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「仕方がない」!「やむをえない」!だけでは、政治は動かない、一人でも発言していくことだ!真実 を本音の言葉でずばりと言うブログ!

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2011年12月2日付ブログ記事

「NHKスペシャルシリーズ原発危機が隠蔽した重要部分」

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/nhk-69af.html

に、国と東電が巨大な津波の襲来が予想されるとの産総研の指摘を無視して津
波対策を取らなかった事実を記述した。

NHKは2011年11月27日にNHKスペシャル
「シリーズ原発危機 安全神話〜当事者が語る事故の深層〜」
「国・東電の歴代幹部150人がいま真相告白
“原子力村”で何が?失敗の本質は?」

と題する番組を放送した。

この番組は、東電が2008年に10メートルを超える津波襲来の可能性を認
識したが、その報告を政府に提出したのが東電福島第一原発が津波の襲来を受
けた2011年3月11日の4日前であることを紹介した。

この放送内容では、国が津波対策に不備があることを知ったのは原発事故の4
日前ということになってしまう。

事実はまったく違う。

東電が問題を認識した2008年から2011年までの間に、あるいはそれ以
前から、福島第一原発の津波対策が不十分であることが再三にわたって問題視
されてきた事実が存在する。

NHK番組はこれらの事実をまったく伝えなかった。



広瀬隆氏は2010年に出版した『原子炉時限爆弾』(ダイヤモンド社)に、
115年前の明治三陸地震津波の例を引いて、原発の津波対策が不十分である
ことを的確に指摘した。

明治三陸地震津波程度の津波が襲来すれば、原発は全所停電に陥り、重大な原
発事故=原子炉時限爆弾がさく裂することを警告した。

2006年には国会で原発の津波対策の不備が指摘された。

2006年3月1日、日本共産党の吉井英勝議員(京都大学原子核工学科卒
業)は、国会質問で当時の経済産業大臣の二階俊博(自由民主党)に対、福島
第一原子力発電所を含む43基の原子力発電所における

津波対策の不備

を指摘し、冷却水喪失による炉心溶融の危険性を警告した。

二階経産相は対策を約束したが、実際には改善を行わなかった。

吉井議員は同年12月13日にも、

「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守る
ことに関する質問主意書」

を内閣に提出し、原発の安全対策の不備に注意を喚起した。

しかし、安倍晋三首相は、

「我が国において、非常用ディーゼル発電機のトラブルにより原子炉が停止し
た事例はなく、また、必要な電源が確保できずに冷却機能が失われた事例はな
い」

と回答した。



東電は、2008年に、東大地震研究所による堆積物調査や、東北大学によっ
て実施された宮城県沖地震における重点的観測調査および産業技術総合研究所
によるその調査結果などにより、福島原発の津波対策の不備を認識した。

活断層研究センターと東京大学地震研究所による、1100年前の連動型大地
震である貞観地震による津波規模を、津波堆積物の分布状況をもとにコン
ピュータで精密に数値シミュレーションした
 
「石巻・仙台平野における869年貞観津波の数値シミュレーション」

https://www.gsj.jp/data/actfault-eq/h19seika/pdf/03.satake.pdf

が、次の事実を明らかにした。

貞観津波の規模が海岸線から内陸部に場所によっては3km以上の距離まで津
波堆積物がある非常に大規模なものであること、

地質調査からこの規模の大地震が約1000年規模で繰り返し発生しているこ
と、

が明らかにされたのである。

この事実を踏まえて、福島原発の津波対策の不備が指摘された。



2009年6月24日開催の原子力安全・保安院ならびに東京電力との「耐震
・構造設計小委員会」会議の席上で、産業技術総合研究所の活断層研究セン
ター長(地質学)である岡村行信氏が、これらの研究報告に基づいて連動型大
地震の危険性について強くその対策を求めた。

「総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会 耐震・構造設計小委員会
 地震・津波、地質・地盤 合同WG(第32回)」
 
の議事録はいまもネット上に公開されている。

https://www.nsr.go.jp/archive/nisa/shingikai/107/3/032/gijiroku32.pdf

ここでも、福島原発の津波対策の不備が厳しく指摘されている。

国と東電は近い将来に発生する可能性のある地震による津波で原発が電源喪失
に陥り、重大事故を発生させる恐れがあることを知りながら、津波対策を怠っ
た。

2011年3月11日に発生した原発事故は、国と東電が津波対策を怠ったこ
とによって発生した人災である。

その刑事責任が問われるべきことは当然だ。

福島第一原子力発電所の事故をめぐり、業務上過失致死傷罪などで告訴・告発
され、2013年9月に不起訴とされた東京電力の勝俣恒久・元会長ら旧経営
陣について、住民グループが勝俣恒久元会長ら6人の不起訴が不当であるとし
て、検察審査会に審査を申し立てていた。

