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(前回の続き)





次の日から仕事と練習の日々がまた始まり、ボクシングの方は僕の試合の相手が次々と決定していった。

だが僕は負けることはなかった。

スーパーフライ級としてデビューしてから無傷で4連勝を勝ち取ったんだ。その内の三勝はKO勝ちだった。
会長やジムの仲間も一緒になって喜んでくれた。
もちろん香織もだが。

勝つたびにボクシング界では、僕のウワサは少しづつ広まっていった。
でも、ここまで勝利をものにできたのも、香織が欠かさずに応援にきてくれたおかげなんだ。
香織の前では、何がなんでも倒れはしないという強い意志が僕にはあった。
練習のときも香織にもらったシューズを履き、血の滲むような練習に耐えた。
香織はずっと僕のそばで応援してくれていたんだ。

そうして僕はC級ボクサー(4回戦ボーイ)からB級ボクサー(6回戦ボクサー)へと昇格し、それからの試合でも僕は驚異的な強さで相手を倒した。



しかし、次の試合であの事件は起こったんだ・・・


その試合に勝てば、僕はA級ボクサーに昇格でき、日本タイトル(日本チャンピオン)も狙えるようになる試合だった。

試合直前、僕は控え室でウォーミングアップをしていた。
試合のときは、普段着けている香織にもらったブレスレットを外さなければいけない。
無くしてはいけないので、そのブレスレットは僕の二つ折りの財布の間にいつも挟んでしまっておくんだ。
この日も香織はいつものように僕の試合に駆け付けてくれていた。
その頃の香織はもうジムのみんなと溶け込んでいて、マネージャー的な存在にもなっていたんだ。
それに会長にも気に入られているみたいだった。

そして試合の時間が来ると、僕はリングへと上がった。
今回の相手はなかなかの強者らしく、ほとんどの試合をKOで勝ち上ってきた男で僕にボクシングスタイルがよく似た選手らしい。
そんな噂を聞いていたが、なぜか試合前は緊張もなく、戦うことにワクワクさえしていた。

そして僕はいつも試合が始まる前にリングから香織を探して位置を確かめる。
そして勝利した後は必ずリングの上から香織に向かって二回心臓の上を叩き、拳を突き立てるのが恒例だった。


カンッ!!


するとゴングがなり試合が始まった。

噂通りに今日の相手は今までの相手とは違い、スピードもあり、いくらパンチをしてきてもそのスピードは落ちることはなかった。
だが僕も負けてはいない。体力、持久力も鍛え上げてきた僕は1ラウンド目から殴り合いを真正面から受けて立った。

2R、3R、4R目になっても一向に決着はつかず、お互いの顔面は膨れ上がっていた。
一瞬の隙で決着がついてしまうボクシングの試合では、集中力は半端なものではない。
周りの声援など耳に入らないほど集中している。

そしてとうとう最後のラウンドまで戦いは続いた。
お互い試合開始から全力で打ち合っていたので、体力は残りわずかしかなかった。
僕をここまで、追い詰めた選手は今までいなかったかもしれない。
それほどの強敵だった。
最後のラウンドは、もう何も考えず、ただボクシングを楽しんでいた。


カンッ!!


そして試合は終わり、判定へと持ち込まれた。


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