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内容と外観の美しい調和

真の創造は、たとい最悪の苦悩を
代価として贖(あがな)われようとも、
なお喜びにほかならないのだ
(みすず書房『ロマン・ロラン全集【23】』所収
「ベートーヴェン 偉大な創造の時期
エロイカからアパッショナータまで」佐々木斐夫訳 P59)


フランスの作家ロマン・ロランの自筆草稿である。用紙2枚の表裏にベートーヴェンに関するメモが書かれている。1928年にサブリエ社が出したロランの著書『ベートーヴェン 偉大な創造の時期 エロイカからアパッショナータまで』の豪華版の付録として頒布されたもの。小さな文字で早書きされており全文の解読は難しい。

ロランの友人だった詩人ルネ・アルコスの出版社サブリエは、豪華版の出版に力を入れた。ドイツ・フランス文学者で詩人の片山敏彦は、サブリエ社の豪華本について次のように綴っている。

「内容と外観とのあいだにうつくしい調和があって
見飽きずまた読み飽きない」「(※ルネ・アルコスは)
自分の出版した本の特製本のうち第一冊は著者の分とし、
そして第二冊は自分の一人息子の分として取るのであった。
大層うつくしい箱入りで、その箱には厚紙でできた袋がついていて、
この袋の中に著者の原稿が一枚か二枚はいることになっている。
これはなかなかおもしろい習慣だと思った」
(片山敏彦文庫の会「片山敏彦文庫だより【6】」P12〜13)


草稿が入った本書のシリアルナンバーは5番。ロランの自筆署名もある。本文内に多数の図版が挿入されているだけでなく、ベートーヴェンのハイリゲンシュタットの遺書の複製や、本書内に使用されている木版画の抜き刷り、堅牢な函も付属する。華美な豪華さはないが、片山が評したように「内容と外観とのあいだにうつくしい調和」がある一冊だ。


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