小説 フジモリとデモクラシア

2000年の大統領選挙。あのときペルーで何がおきたのか。

政権崩壊

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全21ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

亡 命(20)



 十二月二十八日付のエル・コメルシオ紙は、日本の日刊紙「ヨミウリ」に、二十七日に公表された二番目の回顧録の中で、モンテシーノスについてフジモリが、「わたしにはこの癌が増殖するのを許容したことについて政治的な責任がある」と書いていると報じた。070


 テロと麻薬取締りの帝王(ツァー)と自認していた人物、ドクトール・ブラジミーロ・モンテシーノスが動かしていた国家情報局(SIN)の内部に、一種のがんが生じたのは、一九九五年から二〇〇〇年にかけてのことだった。

 より客観的にものを見られるようになった今、私にはそれがはっきりわかる。

 フジモリ政権と国民は、センデロ・ルミノーソ、MRTA(トゥパク・アマル革命運動)という二つの極左組織粉砕戦略に基づく作戦と、コカ葉の非合法栽培地域の削減に確かな成果をあげていた。しかし、モンテシーノスはその成果の大半を自分の功績として、ペルー内外で宣伝していた。

 国家情報局の次の段階は、司法当局と検察庁の管轄下にあるほとんどあらゆる政府の権力者たちを取り込むことだった。治安にかかわる問題であり、テロ再発に対する警戒は続けなければならない、という論法をつかっていた。

 モンテシーノスの暗い過去を指摘する人もいる。ペルーの軍事機密を外国に売った、あるいは麻薬取引をする人たちの弁護士だった、といった批判だ。

 九十八年まで、モンテシーノスを政府から遠ざけるべきだとの助言や警告を、私に与えてくれた者はだれひとりいなかった。米政府ももちろん、その点については全くふれなかった。

 モンテシーノスが、九十年に既に自分の陰謀をめぐらし始めたというのは言い過ぎだと思う。彼と一部軍人が「プラン・ベルデ」なる陰謀の三十年計画をたてていたなどという話は、空想の産物である。

 モンテシーノスが、自分の利益のために、おおきな業績を利用し始めたのは、九十五年からだ。

 現在、モンテシーノスの部下たちが議会の調査特別委員会に提出した供述によって、この国家情報局のボスは、今年の選挙運動の最中に、野党議員や候補者たちと秘密に会合を開いていたことがわかっている。

 野党とつながりをもっておけば、彼の個人的な将来の不安を防げると思ったからだ。

 このがんが増殖した政治的責任は私にある。しかし、増殖の理由を理解するには、わたしの大統領任期二期目(一九九五から二〇〇〇年)にペルーが直面したさまざまな問題を考慮しなくてはならない。



 十二月二十八日には、日本大使館に対して、アプラ党のリマ地区の各支部の関係者五十数名による抗議行動がおこなわれた。

 フジモリをヤナマヨ刑務所に歓迎する、日本は詐欺師マフィアを匿っている、泥棒フジモリを返せ、アルベルトは日本政府のスパイだ、などと書いたプラカードを掲げ、シュプレヒコールをあげた。



 十二月二十九日付のエル・コメルシオ紙は、前回に続いて日本の日刊紙「ヨミウリ」に署名入りで掲載した回顧録の第三部を引用して、前大統領アルベルト・フジモリは、数百万ドルの口座をもっているという告発を虚偽のものだとして否定し、それは自分の「恥ずべき」政敵たちの謀略によるものだと述べたと報道した。 071


 フジモリは、だれも自分や家族名義の外国における銀行口座の存在を証明することはできないだろうと述べ、このような告発の陰にモンテシーノスの手があることを示唆した。

 フジモリは、シンガポール、マレイシア、日本に一八〇〇万ドルの銀行口座をもっているといわれてからかなりの時間がたつにもかかわらず、「今日まで誰もこれらの口座があることを示す証拠の一つさえ示すことが出来ないでいる。このことは、わたしを政治的に破滅させるために、わたしについてモンテシーノスと共犯関係にある腐敗した独裁者というイメージを作り上げるためのものだとしか言いようがないではないか」と反発した。

 フジモリは、かれの政敵達は、実績をみせることによってフジモリに対して与えられた五四%という支持率と競う必要があると言う。おそらくこの政治家たちは、みずからを歴史的に正当化するために、フジモリをマルコスやトルヒージョのような人間にしてしまう必要性を感じているのだろうと述べた。

 フジモリは、「ペルーの大統領が政治的迫害と生命の危険のために外国で辞職せざるを得なかったということは、この政治家たちにとっては恥である。そのためにかれらは大統領の信望に疑念をいだかせる種をまく必要があるのだ」と述べた。