この事案について、東京第五検察審査会は7月31日に、勝又元会長ら3人に
ついて「起訴相当」議決を行った。

検察が再捜査して決定を示すが、検察再び不起訴とした場合に、検察審査会が
再度「起訴相当」議決を行なうと、3名の旧経営陣は強制起訴される。

具体的に誰が責任を負うべきかという問題は残るが、過去の事実経過は、福島
原発事故が人災であることを示しており、誰一人刑事責任が追及されてこな
かったこれまでの警察・検察の行動は明らかに不当・不正である。



2009年6月24日開催の原子力安全・保安院ならびに東京電力との会議、
すなわち、

「総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会 耐震・構造設計小委員会
 地震・津波、地質・地盤 合同WG(第32回)」

議事録には、以下のやり取りが示されている。

○ 岡村委員 まず、プレート間地震ですけれども、1930年代の塩屋崎沖地震を
考慮されているんですが、御存じだと思いますが、ここは貞観の津波というか
貞観の地震というものがあって、西暦869年でしたか、少なくとも津波に関し
ては、塩屋崎沖地震とは全く比べ物にならない非常にでかいものが来ていると
いうことはもうわかっていて、その調査結果も出ていると思うんですが、それ
に全く触れられていないところはどうしてなのかということをお聴きしたいん
です。
 
○ 東京電力(西村) 貞観の地震について、まず地震動の観点から申します
と、まず、被害がそれほど見当たらないということが1点あると思います。あ
と、規模としては、今回、同時活動を考慮した場合の塩屋崎沖地震でマグニ
チュード7.9相当ということになるわけですけれども、地震動評価上は、こう
いったことで検討するということで問題ないかと考えてございます。
 
○ 岡村委員 被害がないというのは、どういう根拠に基づいているのでしょう
か。少なくともその記述が、信頼できる記述というのは日本三大実録だけだと
思うんですよ。それには城が壊れたという記述があるんですよね。だから、そ
んなに被害が少なかったという判断をする材料はないのではないかと思うんで
すが。
 
○ 東京電力(西村) 済みません、ちょっと言葉が断定的過ぎたかもしれませ
ん。御案内のように、歴史地震ということもありますので、今後こういったこ
とがどうであるかということについては、研究的には課題としてとらえるべき
だと思っていますが、耐震設計上考慮する地震ということで、福島地点の地震
動を考える際には、塩屋崎沖地震で代表できると考えたということでございま
す。
 
○ 岡村委員 どうしてそうなるのかはよくわからないんですけれども、少なく
とも津波堆積物は常磐海岸にも来ているんですよね。かなり入っているという
のは、もう既に産総研の調査でも、それから、今日は来ておられませんけれど
も、東北大の調査でもわかっている。ですから、震源域としては、仙台の方だ
けではなくて、南までかなり来ているということを想定する必要はあるだろ
う、そういう情報はあると思うんですよね。そのことについて全く触れられて
いないのは、どうも私は納得できないんです。
 
○ 名倉安全審査官 事務局の方から答えさせていただきます。産総研の佐竹さ
んの知見等が出ておりますので、当然、津波に関しては、距離があったとして
も影響が大きいと。もう少し北側だと思いますけれども。地震動評価上の影響
につきましては、スペクトル評価式等によりまして、距離を現状の知見で設定
したところでどこら辺かということで設定しなければいけないのですけれど
も、今ある知見で設定してどうかということで、敷地への影響については、事
務局の方で確認させていただきたいと考えております。

多分、距離的には、規模も含めた上でいくと、たしか影響はこちらの方が大き
かったと私は思っていますので、そこら辺はちょっと事務局の方で確認させて
いただきたいと思います。あと、津波の件については、中間報告では、今提出
されておりませんので評価しておりませんけれども、当然、そういった産総研
の知見とか東北大学の知見がある、津波堆積物とかそういうことがありますの
で、津波については、貞観の地震についても踏まえた検討を当然して本報告に
出してくると考えております。以上です。
 
 
 
