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「仕方がない」!「やむをえない」!だけでは、政治は動かない、一人でも発言していくことだ!真実 を本音の言葉でずばりと言うブログ!

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                  「植草一秀の『知られざる真実』」

                             2015/09/12

辺野古問題最大焦点は本体工事着手の可否

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8月10日ブログ記事

「埋立承認取り消さず国と協議に談合の気配充満」

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-a952.html

7月31日付ブログ記事

「真の公約は「辺野古に基地を造らせる」だった?」

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-7ddd.html

に記述したように、

「辺野古に基地を造らせない」

公約を実現するうえで、最重要の焦点は、国による基地建設を現実的に阻止す
ることである。

昨年11月の沖縄知事選で最大の論点になったのは、仲井真前知事による埋立
承認の撤回・取消である。

菅義偉官房長官が昨年9月10日の記者会見で明言したように、国による辺野
古米軍基地建設の根拠は仲井真知事による埋立承認である。

菅官房長官は、埋立承認を得ている以上、基地問題は過去のものだと述べた。

したがって、基地建設を阻止するには、埋立承認の撤回および取消が必要不可
欠である。

知事選に際して、「辺野古に基地を造らせない」ことを公約に掲げるなら、

「埋立承認の撤回・取消」

を公約として明示する必要があった。

私は、この点を明確にしたうえで、基地建設反対候補者を一人に絞り込むこと
が必要であると訴え続けた。



しかし、翁長雄志氏は、この点を最後まで明確にしなかった。

「腹八分腹六分のオール沖縄体制だから、埋立承認の撤回・取消を公約化でき
ない」

とした。

この姿勢が意味するところは、翁長氏支持陣営のなかに、埋立承認撤回・取消
に反対する勢力が存在することを示唆していた。

反対する理由は、辺野古基地建設を実質容認して、見返りに、沖縄振興策を獲
得することの優先順位が高いという点にあるのだと推察される。

つまり、埋立承認撤回・取消を直ちに実行せずに、辺野古基地建設進捗を容認
してしまうべきだとの主張を持つ勢力が翁長氏支持陣営に存在するのだと推察
される。

上記ブログ記事およびメルマガ記事に記述したことは、翁長氏が国による辺野
古基地建設をサポートするかたちで、埋立承認取消に動くだろうという洞察で
ある。

最大のポイントは、国による本体工事着手を阻止するのかどうかである。

翁長知事は、国による本体工事着手を阻止する決定的なカードを握っていた。

それは、知事就任後、速やかに埋立承認撤回・取消を実行することである。

知事がこの行動を取ると、国は本体工事に着手できない。

それ以前のボーリング調査にも着手できなかった可能性がある。

しかし、翁長知事は、埋立承認撤回・取消をこの9ヵ月間実行しなかった。

何よりも重要なことは、本体工事着手前の

国と沖縄県による事前協議

である。

埋立承認文書に、国と県による本体工事前の事前協議が必要プロセスとして明
記されている。

つまり、国は県との事前協議なしに本体工事に着手できない。

したがって、この事前協議の前に沖縄県知事が埋立承認撤回・取消を実行すれ
ば、事前協議は実現せず、したがって、国は本体工事に入ることができなくな
る。

そのタイムリミットはこの7月だった。

しかし、翁長知事は国による事前協議書を受け取った。

受け取ったことに依り、事前協議が行われたという外形が確保されることにな
り、国はこれを根拠に本体工事に着手できることになる。



国が本体工事に着手したあとで翁長知事が埋立承認を取り消しても、工事は進
むことになる。

工事が進んだ場合、沖縄県と国が法廷闘争を行っても、基地建設の既成事実が
積み上げられてしまうので、裁判所は「訴えに利益なし」の判断を示す可能性
が極めて高くなる。

国による辺野古米軍基地建設を実質容認するための行動は、

「本体工事着手の条件が整うまでは埋立承認を取り消さないこと」

なのだ。

逆に言うと、本体工事着手の条件が整ってしまえば、埋立承認取消を実行して
も基地建設の大きな妨げにはならないことになる。

埋立承認取消を実行することは、知事が「辺野古に基地を造らせない」公約実
現に向けて、「あらゆる手段を活用した」という「アリバイ」を提供するもの
である。

私は、翁長知事が、本体工事着手の条件を国に献上したうえで埋立承認取消に
進むと予測してきたが、現在の流れはその通りのものである。

この場合、埋立承認取り消しは

「辺野古に基地を造らせない」

公約に沿うものとは言えない。

逆に

「辺野古に基地を造らせる」

ことをサポートする行動ということになる。

なぜなら、埋立承認取消は、いまよりもはるかに早い段階で実行することが可
能な選択肢であったのであり、それを実行していれば、国による本体工事着手
阻止は確実に実現できたからである。(訂正箇所:「着手阻止」の「阻止」が脱
落しておりました)



