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                      「植草一秀の『知られざる真実』」
                                    2019/07/01
    国民の利益基軸外交実践する米中韓朝トップ
             第2369号
   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019070114100355864 ──────────────────────────────────── 大阪のG20首脳会議で注目されたのは米国のトランプ大統領の行動だった。
米中協議と米朝協議、イラン情勢に世界の関心が寄せられている。
このなかでトランプ大統領がどのような行動を示すのか。
米中貿易戦争は昨年3月に本格的な火蓋が切られた。
米国が仕掛けた戦争である。
中国は全面的な譲歩を示してきたが、5月5日のトランプ大統領ツイートから情勢が変化した。
中国が一方的な譲歩をこれ以上示さないことを明示したのである。
米朝協議は本年2月末の第2回米朝首脳会談が物別れに終わったあとで膠着状態を示していた。
当然のことながら、拉致問題は置き去りにされたままである。
米朝協議が今後どのように進行するのか、不透明な状況が広がっていた。
米国とイランの緊張関係は高まり、安倍首相のイラン訪問で問題が拡大してしまった。
イランと米国が一触即発の状況にまで事態は悪化したのである。
日本で開かれたG20会合だったが、日本の存在感は皆無だった。
G20開催に先立ってトランプ大統領が日本を訪問したが、安倍首相は接待に全神経を注ぎ、日本外交に何ひとつの成果をももたらすことができなかった。
日露外交では得点どころか大量失点の失態を演じている。

トランプ大統領は米中首脳会談で、米国の全面的な方針転換を告げた。
ファーウェイに対する禁輸措置を撤回した。
同時に、中国の対米輸出3000億ドルに対する制裁関税発動を凍結した。
本ブログ、メルマガで予測してきたとおり、米国が白旗を揚げた。
中国と米国の置かれている状況を冷静に洞察するならば、米国が引き下がらざるを得ない状況にあった。
したがって、米国の全面譲歩は合理的に予想される事態であった。
しかし、それよりもさらに重要なことがらが確認された。
それは、トランプ大統領が「柔軟性」を保持していることが確認されたことである。
中国に対して明白な拳を上げたのはトランプ大統領である。
トランプ大統領が面子にこだわる人物であるなら、上げた拳を下げることに躊躇する。
しかし、トランプ大統領は極めて臨機応変に対応を変えた。
この「柔軟性」が保持されるなら、2020年の大統領再選は実現味を増すことになる。
北朝鮮との対話においても、膠着状態を打開するには、米国側の譲歩が不可欠である。
面子にこだわるリーダーであれば、自分から面会の要請をしない。
しかし、トランプ大統領は電撃的な三回目の米朝会談を実現させた。

安倍首相が拉致問題を解決するには対話が不可欠である。
米韓中ロ日の北朝鮮問題に関わる5ヵ国首脳のなかで、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と直接対話を実現できていないのは日本の安倍首相だけだ。
問題を解決するには対話が必要で、問題を解決するには信頼関係の構築が欠かせない。
韓国の文在寅大統領が訪日した。
いかなる問題があるにせよ、対話の機会を生かさないというのは、外交上の失態以外の何者でもない。
問題があればあるほど、直接に言葉を交わすことが重要になる。
韓国は北朝鮮問題を解決する上での最重要関係国である。
文在寅大統領が訪日したのに、その機会を無駄にして、日韓首脳会談を行わなかったことによって、安倍首相が拉致問題の解決にまったく関心がないと受け取られても弁解のしようはない。
トランプ大統領は韓国の文在寅大統領と会談し、第三回目の米朝首脳会談開催を実現させた。
トランプ大統領が米朝問題解決に韓国の力が必要であることを強調した。
子どもじみた発想で日韓首脳会談を開催しなかった料簡の狭さは、世界の注目を集める外交対応である。
中国も北朝鮮も、米国に対して、NOと言うべき点は毅然とNOの意思表示をしている。
その結果として、事態を打開しているのだ。
日本外交の劣化は目を覆うばかりである。

米中貿易戦争で、中国は全面的な譲歩を示してきた。
米国から農産物等を大量輸入する方針を確約した。
技術移転に関して、政府による技術移転の強要を禁止する法律を本年3月の全人代で制定した。
知的所有権の保護についても前向きな対応を示している。
しかし、米国は対中要求をエスカレートさせた。
民間企業同士の技術移転禁止をも求めた。
政府による補助金投入禁止をも求めた。
中国企業ファーウェイに対する禁輸措置を打ち出した。
通商協議決着後も制裁関税を残存させる方針を示した。
これらの米国の要求は筋が通らない。

政府による技術移転禁止を要求することは正当だが、民間企業同士の技術移転を禁止することには正当な根拠がない。
政府による補助金投入は米国政府も行っている。
ファーウェイに対する禁輸措置は、実は米国企業に与える打撃が甚大である。
中国は一帯一路政策で販路を西方に広げている。
米国との通商関係が滞っても、活路を開けるとの判断が保持されている。
習近平主席の政治的基盤はトランプ大統領よりも強固である。
中国は譲歩できるラインまでは徹底譲歩するが、譲歩できないラインを踏み越えての譲歩をしないとの判断を固めた。
これが5月8−9日ワシントン閣僚級協議での中国の基本姿勢だった。
この毅然とした中国の対応を踏まえてトランプ大統領が白旗を揚げたのである。

北朝鮮にとって核武装は生命線である。
したがって、米朝関係正常化に向けてのプロセスは、
核の段階的撤去と北朝鮮に対する制裁の段階的な撤去の同時進行
である。
これが北朝鮮の基本方針であり、この基本方針の全否定は容認できない。
2月末の米朝首脳会談が物別れに終わったのは、米国がこの基本路線を全否定する提案を示したことが主因である。
これに対して金正恩委員長は明確にNOの意思を表示した。
事態を打開するには北朝鮮のこの意向を尊重することが必要になる。
米国のタカ派=ネオコンは米朝協議の進展を希望していない。
そのために、米朝協議が決裂するための米国提案を示したのである。
このネオコン采配に対して、トランプ大統領がどのように対応するのかが焦点なのである。

米中協議にせよ、米朝協議にせよ、現時点で問題解決の着地点が見えたわけではない。
しかし、トランプ大統領が膠着した現状に風穴を開けたことは事実である。
しかも、その方法は、トランプ大統領自身が上げた拳をみずから下げるという方法によった。
この「柔軟性」が外交対応においては極めて重要なのだ。
そして、米国の譲歩が、中国や北朝鮮の毅然とした対応によって引き出された点が重要だ。
毅然とした対応が建設的な結果につながる。
そして、外交交渉における問題解決をもたらす第一歩は、常に、会話の窓口を開けておくことなのだ。

5月末にトランプ大統領が訪日したが、農産物交渉、日米FTA、沖縄基地問題のすべてにおいて、安倍首相は日本の主張を毅然と示さなかった。
ただひたすら媚びへつらう接待尽くしに専念し、米国製不良高額兵器の爆買いを提示しただけなのだ。
このような外交姿勢では、日本の主権者の利益を守ることはできない。
拉致問題を解決するには、いかなる事情があるにせよ、韓国大統領が訪日したなら会話の窓口を開けなければダメだ。
北朝鮮トップに会いたいと希望を述べながら、会うことができない唯一のトップが安倍首相である。
日本の主権者は来る国政選挙で、「安倍政治NO」の意思を表示するべきだ。
何よりも重要なことは、主権者全員が選挙に行くことだ。
投票率9割を実現して、日本の主権者の総意として日本政治刷新の方向を示すべきである。



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