 その回顧録の中でフジモリは、一八〇〇万ドルの話はモンテシーノス自身の政治的な憎悪、復讐、または罠を感じさせると述べた。

 フジモリの一九九〇の選挙キャンペーンにコロンビアの麻薬カルテルからモンテシーノスに一〇〇万ドルの支援資金が渡っていたという疑惑についてはそれを否定して、一九九〇年の選挙キャンペーンは、「極めて質素なもの」であり、また、資金の最高額は一〇万ドルだったと述べた。

 ベラルーシからミグ・29とスホーイ・25を購入するにあたって、違法なコミッションが存在しうる可能性は認めたが、フジモリがそれを受け取ったことは否定し、そのような告発はペルーのここ三十年の間にくり返されたと述べた。

 フジモリは、「大統領があれを買えとかこれを買えと言うことはなかった。ペルー国軍が戦闘機の購入の申請を出してきたのだ」と述べた。

 前大統領は、戦闘機購入の過程では、「かなりのお金の節約」になるので、中古機を購入するという選択肢もあったし、それに大臣達は「記憶に間違えがなければ最終的に十一%の大割り引き」をかちとる厳しい交渉もおこなったと述べた。

 アルベルト・フジモリは、最後に、フジモリを追求している「審問官」たちに対する警告をおこなった。

「できるだけはやいことを願うが、すべてが明らかになった時に、わたしを追求しているひとたちは、おおやけに、かつ、国際的に自分達の誤りをただす必要がある。わたしに対するすべての非難に対して明確な声明を行うことを断固として求める」と述べて、回顧録の第三部を結んだ。



070 El Comercio, Jueves, 28 de diciembre del 2000
“Fujimori dice que Montesinos uso el SIN para sus propios fines” por Yomiuri

071 El Comercio, jueves 29 de diciembre del 2000
“Fujimori dice que enemigos lo acusan de enriquecimiento” por Yomiuri





「第2部 政権崩壊」
(了)


日系社会の懸念

亡 命(19)



 十二月二十三日のエル・コメルシオ紙に、十二月八日から十一日まで、十八才から六十五才までの一一〇一人の男女を対象にしたアンケート結果が掲載された。

 政治家の人気は、パニアグアが八〇%、デ・クエアルが七三%、ケティンが六一%、イチャウステギが四五%、シルバが四〇%、アンドラーデが五七%、サンティステバンが六〇%、カスタニェーダが五〇%、フローレスが四五%、トレドが四四%、ボローニャが三三%、デ・ソトが三一%、フジモリが九%となっている。

 友好国と考える国として、米国が二一%、ブラジルが一〇%、日本が九%、ボリビアが八%、アルゼンチンが八%、エクアドルが七%、スペインが三%、コロンビアが三%。

 非友好国と考える国として、エクアドルが三三%、チリが二一%、日本が一二%、米国が七%、アルゼンチンが二%、コロンビアが一%、スペインが一%、ブラジルが一%。

 フジモリの人気の推移として、六月が五〇%、七月が四三%、九月が三五%、十月が二八%、十一月が一九%、十二月が九%となっている。

 不人気率の推移は、六月が四五%、七月が五四%、九月が六二%、十月が六七%、十一月が七九%、十二月が八八%となっている。

 モンテシーノスの逮捕について、来年は逮捕されるだろうと考える人が四三%、逮捕されることはないだろうと考える人が四三%。

 フジモリ疑惑について、フジモリも外国に口座をもっているだろうと考える人が八五%、もっていないだろうという人が七%。

 その他の調査項目として、イフチャーの帰国に賛成する人が八三%、不賛成が一〇%。

 テロリストを匿ったイェウデ・シモン元議員の釈放に賛成する人が五五%、反対する人が三二%。

 コロンビアに亡命している元大統領アラン・ガルシアの帰国に賛成する人が二四%、反対する人が七二%となっていた。



 十二月二十四日、日系人協会は、エル・コメルシオ、ペルー・シンポウ、プレンサ・ニッケイの各紙に、次の内容のコミュニケを発表した。


 日系人社会のメンバーに対する敵意ある意見と行為を触発した最近の政治的出来事を前にして、一九一七年に創設されたペルー日系人協会は、これを遺憾に思うとともに、本件についての立場をはっきりさせる。

1 一〇一年前に来た日本移民の子孫であるわれわれペルー国民は、国民生活のすべての分野に積極的に参加してきており、そのような国民であることをいつも示し、常に誇りをもってわれわれのペルー国籍を再確認してきた。