この理解が誤りであることを念願するが、その判定を行うためのチェックポイ
ントは、

1.国が本体工事に着手するか否か

2.最終的に「辺野古に基地を造らせない」公約が実現するか否か

である。現時点での最終判断は時期尚早だが、上記2点が決定的に重要である
ことを明記しておく。



翁長氏が

「腹八分目、腹六分目」

と言って、埋立承認撤回・取消の公約化を頑なに拒絶した理由は、

翁長氏支持陣営のなかに、

辺野古基地建設を実質容認して、見返りに、沖縄振興策=利権政策を獲得する
べきだと考える勢力が存在していたからだと推察される。

「辺野古に基地を造らせない」

ことを希求する勢力は、当初、知事候補者選定の条件として、

埋立承認撤回・取消の確約

を掲げていた。

しかし、

「オール沖縄」

の体制を構築するために、この要求を取り下げたのである。

つまり、

「埋立承認撤回・取消の公約化」

の条件を廃棄したのだ。



これは、「知事権限を握る」ことを「埋立承認撤回・取消公約化」よりも重視
したことに他ならない。

そのために、この点を厳しく追及する声に対して、

「オール沖縄の体制に水を差す言動」

として、敵意をもって対処してきた。

しかし、

「埋立承認撤回・取消公約化」を拒絶した影響は、これまでの現実が示すよう
に、確実に広がっている。

翁長氏が知事就任後、直ちに埋立承認撤回・取消に進んでいれば、間違いな
く、国は辺野古米軍基地建設の本体工事には進めない。

「辺野古に基地を造らせない」

という公約を実現するうえで、これ以上の成果はない。



翁長氏は

「辺野古に基地を造らせない」

と言いながら、

「辺野古に基地を造らせない」

ための

「ベストの選択」

を示していない。

本体工事着手の条件を献上したうえで、埋立承認取消に動いても、それは

「辺野古に基地を造らせない」

ために必要不可欠な行動にはならない。



本体工事着手の条件を献上したうえで埋立承認取消に動くことは、

1.「辺野古に基地を造らせる」ことをサポートする行動

であると同時に、

2.「辺野古に基地を造らせない」公約に向けて行動したという「アリバイ」
を作る行動

ということになる。

このシナリオを用意されて、このシナリオ通りに動いているとの推察が正鵠を
射ていないことを念願する。



8月初めから9月中旬まで、工事を中断して「協議」を行ったのは、

1.翁長知事が本体工事着手のための事前協議書を受理してしまい、本体工事
着手の条件を整えた決定的に重要な事実を見えにくくすること

2.安倍政権が戦争法制を強行制定するうえで、タイミングとして同時に沖縄
問題が世論の批判の対象になることを避けること

3.1ヵ月にわたる「協議」を、本体工事着手のための「事前協議」であると
の形式を整えること

の三つの目的を満たすものであったのではないか。

翁長氏は訪米したり、国連機関で演説するなどの行動を示している。

しかし、その評価はただひとつの視点から下されるべきだ。

それは、

「辺野古に基地を造らせない」ことを実現できるのかどうか。

この一点に尽きる。

この一点を踏まえると、

圧倒的に、そして、決定的に重要な行動は、

「埋立承認の撤回・取消」



最速で実行することだ。



本年1月から3月に埋立承認取消をまず実行して、その上で訪米、国連機関演
説をするのなら理解できる。

しかし、埋立承認取消を実行せずに、訪米や演説を行っても、実効性はほとん
どない。

逆に、実効性がないが、沖縄県民への説明として、一定の「見栄え」を確保で
きる行動を選択しているように見えてしまう。

本体工事着手条件を献上したうえでの埋立承認取消は、「見栄え」のうえでは
最高の効果を有する。

しかし、埋立承認取消を実行しても、本体工事に着手されてしまうなら、「辺
野古に基地を造らせない」公約実現は極めて難しくなるだろう。

いずれにせよ、翁長雄志氏の進退問題を含む責任は、

「辺野古に基地を造らせない」公約実現の可否

にかかることだけは明確にしておかねばならない。


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