れている「シミ」や中国革命の「澱み」が、グローバルな時代の中で広がっていく。それを覆い隠す日本の法律によって支えられている研修生・技能実習生制度。 グローバルな資本経営を底辺で支える零細中小企業に働く労働者達は、貧しさの坩堝と底辺に向かう競争、二重な意味で差別的現実が助長されているのだ。「時給300円」の最低賃金法違反。パスポートや預金通帳を取り上げ、かつての女工哀史を連想させる寄宿舎は現代に復活した新たな「奴隷労働」であり、その現実に「当たり前だ」と無痛覚にうそぶく零細中小企業の社長・家族達。 そして我らが組合、全統一の鳥井一平書記長や外国人分会担当オルグの中島浩氏らをはじめ、研修生・実習生ネットワークの登場となり、彼ら・彼女らを手助けする行動が紹介されていく・・・ 中国研修生・実習生の暗く重たい態度の向こうには、中国から送り出されたときに支払った「100万」という、身代金のような保証金制度が彼ら・彼女らをがんじがらめにさせ、日本の受け入れ団体である協同組合などによるピンハネ…、そしてそこに介在するコーディネート企業などの暗躍が書き込まれている。 さて、この本は労働問題に拘ってきた筆者・安さんの完成度の高い到達点であり、通過点であると私は考える。そして労働組合に関わっている人もそうでない人も、是非読んでほしい一冊なのである。 新自由主義時代の幕が上がってから20年になるが、人間が自由であるためには社会の仕組みと向き合うことなしには成り立たないし、また現在の労働問題の所在がどこにあるかを示唆している。 よりよい回答を探してまた苦悶する安さんの新鮮な精神の躍動が、少なくとも読者に優しく語りかけているのである。 |
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2007年02月14日
コメント(2)
みなみなさま ー転送歓迎ー なはブロッコリーの××××です。(×印はブログ管理者による) わたしたちなはブロッコリーでは、北部訓練場の返還に伴うヘリパッドの新設に反対し、昨年の8月から活動を続けてきました。そして今、いよいよヘリパッド問題 大詰めに指しかかっています。ヘリパッドが建設されれば、東村高江区がヘリパッド に囲まれてしまうばかりか私たち沖縄県民にとって大切な水がめである福地ダム・新川ダムやダムを囲む水源地への汚染(現に今、ペイント弾等1万2000発以上がダムから発見されています。)も懸念されます。 また、残存する北部訓練場内には現在でも15個のヘリパッドがあり、新しいヘリパッドの建設は辺野古への新基地建設と絡んで更なる基地強化・基地固定化であることは明白です。 2月7日、東村平良で行われた「沖縄の水がめが危ない!!東村へのヘリパッド建設問題についての緊急勉強会」のなかで、東村の皆さんから「高江区以外にはあまりヘリ パッド問題が知られていないので、知らせてほしい」との要望がありました。東村議会では村会議員が全員与党という状況にあるため、このような問題は住民になかなか 知らされないとのことです。 そこで、なはブロッコリーでは早急にパンフレットを作成し、東村での全戸ポスティングを行いたいと準備中です。しかし、資金が足りません。皆様のカンパを呼び かけます。 カンパ先 郵便貯金 普 17010-16061551 なはブロッコリー ご協力どうぞよろしくお願いいたします。なはブロッコリーのブログ↓↓ http://blogs.yahoo.co.jp/yannbarunomori/ |
ご報告とお礼 <4・28ネット事務局より、全国の仲間の皆さんへ>
「歓喜の歌」をベートーヴェンが作曲したのは、この時の私たちのためにだっ
たのではないかと思えてきてしまうのです。昨日2月13日午後、最高裁から弁
護士さんへの電話で、「郵政公社の上告受理申立を不受理=却下」という決定が
報告されました。
「本当なの?!」と喜び驚き半信半疑の仲間もいましたが、本日の朝刊などマ
スコミ報道を見れば、安心して百%喜びに浸ってよいことが明らかになります。
この国家による悪逆非道に対する大勝利は、4・28反処分の闘いに心を寄せ
てくれた全ての皆さんの大勝利だと思います。1979年4月28日の61人首
切りを含む8183人全逓組合員への不当処分、この時から28年間もの長きを
支え続けてくれた皆さんに、心から感謝します。深謝します。激謝します。共に
「歓喜の歌」に酔いたく思います。
17年も続いた全逓労組潰し・差別・不当労働行為をヤメロと、2ヶ月にわた
り全国の郵便局で「物溜め」闘争した事への4・28報復処分。以降の変節した
全逓(現JPU)本部による4・28免職者への裏切りと敵対、91年の組合か
らの排除。そして04年6月東京高裁の「原告7人全員の処分撤回・地位確認」
という逆転大勝利判決。判決理由は、「闘争指導者は軽い処分で、指導された一
般組合員は重い首切り処分」という子供にでも解る理不尽が、理不尽に過ぎると
したもので、また理不尽にも、この理不尽を理不尽だと最終決定するまでに28
年間も費やしたのでした。
* * *
今回の私たちの勝利は、国家機関である郵政公社の敗北であると同時に、当局
に膝を屈して免職者を切り捨てた全逓(現JPU)本部の敗北でもあります。4
・28処分は、政府自民党による政治処分でもあり、全逓をツブシ国労をツブシ
総評をツブシて、その後政界再編を経て、「戦争と弱肉強食と儲け主義」の社会
へという深謀を背景にしていました。
「権利の全逓」は見事にツブレましたが、この深謀からすれば「在ってはなら
ない」はずの、郵政ユニオンなど郵政現場の仲間、全労協など地域の仲間、国鉄
闘争や東京総行動等々、実に様々な「在ってはならない」人々の努力が、今日の
最高裁決定をたぐり寄せたのだと考えます。本当にありがとうございます。
儲け主義へと突き進む本年10月の「郵政民営化」を目前にした最高裁決定。
この「在ってはならない」4・28大勝利決定を、「戦争と弱肉強食と儲け主義」
に風穴を開けていくものへ活かせればと思います。
今後も、職場復帰に関する当局との交渉や謝罪要求など、最後の総仕上げの闘
いも控えています。2・16東京総行動では、13時10分から郵政公社へ赴き
ます。引き続きご支援連帯をお願い致します。
とりあえずのご報告とお礼を述べさせてもらいました。
2007年2月14日
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