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(前回の続き)
五十嵐さんは今年で28才。普段はトラックの運転手をしている。
階級はフェザー級だが、ボクシングには他にも、
ミニマム級、ライトフライ、フライ、スーパーフライ、バンダム、スーパーバンダム、フェザー、スーパーフェザー、ライト、スーパーライト、ウェルター、スーパーウェルター、ミドル、スーパーミドル、ライトヘビー、クルーザー、ヘビー、
と、こんなにもたくさんの階級があって、2キロ違うだけでも階級が変わってくるんだ。
五十嵐さんは今日、日本フェザー級チャンピオンとベルトをかけて戦うらしい。
今日は五十嵐さんの彼女さんも来ているらしく、実はこの試合に勝っても負けても、結婚を考えているみたいだ。
香織にもその話をすると、“素敵ね”と羨ましそうにメールで言っていた。
そして試合が始まり、僕達は五十嵐さん応援した。
しかし・・・
その試合で五十嵐さんは、ベルトを手にすることはできなかった・・・
判定負けで惜しくも破れたんだ。
どっちが勝ってもおかしくない試合だったが、4ラウンド目でダウンを取られたのが致命傷だった。
五十嵐さんはリングを下りるとき、応援に駆け付けていたみんなに手を合わせてごめんのポーズをとると、彼女さんが泣いて五十嵐さんと抱き合った。
するとどこからか、観客の拍手が沸き上がり、その声援の中、五十嵐さんは控え室へと戻っていった。
それを見ていた僕と香織にも胸になにか熱いものを感じた。これは実際見た人にしかわからないかもしれないが。
香織は僕にメールをした。
香織:[試合負けちゃったけど、すごくいい試合だったね。なんだか涙がでちゃった。]
拓人:[うん。ちょっと悔しいけど、いい試合を観させてもらったよ!]
香織:[拓人もいつかはあのリングの上に立つのかな?]
拓人:[それはわかんないよ。まだプロテストも受けてないし、俺がどこまでできるかもまだわかんないから・・。でもあそこに立って香織と勝利した瞬間を一緒に味わいたいなぁ。]
香織:[その瞬間を期待しないで待ってます〓笑]
拓人:[バカっ!!期待しろっ!笑]
それから一ヵ月後、五十嵐さん達は無事に結婚式を迎えた。
僕と香織も結婚式に呼ばれ、二人を祝福をした。
試合に負けてしまったが、この時の二人の笑顔を見ていると、本当に幸せそうだった。
僕には五十嵐さんが立派に見えるんだ。
五十嵐さんがなぜボクシングを始めたのか聞いたことはないが、僕も今の五十嵐さんのように胸を張って、香織と結婚したい。
試合の結果など関係ない。
たとえ負けようがあんなかっこいい試合をした五十嵐さんに僕は憧れたんだ。
僕もいつかきっとこんな日が来ることを信じていた・・・
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