2 憲法を尊重するペルー国民として、われわれは市民権を行使し、政治的選択をおこなう全面的な権利をもっている。ペルー日系人協会はペルーの団体であって、政治目的とは無縁の存在である。市民権の行使にあたっては法律と規則を全面的に遵守する義務をおっている。

3 技師アルベルト・フジモリは、他の大統領選挙立候補者とともに政治の世界に入り共和国の大統領になった。しかし、政権の終りに勃発した政治危機を前にして日本から辞任を表明した。この決定をわれわれの協会は支持するものではないが、ペルー日系人社会に対する個々の出来事や声明に口実を与えることになったことは深く遺憾とするものである。我々としてはこれらのことは、静かな平和と必要な協調に貢献するものではないと信ずる。

4 このような事態を前にして、ハビエル・ペレス・デ・クエアル首相兼外務大臣はペルー日系人社会に対するこれらの敵対行為を遺憾とし、「フジモリ氏が日本人であろうとなかろうとペルーに居る二世とは何の関係もない」と声明するにいたった(ラジオRPPでのインタビューで述べ、十二月十七日付けのエル・コメルシオとエスプレソ紙に掲載された)。さらに、「日本人社会は現在および将来にわたり政府によるいかなる差別も懸念するにはおよばない」と述べた。

5 首相の言葉はいまの時期には特別の重要性をもっており、さらに平穏な雰囲気の中でおこなわれなければならない重要な選挙プロセスに入っていることに鑑みればなおさらのことである。この言葉は、同時に、すべてのペルー国民に対して民主主義の基本的な支えである寛容と、尊敬と、調和のもとで生活することを慫慂したものである。

6 最後に、基本的には国家の健全性を信じている日系人協会としては、徹底した透明性のある調査がおこなわれ、責任者に対しては相応の制裁が課せられるものと理解しつつ、われわれが生まれるのを見守り、われわれの祖先を歓迎してくれた祖国の将来を見守らなければならないと考えている。なぜならばホルヘ・バサードレが言ったように「われわれを導くものはペルーに対する愛でなければならない」からである。

二〇〇〇年十二月二十四日、リマ。



 十二月二十六日付のラ・レプブリカ紙は、日系人たちの懸念について次のように報道した。

 日系人社会は、二十五日、今のところフジモリ政権の崩壊に伴う敵意といやがらせの実際の被害は受けていないと述べた。

 自動車部品店経営の日系二世のルイス・ハラダ氏は、「おそらく個別には何件か問題が生じたことはあるかもしれないが、一般的にいって日系人社会に対する敵意のようなものはない」と述べた。

 ペルーに生まれ、ペルーで生活している日系人の多くは、フジモリ政権の責任を分かち合う立場にはないと述べている。

 日系人協会は、日系社会に敵対するいくつかの声明について遺憾の意を表明するコミュニケを出し、「われわれはペルー人であり、ペルーに生まれ、ペルーで育ちこの土地の人達と同じく祖国のために貢献している」と声明した。

フジモリはペルー人だ

亡 命(18)



 十二月二十日のラ・レプブリカ紙は、日本は常にフジモリをペルー人として認めてきたではないか。今さらフジモリを日本人だと言ってフジモリを匿うのはおかしいというマリア・エレナ・カスティージョ記者の記事を掲載した。 069


 日本政府は、フジモリ前大統領が元首であった十年の長きにわたって、フジモリ前大統領のペルー国籍を全面的に認めていたので、今になって日本の市民であると言うのはいかにもおかしい。

 元首の資格による十一回にわたる日本訪問、大統領就任を祝す書簡などの一連の公文書、条約、協定、大統領フジモリに寄せられた各種招待などは、みな日本政府によるフジモリのペルー国籍の承認を意味するものである。

 アキヒト天皇でさえ一九九〇年フジモリが日本を訪問したときに彼をペルーの大統領として認めたではないか。

 また、日本のすべてのメディアも当局も外国の大統領として対応し、誰一人としてフジモリが日本国籍をもっていると考えたものはいなかった。

 政治学者のマルティン・タナカは、フジモリの日本訪問は、自分がペルー人であるということのフジモリによる公の意思表示であり、また、日本政府による受け入れは日本政府としてそのようなものとして受け入れたことを示すものと考えられると述べた。

 タナカは、フジモリはペルー人であるので、日本国籍の問題は前大統領がペルーの司法から逃れるためのやむおえない手段にすぎないと述べた。そのような状況を受け入れた日本政府の決定は、司法の裁きに服さなければならない人間を保護するもので、重大な政治的誤りであると述べた。

