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日本について思うこと(264) 5 平和主義についての考え方を整理しておくこと (安全保障についての哲学の差) (1)アメリカとの付き合い方の心得の5は、日米同盟のもとにあって日本人としては、平和主義についての考えを整理しておく必要があるということです。 その理由は、安全保障についての哲学が日米では基本的に違っているからです。 ものの見方、考え方、価値観が日米では基本的に違っていることから、安全保障についての考え方も日米では基本的に違っています。 アメリカの安全保障についての考え方は、アメリカの安全と生存は、みずからの手で国の安全を確保しようというもので、このような考え方は、現在の国際社会では一般的な考え方です。 アメリカはブッシュ演説にもあるように、アメリカの安全を脅かす敵に対しては、自由と民主主義を楯にして戦うというものです。 そればかりでなく、国務省は人権報告という名の下に、常日頃から各国の自由や民主主義、人権の状況を監視しています。 アメリカの安全を脅かす兆候がみられれば、自由や民主主義、人権の価値観をイデオロギーにして、その国の内政に干渉してまでも危険な政権を牽制するというのがアメリカという国です。 アメリカの安全保障外交は、基本的に猜疑心に満ちており、対立的で、非妥協的です。 このような考え方は、ひとつの価値観のもとに一方的に相手を審判し、相手のほうが悪いという確信のもとに、もっぱら相手を攻めるというアメリカ人のものの見方、考え方、価値観に合致するものです。 (2)それに対して、日本の安全保障についての哲学は、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、日本の安全と生存を保持しようというもので、基本的に平和主義です。 その柱は、憲法前文と戦争放棄を定めた憲法第9条だと言われています。 国の安全保障に関するこのような哲学は、現代の国際社会ではきわめてまれな考え方です。 敵を作らず、何よりも日本をとりまく国際環境を平和的なものにしておくことが重要であると考え、そのために、これまでの60年以上にわたって、国際社会の諸国民との友好信頼関係を築いてゆく努力を続けてきたのです。 平和主義、民主主義、国際協調、国際協力は日本のもっとも重要な柱となって今日に至っているのです。 日本の安全保障外交は、基本的に融和的で、協調的で、平和共存的です。 このような考え方は、複数の価値観の共存を前提として、ものごとをできるだけ包括的、多面的にとらえて、公平、公正、客観的、中立的に判断しようとする「和」と中庸を重んじる日本人のものの見方、考え方、価値観に合致したものです。 このように日米の安全保障に関する哲学は、基本的に違っているのです。 アメリカの安全保障外交が覇権主義と言えるのに対して、日本の安全保障外交は平和主義と言えます。 これで日米同盟は維持できるのか、という疑問が浮かんできます。 自国の安全と生存を、平和を愛する諸国民の公正と信義にゆだねるという日本の安全保障に関する哲学については、日本国内でも異論があり、それが憲法改正の議論にも反映しているのだと思います。 日本は、国際社会の常識に従って、自国の安全と生存はみずからの手で確保する方向に向かうべきなのか。 日本に平和主義以外に選択肢はありうるのか。 アメリカと安全保障に関する同盟を結んでいる日本人としては、安全保障と平和主義についての考えを整理しておく必要があると思うのです。 (平和主義からの離脱と歴史認識) (3)平和主義についての考えを整理しておく必要があるということの第1の理由は、アメリカ人は日本が平和主義から離脱することは望んでいないと思われるからです。 従軍慰安婦問題をめぐるアメリカの歴史認識攻勢にはよくわからないことがたくさんありました。 なかでも従軍慰安婦問題の当事者でもなく、歴史認識問題の当事者でもないアメリカが、人権の価値観や日米同盟を使ってまで、日本に歴史認識を迫ってくるのには理解に苦しみました。 しかし、その理由が、おおくのアメリカ人の心の底に、「日本は自分たちアメリカの手で民主化されたが、いつまた、1940年代の日本に戻るかもしれない」という不安があることが原因なのではないかということがわかりました。 このような不安が、アメリカが韓国や中国と同じように日本に歴史認識を迫るという異常なことをさせているのだということがわかりました。 多くのアメリカ人は、日本が平和主義から離脱することを望んでいないのです。 日本人のものの見方、考え方、価値観からして、日本が本当に平和主義から離脱するとは思えません。 しかし、アメリカ人は、日本の右派とみなした人たちの言動から、「日本は自分たちアメリカの手で民主化されたが、いつまた、1940年代の日本に戻るかもしれない」という不安がかき立てられるのです。 それが、アメリカ人が日本に歴史認識を迫るという異常な事態を引き起こしていると考えられます。 |
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