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           「植草一秀の『知られざる真実』」

                      2015/03/04

経済政策最重要テーマは「成長」でなく「分配」

                             第1093号

ウェブで読む:http://foomii.com/00050/2015030418172225493
EPUBダウンロード:http://foomii.com/00050-26162.epub
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筆者が執筆している

『金利・為替・株価特報』

http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html

では、日本株価の見通しを、2月12日執筆の2月16日号で、

「中立」から「上昇」

に変更した。

日経平均株価の予想変動レンジを

16500〜18500円

としてきたものを、

17500〜19500円

に変更した。

その直後から株価上昇が勢いを強め、日経平均株価が15年ぶりの高値をつけ
た。



『金利・為替・株価特報』においては、日本株価見通しが次のような変遷を示
してきた。

2012年10月29日号

第1節【概観】日本円の下落が引き起こす大きな変化

に次のように記した。

「日銀の政策決定後もいまの、円弱含み、株強含み、長期金利弱含みの流れが
大きく変化しない場合には、金融市場の流れが大きく転換する可能性が生まれ
てくる。

①米国の長期金利がボトムに到達した可能性があること、②他方、日本の金融
政策においてさらに量的な緩和措置が強化される可能性が生まれること、を考
慮すると、日本円の中期トレンドが「円高」ではなく「円安」に転じる可能性
を否定できない。」

政治状況が変化して、為替が円安基調に転換し、連動して日本株価が上昇波動
に転じる可能性を指摘した。

この直後に、野田佳彦氏が衆院解散を決定し、2013年央に向けて急激な円
安、日本株高が進行した。



2013年1月25日号

第5節 株価が上昇する理由

にこう記述した。

「利回り格差が3%程度に縮小する場合、株式益利回りは3.7%となり、P
ERは27倍、日経平均株価は約16,000円になる。日経平均株価16,
000円への上昇は十分に説明のつくものになる。日経平均株価が16,00
0〜18,000円に上昇する可能性を念頭に入れておくべきである。」

日経平均株価は2013年央に16000円水準にまで上昇した。

そして、2013年末にかけて、金融市場では2014年株価に対する強気見
通しが蔓延したのである。

このなかで、

2013年11月25日号

第2節 【政策】2014年度の政策逆噴射には最大の警戒が必要

第9節 【投資戦略】目先は掉尾の一振も大きなリスクが忍び寄る

に、

「2013年末に向けて、株価は「掉尾の一振」で上昇する可能性が高いが、
2014年入り後は、消費税大増税を軸とする「政策逆噴射」による日本経済
撃墜の見通しが強まり、株価は反転下落する可能性が高い」