○ 岡村委員 先ほどの繰り返しになりますけれども、海溝型地震で、塩屋崎の
マグニチュード7.36程度で、これで妥当だと判断すると断言してしまうのは、
やはりまだ早いのではないか。少なくとも貞観の佐竹さんのモデルはマグニ
チュード8.5前後だったと思うんですね。想定波源域は少し海側というか遠
かったかもしれませんが、やはりそれを無視することはできないだろうと。そ
のことに関して何か記述は必要だろうと思います。
 
○ 纐纈主査 名倉さん。
 
○ 名倉安全審査官 先ほど杉山先生から御指摘いただきました1点目につきま
して、事務局から説明させていただきますと、中間報告提出時点におきまし
て、双葉断層ですけれども、東京電力は47. 5kmで暫定評価としておりまし
て、それで地震動価を実施した結果を報告してきました。途中で37kmに切り替
えたのですけれども、それは地質調査の追加調査結果を踏まえた双葉断層の評
価として短くしたということであって、地震動評価結果につきましては、37km
の補正は実は行われていなかったんですね。

そういうこともありまして、当初報告がなされた暫定評価の47.5kmで審議を進
めてきたので、それでまとめたと。結局、双葉断層の37kmの評価をAサブグ
ループで最終的な評価として妥当なものと認めたのが最後の回でしたので、地
震動評価につきましては37kmの評価は実施されていない状況で、基本モデルだ
けは実施していただいたんですけれども、不確かさモデルについては実施して
いないということで、これを実はこの評価書の中にも少し書いてございます
が、東京電力では、本報告までに37kmの評価を実施することにしておりまし
た。

したがいまして、 47.5kmというのは、あくまでも中間報告提出時の評価、暫
定的なものに対して評価を保安院の方でしたということでありまして、最終的
な確定した双葉断層の長さとは少し違いが出てきておりますので、もう少し地
質調査と地震動評価のところで明示的にわかるような形、一応書いてはいるん
ですが、もう少しわかるような形に修正させていただきたいと思います。以上
です。



名倉安全審査官の説明は、何を言いたいのかほとんど分からない。(

想定する地震の規模を過小評価しているとの指摘に対して、何も答えていない
のである。

産業技術総合研究所が2010年8月に刊行したAFERC NEWS No.
16に掲載された、

「平安の人々が見た巨大津波を再現する−西暦869年貞観津波−」

https://unit.aist.go.jp/actfault-eq/Tohoku/no.16.pdf

は、

「備えあれば憂いなし」

の言葉を掲げて、貞観地震津波規模の津波が450年〜800年程度の再来間
隔で過去に繰り返し起きてきたことがわかり、近い将来に再び起きる可能性を
否定できないことを警告した。

このレポートが公刊されたのが、東日本大震災と原発事故のわずか半年前で
あったことが極めて印象的である。



東電では、2008年に福島第一原発に想定を大きく超える津波が来る可能性
を示す評価結果が得られた際に、原発設備を統括する本店原子力設備管理部
が、そうした大津波は現実には「あり得ない」と一蹴して津波対策を講じな
かった。

2007年4月に新設された原子力設備管理部の部長を、発足時から2010
年6月まで務めたのが故吉田昌郎前福島第一原発所長であった。

吉田氏一人の判断であったとは考えられないが、津波対策の不備に対する再三
にわたる警告が発せられながら、この警告を無視して津波対策を講じることを
せず、自分自身が原発の所長に就任した時期に津波が原発を襲い、重大な原発
事故を引き起こしてしまったことは、誠に不幸な皮肉である。

二度と重大な人災を引き起こさないためにも、責任ある当事者の刑事責任は厳
しく追及する必要がある。

安倍政権は原発再稼働を推進しているが、発生する地震の地震動に対して、原
発の規制基準は緩すぎる。

4000ガルの地震動が2008年の宮城岩手内陸地震で観測されているの
に、原発の地震動規制基準が620ガルでよいわけがない。

原子力規制委員会の田中俊一委員長自身が

「原発が安全だとは言わない」

と明言しているのだ。

原発が再び重大事故を引き起せば、国民の生命、自由、幸福を追求する権利は
根底から覆される。

政府が原発再稼働を容認することは、国民の生命、自由、幸福を追求する権利
を、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とすることを定めた日本国憲
法第13条に反する違憲行為である。

福島事故の厳正な刑事責任追及を実行するとともに、安倍政権の原発再稼働推
進方針を憲法第13条違反として糾弾しなければならない。
 
※植草一秀の『知られざる真実』2014年8月1日より「転載」
 
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