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チラシと前売り半券です。
この作品は1979年の角川映画で、地方によっては『金田一耕助の冒険』と同時上映だとデータに記されているんですが、大阪では最初から2本立て上映でした。
約35年以上も前の映画ですが、当時この2本立ては、たいへんな人気番組だった。
『蘇える金狼』
解説:大藪春彦の同名小説の映画化で、遊戯シリーズでコンビを組んだ村川透監督、松田優作主演のハードボイルド。朝倉哲也は表向きは平凡なサラリーマンだが、夜は身体を鍛えて巨大資本乗っ取りを企んでいる。朝倉はある日、手に入れた麻薬で上司の愛人、永井京子を手なずけた。しばらくして会社幹部達の横領事件をネタに、桜井という男がゆすりに来ていることを突き止めた。朝倉は桜井と会社を巧みに利用して社長令嬢の絵理子と婚約することに成功するが、その一方で嫉妬に燃える京子は、ある決意をしていた。
昼間は平凡なサラリーマンの朝倉は、夜はボクシングで身体を鍛え、銃を所持して一億円の強奪に成功する。
しかし、奪った紙幣の番号がリストアップされていたことを知り、方向転換して盗んだ金を麻薬に変えるために暴力団組織を襲い接触するんですね。
上司の愛人である京子を麻薬で釣り、関係を持つことに成功する。
そんな時、朝倉は自分の会社の首脳陣すべてが横領に絡んでおり、その事で桜井という男にゆすられていることを知るんですね。
この作品、麻薬を牛耳る組織のバックが市会議員で(汗)、さらに上のレベルで悪いやつのバックには、次期総裁なる人物がいるというね(爆汗)・・・。
この国独特の政治家と悪と企業との癒着がベッタリと描かれています。
朝倉は野心だけで、そんなワルたちの間をのし上がり、大きな勝負を挑むようになるんですが・・・。
この映画はとにかく松田優作演じる朝倉が、裏社会の奴らを力で制していく物語。
ヘタに風呂敷を広げずに、ひとつの企業を巡る舞台を描いたお話なので、ぶっさいくな人間模様がひたすらリアルなんですよね・・・。
こういう作品を見ていると、ツッコミどころ満載でも面白いドラマって、逆にクソリアルなんだということ(笑)・・・。
人間はそんなに都合よく完璧に綺麗に身は振れないというね(爆汗)・・・。
強さと度胸の良さでのし上がっていく朝倉。しかし、ある不器用な面で想いを隠してしまったために、意外な破滅を迎えてしまうんですよ・・・。
ラストの朝倉=松田優作のセリフは、今や伝説になってる。
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昼間は冴えないサラリーマンの朝倉(松田優作)は、夜になるとボクシング・ジムに通い、「アンタならチャンピオンになれるよ」と絶賛されているという極端な顔を持つ逸材。
そんな朝倉、現金輸送中の警備員を襲い、1億円の強奪に成功するが、リストアップされた札束を洗濯する為に麻薬を買う方向に転換を強いられる。
この作品、後の『野獣死すべし』とよく似た感じのお話なんですが、朝倉のバックボーンなどは一切描かれていない。
朝倉はむちゃくちゃ強い謎の野心家という設定になっていて、自分が勤める企業の乗っ取りを企てている。
昼間の冴えないサラリーマン演技の優作が最高!
