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【ここまでのあらすじ】
http://blogs.yahoo.co.jp/rok_dorafa/19333412.html
赤坂がついに動き出し・・・
二人の戦いの火蓋が切って落とされた。
【第一話】
http://blogs.yahoo.co.jp/rok_dorafa/15223142.html
【前回】
http://blogs.yahoo.co.jp/rok_dorafa/20280654.html
・・・だれでも・・どこでも・・いつでも・・叫んでいる・・・
赤坂は耐えられなかった。十郎とのにらみ合いのあいだ、十郎の放つ殺気・・そして死の恐怖に耐えながら必死に策を練っていた。どう転んでも真っ向勝負になる・・・そしてこのレベルの相手に達すると最早、1対1では策を擁して勝てるというものではほとんどなく、いかに臨機応変に対応していくかが勝利の鍵であることを知っていた。つまり、基本に忠実に「隙をつく」それ以外にない。隙をつくるためには「相手の攻撃をかわす」・・・それのみである。
先ほども言ったが、赤坂は殺気と恐怖に戦いながら十郎が攻めてくるのを待った。しかし、十郎には攻める理由がない。高虎は後ろで守られている。要は高虎にさえ近づかせなければいい。時間を稼げば必ず味方があらわれ、そして十郎に圧倒的に有利な展開になる。だから攻める必要はない。赤坂同様、相手の攻撃をかわし隙を作った後、必殺の一刀を相手の体にくれてやればよい。
逆に赤坂は時間がない。この機を逃したら入り口がたった一つの建物のために囚われたようなものになるのだ。つまり命を落とすのは確実である。逆に即座に二人を殺せばほぼ確実に生きながらえる。赤坂としてうまく城から脱出すればよい。
・・・だからこそ赤坂は背後の扉から襲ってくる死の恐怖に負ける形で十郎に飛び掛るしかなかった。
約5m離れていた距離があっと言う間に縮まっていく。
十郎はいつでも防御体制に入れる「八相の構え」のまま前に半歩近づくことで赤坂の間合いに対しずらしを入れた。こうすることで相手がベストの一撃を入れることを防ぐ技だ。それに赤坂は気がついたがそのまま左で突きを入れざるを得なかった。十郎はその弱まった一撃をなんなくいなし、よろけさせた後、自らも不完全な体勢ながら、赤坂のがら空きになった左胴に向かって一撃を入れた。
その瞬間バランスを崩したかに見えた赤坂の上半身がくるりと回り、逆に全体重をかけた右の小太刀が飛んで来るように十郎に迫ってきて十郎の鼻先をかすめると赤坂の左胴に入るべき一撃がはじき返された。それと同時にすぐさま左の小太刀が飛んできた。
ブシュ!!
そして小太刀は十郎の右肩にのめりこんだ。鮮血が部屋に飛び散り、数m後ろの高虎の顔にもかかった。それでも高虎は食い入るように二人の戦いに見入っている。
(赤坂は隙が生じたのを利用してその「隙」めがけて迫ってくるであろう十郎の一撃を先読みすることに−まさに偶然の産物だが−成功した。そしてうまくそれを右ではじき返した後、十郎に「隙」が生じた。だからこそ左の小太刀を入れることに成功した。しかし・・・)
(片手では肉は切れても骨は断てん。つまり首に入れなければ命に届かんのだ。だから当然赤坂は十郎の首に向かって小太刀を放ってくる。そこで・・・)
(十郎は切られると覚悟した瞬間自ら右足を一歩出し、赤坂のほうへ近づいた。まるで右肩を切られに行くかのように・・・)
そして今、十郎の右肩に小太刀が刺さっている。そして自らの刀は自らの左下で自由を得ている。体勢は悪くない。十郎はその体勢から赤坂の体を真っ二つにしようとした。痛みに顔をゆがめながらも、足を踏みしめ腰をひねり渾身の力・・・今出しうるありったけの力で左下から右上へと自らの刀を振り抜いた。
ギィィィイイイン!!!
バリバリバリ!!!
敵の攻撃を察した赤坂はとっさに左腕を小太刀から離し、右の小太刀に両手を添え十郎の放つ一撃をガードした。その勢いで体ごと吹き飛ばされ障子を突き破った。
十郎は右肩にある小太刀を傷がなるべく開かぬように冷静に引き抜くと、後ろのほうへと投げ捨てた。
その間に赤坂は体勢を整え高虎を殺すべく、素早く高虎のいる南の部屋へと移った。しかし高虎はすでに西の部屋へと移動しており、逆に南の部屋には十郎が鬼の形相で待ち構えていた。その十郎が痛みにこらえながら振りかぶり赤坂へと打ち下ろすように一撃を入れた。
ギン!!!
赤坂は十郎の刀をしっかりと受け止めた。十郎の利き腕である右腕は負傷しているので威力が半減していると踏んだのだ。そして予想通りすでに赤坂でも止められるほどになっていた。もう先ほど吹き飛ばされたような力は十郎に残されていない。むしろ赤坂のほうが力はあるかもしれない。そのままつばぜり合いになった。
ギン! ギギギギ・・・
と刀同士がこすれあう音が寝屋に響く。そんな中、刹那の瞬間十郎は隙を見出した。素早く刀を横にいなすと赤坂の腹を思い切り蹴り飛ばし、吹き飛ばされた赤坂は壁に激突し、気絶しそうになった・・・。
・・・十郎がスローモーションで迫ってくる・・・
・・・昔のことが走馬灯の様に思い出される・・・
すずさん
豆腐屋のすずの親父さん
すずさん
住職
すずさん・・・すず・・・
死を覚悟した次の瞬間、全感覚が戻ってきた。目を思い切り見開き思わず十郎に対し手で制した。何か違う異変に気がついた十郎は刀を振りかぶったまま ―まるで死刑執行人のような状態で― 痛みで出てくる冷や汗を袖で拭きながら眉をひそめ赤坂に問いかけた。
「どうした・・・最後に言い残すことがあるのか・・・もししゃべれるなら聞き遂げたいが・・・」
するとどうもそういうことではないらしく、赤坂がやっとの思いで倒れこみ体をどかすと壁にへこんでわずかに穴があいていた。
「・・・???」
その穴から煙が入り込んできた。
まさに外は火の海へと化していた。
【つづき】
http://blogs.yahoo.co.jp/rok_dorafa/20867801.html
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