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(前回の続き)
「痛っ・・・」
僕の顔面はひどく腫れあがっていた。
すると母が言った。
「もう大丈夫そうだからいくわね!私はまだ仕事があるんだから。
おとなしく寝てるのよ!」
そういうと母は病室から出ていき、隣りにいた看護婦も病室を離れた。
すると香織が僕にメールを見せた。
香織:[もう本当に大丈夫?痛むところはない?]
僕はうつむき少し黙り込んでいた。
そして僕はメールを入れた。
拓人:[香織。前に俺は香織を守るって言ったけど、守れなかった。
もしあのまま警察が来なかったら香織はどうなってたかわからない。
それを考えると恐くてしかたないんだ。
俺は自信が無くなった。
香織にあんな思いをさせてしまった俺は最低だよ。]
香織はすぐに返事をした。
香織:[バカなこと言わないで!拓人は守ってくれようとしたじゃない!
私は拓人といられるだけで幸せなんだからそんなこと考えないで!]
拓人:[その幸せがつらい思い出に変わってたかもしれないんだぞ!守ろうとしても守れなかったら意味がないんだよ!
香織、少し一人にしてくれないか?]
香織:[今は一緒にいたい!拓人と離れるのは嫌!]
そして僕はメールで一言書いたんだ。
それを見た香織は涙を流し手話で、
「ソンナタクトハキライ」
と言うと、走って病室を出ていった。
僕の最後のメールにはこう書かれていた。
拓人[俺達、別れた方がいいのかな。]
香織につらい思いをさせてしまった。
香織のお父さんとの約束を僕は破ったんだ。
だけどこれ以上つらい思いをさせる訳にはいかないと考えた僕は「別れ」という言葉が頭に浮かんだ。
香織の気持ちも考えずに・・・
それからの僕は、心に大きな穴が空き、あの3年前のどうしようもない僕へと戻りつつあった。
そして次の日、僕の体の傷はたいしたことはなかったので退院することが許された。
昨日香織が病室を出ていったきり、香織からのメールは来なかったが、僕からも送ろうとはしなかった。
これでいいんだと頭の中で何度も言い聞かせたが、僕の頭からは香織の存在が消えることはなかった。
病院を出るとき看護婦さんは僕にあるものを渡した。
それは無残にも、血の色に染まってしまったあのインディアンのTシャツだった・・・
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