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(前回の続き)
そして香織の母が玄関まで行き、お父さんを出迎えにいった。
すると香織が僕にメールを見せた。
香織:[緊張しなくてもいいからね。私がついてるから。頑張って!]
香織の顔を見ると僕はうなずいた。
玄関からかすかに響くお父さんの声がすると、それを聞いた僕は立ち上がり心の準備をした。
するとお父さんとお母さんがリビングに入ってきた。
僕はお父さんの顔を見るなり頭を下げて挨拶をした。
拓人:「こんにちは!お邪魔してます!この前はご迷惑をおかけしてすみませんでした!」
するとお父さんは言った。
香織の父:「あー君か。この前はあんな言い方してすまなかったな。」
僕はお父さんの言葉に驚いた。
また追い返される覚悟できたのに、あまりにも優しい言葉だったので少し僕はホッとした。
拓人:「いえ。あっ つまらないものですがこれをどうぞ。」
僕は香織には内緒で用意しておいたお土産をカバンの中から取り出すとお母さんにそれを渡した。
香織の母:「あら。そんな気を使わなくてもいいのに。」
すると香織がメールで、
香織:[そんなの用意してたの!?]
僕は香織の驚いた顔をみて笑った。
香織の母:「ほんとに頂いていいの?ありがとね。」
するとお父さんが言った。
香織の父:「ところで今日はどうしたんだ?みんな揃って。」
僕はその言葉を聞くと、お父さんに話をきりだした。
拓人:「実は、今日お話があってここにきたんです。」
香織の父:「ん?話?なんだね?」
僕は覚悟を決めて言った。
拓人:「今、僕は香織さんとお付き合いさせてもらってます。それをお父さんにも認めてもらいたくて・・・」
お父さんは少し黙った後、僕にこう言った。
香織の父:「ちょっと隣の部屋に来てもらってもいいか?」
するとお母さんが焦った声で言った。
香織の母:「おとうさんっ!」
香織の父:「大丈夫だ!少し男同士で話がしたいだけだ。」
僕はお父さんに言われるまま隣の部屋へと移った。
お父さんは僕を座らせるとこう言った。
香織の父:「名前は拓人くんでよかったのかな?」
拓人:「はい。」
香織の父:「この前病院で会ったとき、君は香織の病気のことを知っていると言ってたね?」
拓人:「はい。知ってます。あの日に初めて聞いたんですが。」
香織の父:「香織は耳が聞こえない上、重い病気をかかえている。今は元気に見えるがいつどうなるか誰もわからん。それをわかっていて君は香織と付き合うといっているのか?」
僕はためらいなく答えた。
拓人:「はい。そうです。僕は香織を愛してます。病気のことは最初に聞いたときはショックでしたが、香織の好きな気持ちは何も変わってません。僕は香織から生きる喜びと幸せをもらったんです。だから僕も香織に幸せをあげたい。二人で幸せになりたいんです。この気持ちをわかってもらいたく今日はお父さんに会いにきました。」
僕はお父さんに思いをぶつけた。するとお父さんは、
香織の父:「・・・そうか。君の思いはわかったよ。だがこれだけは言っておく、付き合うからには香織に悲しい思いだけはさせないでくれ!香織にはこれ以上つらい思いはさせたくないからな!
それと・・・
香織にもしも何かあったら一番つらい思いをするのは君だということを忘れてはいけない。いつでも覚悟だけはしておきなさい。」
僕はおとうさんが交際を認めてくれたことは嬉しかったが、最後に言った“覚悟”という言葉が、頭の中で重く伸し掛かっていた。
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