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(前回の続き)





香織:[つらい思い?私の為?拓人自身が恐がってるだけじゃない!!
どうして前を向いて歩いていこうとしないの!?
もう私を守れる自信がないから?
拓人は一生そうやってウジウジして生きていくつもりなの?]

香織は涙を流しながらそのメールを僕に見せた。

香織の言っていることは当たっていた。
僕自信があの事件以来、恐がっていたんだ。
あの場面が何度も頭の中に浮かんで、怒りよりも恐怖が僕を苦しめていた。

すると香織が続けてメールをしてきた。

香織:[私ね、介護の仕事をすることにしたの。
最近、体の調子も良いし、お父さんに頼んで紹介してもらったんだ。
耳が聞こえないから手伝いぐらいしかできないけど・・・。
拓人。それでも私は前を向いて歩いてるんだよ。裕也くんとも約束したからね。
今の私は何があっても、生きてるだけで幸せって思えるんだ。
ねぇ。拓人の幸せっていったい何?]

僕はメールを返した。

拓人:[香織と・・・一緒にいること・・・]

香織:[私も拓人といるとすごい幸せだよ。
たしかにつらいことは何度もあった。
拓人と出会う前は些細なことで落ち込んで、精神的におかしくなる時だってあったけど、あの日拓人と再開してからは、拓人がいるだけで心の支えにもなったし、幸せも感じた。
体も良くなってきてるような気がするの。
それだけ私にとって拓人は大きな存在なんだよ!
私のこと嫌いになったんなら仕方ないけど、自分を責めて前を向くのを恐がっているだけなら早く立ち上がってよ!
もうそんな拓人は見たくない!]




香織のメールは僕の心を動かせた。

そうなんだ。
僕は気が付けばいつも、狭くて日のあたらない暗い場所に身を隠していた。

たげど思い出した。

香織と出会ってからの僕は餌を与えられた魚のように生き生きとしていた。
僕にとっても香織という存在は無くてはならない存在だと確信したんだ。

僕は香織にメールをした。

拓人:[香織。聞いてほしい話しがあるんだ。
俺には昔、妹がいた。
名前は菜美。
妹のくせに俺よりしっかり者でたまに説教もたれやがるんだ。
だけどすごく可愛くてクラスでも人気者だったらしく自慢の妹だった。
小学生だった頃の俺もやんちゃな方で明るい性格だったんだよ。
でもある日、俺が小学六年生で菜美が四年生のとき、菜美は車に跳ねられて死んだ。
いつもの時間、いつも通りに通学していただけなんだ。
菜美は忘れ物を取りに家へ戻ろうとして、俺の目の前で跳ねられたんだ。
菜美は即死だった。
さっきまで笑顔で話していた菜美が変わり果てた姿で道路に横たわっていた。
ぴくりとも動かずに・・・。
俺と一緒にいたのにも関わらず、菜美を守ってやることができなかった。
それから俺は学校へ行かなくなったんだ。
何度か精神病院に通わされたが、それでも心が癒されることはなかった。

香織ごめんね。長いメールになっちゃって。もう少しだけ聞いてほしいんだ。

そして俺が中学二年のときにやっと学校に通い始めた。
しかし誰にも心を開かない俺には友達なんてできるはずもなく、いつも孤独と戦っていたんだ。
それは香織と出会う日までずっと続いてたんだよ。
公園に行ってた理由も、家にいればそんなことばかり思い出して死にたくなる日もあった。
だから何もかも忘れる為に公園に通っていたんだ。
でも香織と再開して、俺は変わっていった。香織といると嫌なことはすべて忘れられるし、本当に香織がいてくれるだけで幸せだったんだ。


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