 憲法学者エンリケ・ベルナレス・バジェステロスは、法は権利の濫用に使われてはならないという一般原則は二重国籍の問題にも適用され、国籍の選択は一連の要件を満たし、かつ、透明性をもって行われるべきで、悪意をもっておこなわれてはならないと述べた。

「税金を免れるとか、司法の追及から逃れるとか、違法な利益を得るための曖昧さをつくりだすために、国籍を変えることはできない」と述べた。



 議会は、十二月二十日、パニアグア政権が提出した、汚職との闘いを容易にするために例外的な法的手段をとることを認める法案を承認した。

 対象となる犯罪は、国費を使っておこなわれた犯罪、公職につくものがかかわった犯罪、政府に対する犯罪、殺人誘拐などの重大な犯罪、関税・税金に関する犯罪、グループあるいは犯罪組織による犯罪、テロや人類に対する罪の場合にこの特別法が適用される。

 この法律によって検察官は、容疑者の十五日間の予備的拘束、出国の禁止、財産の差押、私的文書、帳簿、書簡などの押収などを刑事担当判事に要請することができる。

 また、検察官は犯罪捜査の目的上必要があれば、銀行口座の開示、公私の機関が保有している情報の開示、家宅捜査、不動産の凍結、各所の一時的な閉鎖などを要請することができる。

 この法案第九五九号は、賛成八五、反対〇、棄権一〇で採択された。


 議会はすでに十二の汚職調査委員会を設置していた。その主なものはつぎのとおりだった。

 モンテシーノスの銀行口座調査委員会。この委員会は、バイスマン委員会と呼ばれ、不正蓄財、麻薬、資金洗浄、武器密輸、汚職などの疑惑のあるモンテシーノスの国内や外国にある銀行口座の資金の出所、移転、金額などを調べている。

 アルベルト・コウリ買収ビデオの捜査を怠った検事総長ブランカ・ネリーダ・コランに対する調査小委員会。
 アルベルト・コウリ調査小委員会。
 民営化資金使途調査小委員会。
 フジモリに対する憲法上の告発を調査する小委員会。
 フジモリ前大統領とベルガミーノ前国防大臣の憲法上の告発を調査する委員会。
 国防支出を調査する委員会など。



 このころになるとモンテシーノスがベネズエラにいるのではないかという情報が飛び交うようになった。

 十二月二十日の新聞には、モンテシーノスは身分を隠して、アントニオ・ロドリゲス・ペレスという名前を使って、ベネズエラで鼻とまぶたの整形手術を受けたという、クリニック・ディアグノスティコ・メディコ関係者の証言が掲載された。

 手術は十二月十三日に行われ、十五日にクリニックを去ったが行き先は不明だという。

 ベネズエラのランヘル外相はモンテシーノスの滞在を否定したが、ベネズエラ警察はモンテシーノスがカラカスにいたかどうかを調査すると述べた。



 十二月二十一日、議会は、オヤンタ・ウマラの恩赦を可決した。
 フジモリ政権に叛旗をひるがえして武装蜂起したウマラは軍に復帰することができることになった。


 同じ日、日本大使公邸占拠事件で殺されたテロリストのために、ヤナマヨ刑務所のMRTAの囚人たちが刑務所を占拠した。



069 La República, Perú, miércoles 20 de diciembre del 2000
“Japón siempre reconoció que Fujimori es peruano” por Maria Elena Castillo

反日感情の高まり

亡 命(17)



 十二月十四日、リマ発のAFPは、同通信社に対して日本大使館を襲撃するという予告があったと次のとおり報道した。 068


 罷免されたフジモリ大統領が日本国籍を確認して二日後、日本政府に対する抗議とテロの脅迫をもって、十四日木曜日、ペルーでは反日感情が高まった。

 これまで無名のグループだった「ナショナリスト・アーミィ」が、木曜日、ペルーにある日本の権益と日系人に対して暴力をふるうという脅迫をAFPに対して電話してきた。

 「ここ数日中にわれわれは日本大使館を襲撃する」と「アッティラ」と名乗る男が述べた。
 かれは、日本が前大統領を返さないならペルー日系人と日本の権益に対して攻撃をおこなう可能性があると警告した。

 日系文化センターの職員のひとりは、モンテシーノスの協力者がモンテシーノスに対する捜査から世間の注意をそらさせるためおこなった陰謀ではないかと思うと述べた。

 「いまの雰囲気は、フジモリがはじめてマリオ・バルガス・リョサを破って大統領に当選した一九九〇年当時と同じだ」と述べた。そのときは敗北者の支持者達に対して平静と人種差別的な言動を慎むように求めなければならなかったという。

