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日本のメディアって、熱しやすく、冷めやすい。
いまはソチ五輪の総括にとても忙しいらしい日本のメディアだけど、ほんのちょっと前は、STAP細胞と呼ばれる万能細胞の作成に成功した(もっとも、その再現性はまだ追試で確認されていないけど)女性研究者の報道に狂奔(笑)していた。
メディアの熱狂に、国会でも、都知事戦でも、「話題に乗り遅れまじっ」と、ひとびとは彼女に言及。
首相は、成長戦略実行に向けた女性活用重視、いわゆる『ウーマノミクス』の文脈で。
結局当選したあのひとは、「有望な若手研究者の支援をします、国がやらないなら都がします」って、都政運営の「重点項目」のひとつとして。
でもトモコは、「女性活用」という切り口にも、「有望な若手研究者支援」という切り口にも、ピンときませんでした。
彼女の研究は、女性だからなかなか認めてもらえなかったわけではなく、細胞生物学のそれまでの常識に反したアイディアだったからだし。
それが、「ネイチャー」の匿名査読者の「細胞生物学の歴史を冒涜している」というかなり厳しい言葉の意味なわけだ。「女性の活用」なんて、それ自体は重要なトピックではあるが、この件に限っては、関係ない。たまたま研究者の性別が女性であっただけだ。
それに、彼女の研究は結果として有望であることが分かっただけで、時系列で考えたら、当初は身近な研究者たちからも、「有望」とはみなされてなかったわけだし。
彼女の共同研究者でもあり、彼女が研究を続けることに力を貸した山梨大の若山教授は、テレビメディアのインタビュー(確か、TBS系の情報番組だったか)に正直に告白していました。彼女が若山教授のもとを訪ねたばかりのとき、「(彼女の研究は)どうせうまくいかないだろうな、かわいそうに、と思っていた」と。
周囲が、面白がりこそすれ、真剣に相手をしていなかったような研究に、マスゾエが(おっと、名前を出してしまったw)そのとき都知事だったとして、喜んで研究費を援助したとは思えない。もっとも、都知事が誰であれ、研究費の原資が税金であり、総額に限りがある以上、すべての「型破りな」研究に金出して廻るわけにはゆくまい。既成の科学理論に明らかに反していた研究であればなおのこと。そういう意味では、第2、第3のオボカタさんを作ろう、なんてのは、考えるだけ無駄だ。
話は逸れるが、若手研究者支援に言及したその同じ選挙演説で、あの当選者はこんなことも言っていた。
「医療費の無駄削減にも着手します」と。
そして、彼が「医療費の無駄」の例としてあげたエピソードというのが、噴飯ものだった。
なんでも、彼の家には、医療機関から処方された飲み残しの薬がたくさんあるのだそうだ。
それが医療費の無駄の証拠だと言うのだ。
おそらく多くの常識的な国民が承知しているはずのことだと思うのだが、医療機関から処方された薬は、特段の理由、薬疹などのアレルギー症状が出た、とか、病状がさらに重くなった、とか、が無い限りは、患者は医者の指示なく勝手に飲み止めてはいけない。処方された薬は、最後まで飲みきらなければならないのだ。たとえ表面的な症状が軽減、あるいは消滅しても、症状の原因が完全に取り除かれてはいないかもしれないからだ。
処方された薬は、これを飲みきっても状態に改善が見られない場合はすみやかに再診を受けてね、という医師のメッセージなのだ。
従って、病気がある程度深刻で経過観察が必要である場合、医師は数日分の薬しか処方しない。
トモコが突発性難聴疑いであったとき、耳鼻科医が処方した薬は3日分ずつだった。
それを飲み終える前にまた来い、ということなのだと、トモコにはすぐに分かった。そうでなくても、ステロイドのような劇薬を使う場合、患者が勝手に服用を中止することなど、あってはいけない。
つまり、彼がウサギのような前歯を突きだして得意気に披露したエピソードは、残念ながら、「医療費の無駄」の例ではない。それはただ、彼がちょっと残念なヒトであることを示しているだけに過ぎない。
ま、それはあっちに置いておくとして、STAP細胞の研究者。
多くのメディアは、さすがにアカラサマに言葉にはしないものの、「若くてかわいい女の子なのに、こんな研究成果を出すなんて、スゴイね」ってなニュアンスを芬々と感じる、コメディエンヌ・タジマ・ヨーコが怒り狂いそうな報道を続けた。
そんな報道を見ながら、トモコは、若くてかわいい女の子 な の に、ではなくて、若くてかわいい女の子 だ か ら、このような研究が続けられたのではないかと考えていた。
報道によれば、彼女の研究チームは女性だけで構成されているらしい。
そして、彼女の共同研究者たちは、細胞生物学とはちょっと異なる分野でそれなりの業績を既にあげているベテラン研究者。
彼女の周囲には若手や中堅の男性研究者がいない。
なぜか。
それは、彼女の研究が「有望」ではなかったからだと思う。
そもそも研究は、セオリーにのっとって行うのが一番成果が出やすい。
わざわざ常識はずれもいいところの見当違いな研究に関わって、成果が出ないまま数年を過ごすのは、研究者としての将来を台無しにする、リスキーな選択だ。下手をすれば、妻子抱えて、年収200万以下のポスドクの仲間入りをすることになる。だから、若手&中堅男性研究者はこの研究に近づかなかったのだろうと、トモコはそう推測する。
指導する立場の人間も、その若手&中堅研究者を大切に思い、また、そのひとが優秀であればあるほど、将来を憂い、なにかしらアドヴァイスをするだろうと思われる。「これからは若手の自由な発想をもっと大切にすべき」なんて言うテレビのコメンテーターもいたけれど、無責任なこと言うな、とトモコは思った。もしそうしたとして、失敗に終わった研究者の生活の面倒、お前が見てくれるのか、と。それに、彼女の発想は、「自由」なんて生易しいものじゃなくて、完全に理論から逸脱してたんだし。
そんな、周囲からは当初、さして「有望」とはみなされていなかった異端の研究を彼女が続けることができ、偉大な結果を手にするまで黙って(生暖かく?)見守ってもらえたのは、結局のところ、彼女が若い女性であったからではないか、と、そうトモコは感じたわけです。研究に失敗しても結婚という選択肢があるし、妻子を養わなければならないわけじゃなし、ま、いいんじゃん?好きにさせとこうってな、そんな無意識が周囲に働いていたとしても、そう不思議ではない。
メディアは、なんだか美しくドラマティックなストーリーを語ろうとするけど、真相は意外にそんなとこなんじゃないかと、そんなことを考える、今日このごろ。
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この研究は怪しい〜、信じられないとかなんとか…
ジュニアの研究室では、学生たちが最初は言ってたそうですよ(笑)
2014/2/28(金) 午後 9:42
まぁ、まだどの機関でも追試が成功せず、再現性が確認されていないので、いつのまにかフェイドアウトの可能性もなくはありません。
共同研究者の若山 山梨大教授のラボでさえ、実は追試に成功していないそうです。山中 京大教授も追試にトライしているそうですが、こちらも何の発表もなし。
それとは別に、2005年発表のドイツ人研究者の論文の剽窃と、マウスの胚の画像使い回しが問題にされてますが、こちらは、研究のコアの部分とどう絡むかは門外漢のトモコにはさっぱり分かりませんが、研究者として決して褒められた行為でないのは確かです。
2014/3/1(土) 午前 0:35 [ トモコ ]