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    労働安全衛生基礎教育授業 19
   過労死を授業で教えるうえできわめて重要なことを多くの専門家から教えていただいた。そのひとつは「安全配慮義務」ということである。 少しながくなるが、2000年2月25日に岡村親宣弁護士のご協力で京都府立高等学校教職員組合の労働安全衛生学習会で講演していただいた記録集 弁護士岡村親宜さんの講演記録を紹介させていただく。過労死根絶のために!!
 
 特別権力関係では民間と同一の公務員の生命・健康を
  保護すべき義務はあり得ないという
 二審の判決は間違っていると 最高裁

 どういう法理論かというと、

「国は公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置、管理または、公務員が国もしくは上司の指示の下に遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(これを安全配慮義務という)を負っていると解すべきである」

という結論を出したのです。

 「もとより、右の安全配慮義務の具体的内容は、公務員の職種、地位及び安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によって異なるべきものである」

が、

「国が不法行為規範の下において、私人に対して生命、健康の責務を持っているほかは、いかなる場合においても、公務員に対し安全配慮義務を負うものではないと解することはできない」

と判示しました。

 つまり、「特別権力関係では、民間と同一の公務員の生命・健康を保護すべき義務はあり得ない」という二審の判決は間違っているということをここでいったわけです。

    当事者の一方または双方が相手方に対して
信義則上負う義務として一般に認められるべきもの

 その理由は何かというと判決は

「右のような安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて、特別な接触、社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として、当事者の一方または双方が、相手方に対して信義則上負う義務として一般に認められるべきものであって、国と公務員との関係においても、別異に解すべき論拠はない」

と言いきったのです。
 ここには

「契約関係にある当事者だけに、信義則が適用される」

とはいってない。

 「ある法律関係に基づいて、特別な社会的接触の関係に入った当事者間には適用される」

ということです。
 公務員の場合についていうと、任命行為によって勤務関係が発生します。
 だから、契約関係ではないのです。
 公務員の勤務関係を、上告理由のように、雇用契約関係類似の関係だというような判断は一切していません。
 それが任命行為によって結ばれる法律関係であっても、

「ある法律関係に基づいて、特別な社会的接触関係に入った当事者間」

であればいいのだということです。

   地方公務員の場合も国家公務員の場合も
 つまり、任命行為によって身分関係が発生する

 だから、地方公務員の場合も国家公務員の場合も、つまり、任命行為によって身分関係が発生する関係についても、これに該当するというのです。

    「安全配慮義務」は法的な義務であり
 労働者の生命及び健康等を危険から保護するよう
「配慮する法律的な義務がある」
    というところまで認めた最高裁

 どういうことかというと、この最高裁判決は民法は公法ではなく、私法です。
 そして信義則は私法、公法共通の原理・大原則であることを認めたということです。

 信義則を定めている民法1条2項は私法ですが、これは民法だけに適用があるという規定ではなくて、私法・公法を通じる法律原理・大原則として適用があるということを認めたということになるわけです。

 だから、契約関係があるかないかではなくて、公務員の勤務関係を含めて、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触関係に入った当事者間には、信義則に基づいて「安全配慮義務」が認められるというのです。

 「安全配慮義務」は、法的な義務であり、労働者の生命及び健康等を危険から保護するよう「配慮する法律的な義務がある」というところまで認めているのです。

 努力義務ではありません。
 
 だから、これに違反したら事業者の労働者に対する債務不履行になる。
 つまり、義務違反の行為になる。
 そうすると、民法415条に「債務不履行」という規定があるのですが、契約関係を含めた債務の不履行は、全損害の賠償責任があるということになります。 

 したがって、八戸駐屯地事件でいうと、自衛隊員がバックして車輌整備員を轢いたという行為そのものについて、

「安全配慮義務」

が成立するから、もともと公務員の勤務関係は特別権力関係であって、そういうものは成り立たないといった判決は間違っていると言うことになるのです。

 これは公務員の関係の判例ですが、民間の場合も公務員も同じ理由で、当然「安全配慮義務」があるということになります。

 そういうことで、1975(昭和50)年2月25日の判例によってこれが認められるようになったわけです。
 
   安全配慮義務違反があれば
  労働者は当然損害賠償請求権を有している

 したがって、これ以降についてはどういうことがいえるかというと、民間の場合、安全配慮義務違反が事業主の側にあれば、あるいは地方公務員や国の場合、国あるいは地方公共団体に安全配慮義務違反があれば、労働者は、当然損害賠償請求権を有しているということになります。

 では、どういう場合が安全配慮義務違反になるのか。この事件の判決では具体的には何も言っていません。

京都・教育福祉労働安全衛生
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