との見通しを示した。

現実に、日本株価は2014年初から下落波動に転じたのである。



2014年5月12日号

全体タイトルは

「大増税で超割安水準に下落日本株価に妙味」

であった。

第9節 【投資戦略】逆張り発想への転換

に次のように記述した。

「安倍政権の政策逆噴射で日本株価は下方圧力を受けているが、株価諸指標は
日本株価の割安を示している。

日本経済を悪化させる要因が出尽くしとなれば、日本株価は底入れ反騰に転じ
る可能性がある。

「逆張りの発想」により悪材料出尽くしの巨大チャンスを取り逃がさぬように
しなければならない。」

株価見通しを「下落」から「上昇」に変更した。

実際に、日経平均株価は5月19日を境に、上昇波動に転じたのである。



内外株式市場は10月に乱高下を演じた。

このなかで、

2014年10月14日号

に次のように記述した。

「日本株価について本レポートは、5月12日号で株価上昇見通しに転換した
が、この株価上昇見通しを「中立」に転換する。

当面はなお乱高下が持続し、強弱感が対立すると想定するが、その後の方向
は、12月までに決定される消費税再増税についての判断に依存することにな
る。

それまでの間の株価見通しを「中立」に転換する。」

そして、11月に入り、衆議院解散・総選挙が決定され、消費税再増税の先送
りが決定された。

株価は乱高下を繰り返したのである。

その延長上で、

2015年2月16日号

第4節 【株価】日本株価予想変動レンジの上方改定

に次のように記述し、株価見通しを上方改定した。

「現時点での状況を総合的に勘案して、日経平均株価予想変動レンジを165
00−18500円から17500−19500円に引き上げる。

前提は、①日本経済の緩やかな改善、②米ドルの底堅い推移、③日米長期金利
の急騰回避、である。

背景には日本株価が理論的妥当値よりも下方に大幅かい離しているとの判断が
ある。」

現実に、日本株価は2月19日に2013年末高値を突破して、新領域に突入
した。



2014年に、日本経済は撃墜された。

消費税大増税を軸とする超緊縮財政政策が、浮上しかけていた日本経済を撃墜
してしまった。

「消費税増税の影響軽微」

という、日本経済新聞のキャンペーンは大ウソであった。

消費税増税とともに、日本経済は不況に逆戻りしたのである。

しかしながら、株価は大幅には下落しなかった。

政策当局が人為的な株価買支えを行なったことも影響している。

とりわけ、10月31日の二つの政策オペレーションの影響は大きかった。

二つの政策オペレーションとは、

日銀による追加金融緩和



厚労相による、GPIF運用改革案の認可である。

130兆円の資金を要するGPIFが外国証券と日本株式に対する資金配分を
大幅に拡大する方針を示した。

一方で、GPIFは国内債券に対する資金配分を大幅に引き下げることを打ち
出したのである。

この決定が単独で示された場合には、債券市場で大暴落が起こる。

株式への資金配分比率が引き上げられても、債券が暴落し、長期金利が急上昇
するのでは、株価上昇効果は著しく抑制される。

ところが、同じ日に、日本銀行が量的金融緩和の拡大を決めた。

日銀が年間70兆円の国債を買い入れる方針を示したのである。

つまり、GPIFが国内債券を売却して、債券相場が大暴落=日本の長期金利
が急上昇する政策決定がなされたのだが、GPIFによる債券売却額をはるか
にしたの上回る金額の国内債券を日銀が買い入れる方針が同時に示されたた
め、金利上昇を招かずに、株高、円安が推進される状況が生み出された。

人為的に創出された金融変動であり、「官製相場」と呼ばれているのである。



しかしながら、私は日本株価が暴落するとは考えていない。

その最大の理由は、日本株価が主要指標から判断して、

「高すぎる」

とは言えないからである。

2014年3月期企業利益を基準としたPER(株価収益率)



2015年3月期予想企業利益を基準としたPER

とを比較すると、前者の方が高い。

つまり、現時点でも、今期の企業収益は増益が予想されているのである。

2014年、日本経済は景気後退に転落した。

ところが、2014年度企業利益は減益にならずに、増益になるのだ。

このために、PERは上昇せず、株価の相対的割安状況が残存している。



経済活動で生み出された果実は、労働と資本に分配される。

企業収益とは、基本的に資本に分配される所得である。

経済が不況に陥ったのに、企業収益が減少しなかったということは、すなわ
ち、労働への分配が減少したということなのである。

実際に、毎月勤労統計や家計調査によって明らかにされる、賃金所得は大幅減
少を続けてきたのである。

株価が暴落せず、緩やかながら堅調推移を続けている裏側に、

「格差拡大」

が確実に進行しているという、もうひとつの現実が潜んでいることを忘れては
ならない。



アベノミクスの成果が、ほとんどの国民に実感されていないのは、このためで
ある。

果実の分け方において、富裕層に手厚く、低所得階層に冷酷である現実が浮か
び上がる。

これこそ、まさにアベノミクスの最大の問題なのだ。

安倍首相は「成長」という言葉を頻繁に用いるが、

「分配」という言葉を用いない。

私はかねてより、経済政策上の二大テーマが、

「成長」と「分配」

であると主張してきた。



「成長」を決定する主たるファクターは、

「技術進歩」と「人口成長」

である。

大きな技術革新が生まれず、人口が減少する社会においては、成長率の低下は
避けて通れない現実である。

他方で、弱肉強食推進の経済政策によって、日本における格差問題が、人々の
存在そのものを危うくしかねない状況にまで深刻化している。

この状況下における経済政策上の第一の課題は

「成長」

ではなく

「分配」

である。



株価が上昇して潤うのは、一部の富裕層に過ぎない。

分配の在り方を根本から考え直さないと、日本社会の良い面の特色は消滅する
ことになるだろう。

安倍政権の政策基本方針は

「戦争と弱肉強食」

だが、この方向を

「平和と共生」

の方向に大転換しなければならない。

それが、長期的に見た日本国民の幸福につながる道である。



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