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「野合」とは何か?

  「野合」とは何か?

2016/03/15

 7月の参院選が近づいてきたので、ようやく、1人区での野党共闘の機運が高まってきた。

 それに危機感を抱いたのか、政権与党から、野党協力に対する「野合」批判も本格化してきた。

 「野合」とは、正当な理由(つまり共通の大義名分)もなく、単に利益だけを求めて無原則に寄り合うことである。

 かつて、新安保法制(私はこれを『戦争法』と呼ぶ)をめぐる議論が始まったころに、多くの論者が「平和の党、公明党はどこへ行った?」と批判した。それに対して、公明党の幹部は次のように言い放った。「公明党と自民党は別の政党だから政策は異なっていて当たり前だ」と。

 それはそうだろう。公明党が自民党と政策が一致していたら、両党は連立など組まずに合流すればよい。しかし、両党の背景と基本理念が異なっているのは明らかである。自民党は自由主義と民主主義を基本理念にしており、公明党は日蓮仏法の「立正安国」を基本理念にしている。

 翻って、今回の野党協力の大義は、立憲政治すなわち 憲法を順守する政治の回復の一点である。

 実は、立憲主義とは、自民・公明を含む全ての政党が守るべき大原則であり、これに例外はあり得ない。

 にもかかわらず、憲法9条が「軍隊」の保持と「交戦権」の行使(つまり、国際法上の『戦争』の手段と資格)をわが国に対して禁じているから海外派兵はできない…という原則を堅持してきた政府自身が、突然、(私などが納得できる)合理的な説明なしに、多数決で、海外派兵手続法を制定してしまったのである。

 これを憲法の空洞化だと危惧する野党が、自分たちの得票率に比して極端に議席数が少ないことを反省し、自・公の選挙協力に学び、議席を増やすことにより、きちんとした憲法論議をやり直そう…として決意したのが、今回の野党協力である。

 だから、それは、上述のような言葉の本来の意味での「野合」などではない。

 相対的な多数派が絶対的多数の議席を獲得できる現行選挙制度の特色を活用して絶対的多数の議席を背景に「問答無用」の政治を行ってきたきらいのある自・公政権に、野党が互角の戦いを臨む今回の選挙は興味深い。

(慶大名誉教授・弁護士)


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