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(前回の続き)





5年前・・・




香織の母は言った。

「香織の病室に遊びに来ていた男の子いたでしょ?
名前はたしか、えーっと・・・裕也くん!
あの子・・・昨日の夜に突然亡くなったそうなの。」

由里は言った。

「えーっ!!
それほんとなの!?信じられない・・・
お姉ちゃん、きっと落ち込んでるよ・・・」

「そうねぇ・・耳が聞こえなくなってから、誰にも心を開かなかった香織が、唯一、裕也くんだけには笑顔を見せていたもんねぇ。」

「お母さん。ちょっと心配だから、私お姉ちゃんのところに行ってくるね!」

「気をつけるのよ!」

「はーい。」

由里は病院へと足を運んだ。


スーー(ドアを開ける音)

「お姉ちゃん入るよー?」

「お姉ちゃん?」


由里は泣いている香織を見た。
香織はベッドの上で、裕也くんにもらった手紙を手にし、悲しみに暮れた様子でその手紙を何度も読み返していた。

由里はそれを見て、香織にどう接すればいいのかわからなかった。


しかし、その心配を余所に、香織は次の日から元気を取り戻していき、退院するまで回復した。
裕也くんの手紙の力で。


それから数ヵ月後、少しづつ元気を取り戻していた香織に、由里は“二人で旅行へ行こう”と香織を誘った。
それは由里が考えた、香織にしてやれる最高のプレゼントだった。
当然、香織もそれには賛成だった。


そして行き先は“韓国”に決まった。
三泊四日のツアーでそれほど値段も高くなく、なんといっても韓国料理を味わえるのが決め手となった。


旅行当日、楽しみにしていた旅行だったが、当日になって少し香織は不安になっていた。
耳の聞こえない香織には当然だった。

しかし香織はその時こう思った。

“韓国に行ったらどっちにしろ言葉が通じないし、むしろ聞こえない方が気楽でいい”

そう思うと香織の不安はいつの間にか消えていた。


そして飛行機に乗り、韓国(ソウル)に着いた二人は、ガイドに従ってツアー客と一緒に旅を楽しんだ。



そして旅も中頃、ソウル市内で自由時間をもらった二人はお土産を買うために、店を回った。

ふと、路地の中に目をやった香織は、ある看板に気が付いた。
そこには日本語で、

“占い 日本語できます”

と書いてあり、日本観光客をターゲットにした占い専門の店だった。

興味を持った香織は、由里の手を引っ張りその店の中に入った。

その中は狭く薄暗くて、辺りからはお香の匂いが漂っていた。
すると奥から少し擦れた声で、

「イルラセー」

という声が聞こえ、中から60才ぐらいの老婆が顔を出した。

由里は言った。

「あの・・・日本人なんですが、日本語でも大丈夫ですか?」

すると老婆は慣れない日本語で言った。

「あー大丈夫。日本の方もよく来られます。」

「あの、占ってもらいたいんですか?」

「わかりました。そこに座ってください。」


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