この人は異様にドスの効いた声なんで、その声で上司にペコペコしているだけでコミカル(笑)・・・。
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麻薬を得るために裏社会を強襲する朝倉。
その朝倉のクソ度胸とハッタリの効いた取引描写自体が胸のすくアクションになっている。
まるで黒豹のような松田優作の躍動を長回しで捉えた銃撃戦シーンは圧巻です。
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朝倉は手に入れた麻薬を餌に、上司の愛人である京子(風吹ジュン)に接近する。
朝倉に勧められたタバコに仕込まれた薬を、麻薬とは知らずに吸ってしまう京子は、朝倉に口説き落とされ、以後は朝倉に会社の裏情報を流す事になる。
朝倉が京子と出会うゴルフ練習場のシーンは、ありえなくて笑える(爆)・・・。
いかに優作さんがゴルフしないのかよくわかるシーン。
近年も映画で大活躍の風吹ジュンさん、この作品の重要人物なんですよね。
ハードボイルドがこれほど似合う女優さんも稀。
この作品、小池朝雄さんとか佐藤慶さんというクセ者俳優に交じり、東映のクセ者俳優たちがやたらとキモい演技て対抗しているのも見もの(笑)・・・。
朝倉の上司を演じた成田三樹夫さん、京子の部屋にいるであろう間男に向かって、「いるんなら出てきなさい」って(汗)・・・ヤクザが赤い羽根に笑顔で募金した・・・みたいなフェイントが怖いわ(爆汗)・・・。
裏社会の大物政治家の甥っ子である桜井(千葉真一)は、横領に手を染めている朝倉の会社の重役陣をゆする。桜井は最終的には朝倉の勤める東和油脂という会社を乗っ取ろうとしている。
この作品の千葉さん、全然カッコよくないのも重要ポイント(汗)・・・。
ハイっ!
松田優作さんが愛してやまなかったという岸田森さんが、なぜか桜井を追う探偵として登場するんですが・・・。
この作品の岸田森さん、白いスーツに黒いマントのようなコート姿で、ステッキをついて歩きカタコトでしか話せないという、凝りに凝った役作りで(笑)、最終的には障子にありえない突っ込みかたをして死ぬ(超爆)・・・。
合間で神戸から連れてきた殺し屋と共に千葉真一さん演じる桜井を殺してるし(笑)・・・。
そんな濃いすぎる脇役陣に負けじと粘着質な主人公を演じる松田優作、女を尋問するときもね、服をビリっと破り、女を立バック姿勢でいたぶりながらなんですよね・・・。
桜井などが絡んで少し脱線するこの作品、悪い東和油脂の重役陣は、実は格闘家という冴えないサラリーマン朝倉に目をつけ、出世を条件に会社を乗っ取ろうとする奴らとの対決を朝倉に依頼するんですが、結局は逆に朝倉にゆすられてしまうんですよね。
冴えないサラリーマン姿で重役たちを破滅させる朝倉の姿を見て、当時のサラリーマンたちはスカっとしたと思いますよ。
富を得た朝倉がカウンタックを買って乗り回すという描写が、当時のスーパーカー・ブームの名残りを感じる。
ハイっ!
ここから豪快にネタバレします。
観覧注意でお願いいたします。
自分のいた会社の乗っ取りどころか、裏社会の大物に認められた朝倉は、目をつけていた上司の令嬢と婚約まで果たし、持ち金をドルに替えて海外進出を考えていた。
しかし、利用されたと誤解された京子に朝倉は刺されてしまう。
実は朝倉、口には出していないんですが、京子とは一緒に海外へ行くつもりだった。
ちゃんと朝倉は京子を愛していたんですね。
そういう、惚れた腫れたの恋のあやから完全犯罪が綻ぶという様がね、いかにも松田優作らしいというか、1970年代のハードボイルド映画という感じですね。
「ジュピターには何時に着くんだい?」
昔も今もそうなんやけど、松田優作さんって、男に人気のあった俳優さんですよね。
私、大阪・梅田の三番街にあった阪急プラザという劇場に友人と行ったとき、『乱れからくり』という作品の予告編が流れた。すると、スクリーンに松田優作さんが映った瞬間、斜め前に座った女性が、「キャ〜、優作や」って叫んだ(笑)・・・。子供心に私は、「へぇ〜、松田優作って女にも人気があるのか」と驚いたくらいですから(汗)
ベテラン脇役陣の変態性個性を喜々と引き出し、ど真ん中で遊んでいた松田優作という役者の“唯一無二”を猛烈に味わえる作品です。
当時の東映系の邦画の音楽って、安物のシンセがキンキンという感じなんですが、当時を知る人はそれがまたたまりませんよ(笑)・・・。
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