 二十四の会社を代表する日秘商工会議所のメンバーは、脅迫は受けていないと述べた。
 日本大使館はコメントを控えた。大使館にはここ一週間、抗議が相次いだ。

 平和的なデモと言いつつも、水曜日にはデモ隊員たちがフジモリの引き渡しを求めるトーンは高まっていった。
 かれらは「日本よ、ドロボーをかえせ」と叫んだ。

 先月、フジモリは、国際経済首脳会議からの帰途、途中立ち寄りの日本から辞任を表明した。かれはペルーに帰るのを拒み、日本に滞在する途を選んだ。ペルーの議員たちは、十一月二十一日、かれの辞表を拒否し、逆にかれを罷免した。

 日本政府が、フジモリが日本国民であるということを確認したあと、ペルー国民はショックと怒りと当惑をもって反応した。

 一九三〇年代にペルーに移民してきたかれの両親は、一九三八年にリマの日本領事館にかれの出生を届けて日本国籍の保持を登録したと日本政府は説明した。日本の法律は日本国民の引き渡しを禁じている。

 六十二才のフジモリは、左翼ゲリラの挑戦をおさえ、瀕死の経済を再生させたが、同時に隠れた独裁者だという批判も受けていた。

 かれのアドバイサーで秘密警察の長であるブラジミーロ・モンテシーノスによる汚職の告発のあと、辞任に追い込まれた。

 かれの二重国籍の暴露は、かれの大統領時代の法律と行為の合法性に対する疑問を投げかけることにもなった。



 十二月十五日、デモ隊が日本大使館にやってきて、フジモリの国外追放を求める抗議文書を渡し、日本の国旗の洗濯をおこなった。

 抗議文書は、日本政府によるフジモリ前大統領の保護に抗議し、日本政府に対して、名誉と正義の名のもとにフジモリを追放するように求め、フジモリ前大統領に責任をとらせるためにフジモリをペルーに引渡せという内容になっていた。

 フジモリ前大統領の罪として、殺人、麻薬、拷問、不正蓄財、国家裏切りなどをあげていた。



 十二月十九日付の新聞は、APの東京発の記事として、日本政府は、フジモリ前大統領は引き渡しの対象にはならないという従来の立場をくりかえしたと伝えた。

 総理官邸の報道官は、「日本政府は、日本国民を他の国に引き渡すことはできない」と述べた。また、日本とペルーの間には引き渡し条約はないし、日本はペルー政府からフジモリを引き渡せという要請も受けていないと述べた。

 日本政府は、先週公式に、六十二才のフジモリは日本国籍をもっており、そのために無期限に日本の領土にとどまることができると発表した。

 この決定は、罷免された前大統領と資金洗浄などの罪で捜索されているモンテシーノス顧問との関係を調べようとしているペルーの関係当局を怒らせた。すべての不適切な行動を否定しているフジモリは、帰国すれば訴追されるであろう。

 日本外務省は、本日、ペルーに旅行する日本人に対して、「なんらかの危害が加えられる可能性について」注意喚起をおこなった。これはリマの日本大使館に対して行われた抗議運動に鑑みておこなわれたものであると情報筋は述べた。

 報道官は、現在までのところ抗議運動は深刻なものではないが、日本政府はペルー政府に対して安全のための必要な措置をとるように要請したと述べた。



 十二月十九日、フジモリ前大統領の両親が生まれた熊本県議会が、日本政府に対して前大統領に保護を与えるように求める決議をしたことが報じられた。

 県の広報担当者は、「われわれは、熊本市民がペルーの大統領になり、この国の政治的、経済的安定に貢献したことを誇りに思っている」と述べ、「汚職の告発はあっても彼の安全を保障することが日本にとってもっとも重要なことだと信じている」と述べたという。



 十二月十九日の新聞にアポヨ社がおこなった世論調査の結果が掲載された。

 来年の大統領選挙の予測では、トレド二十三%、オリベーラ九%、ククリサ八%、サンティステバン八%、カスタニェーダ七%、フローレス六%、サラス五%、アンドラーデ五%、ボローニャ四%、アラン・ガルシア四%となっていた。

 また、現政権の閣僚の支持率としては、パニアグア大統領六九%、デ・クエアル首相七〇%、シルバ・ルエテ経済財政大臣三四%となっていた。





068 AFP, Lima, December 14, 2000
“Anti-Japanese sentiment grows in Peru”

イメージ資料:
 抗議デモ
 インプニダ(不処罰)反対

全21ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


.
rokurogen
rokurogen
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

Yahoo!からのお知らせ

過去の記事一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事