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人生の道づれへのオマージュ

「ロマン・ロランがなしとげた最高の偉業は
人と人とを、心と心を結びつけたことである」
(宮本正清の言葉 P233)


本書はロマン・ロラン協会にゆかりの21人が綴った、ロランへのオマージュである(目次はこちら)。人生を正面からとらえたロランの作品群は、社会のあらゆる階層に読者を持つ。本書には執筆者の略歴が書かれていないが、文面から幅広い職業・年代のロラン愛読者が筆を執ったことが察せられる。「今日の政治状況のなかでロマン・ロランはどのような存在であるのかをロランの日本の読者一人一人に問いかけてみた」(蜷川譲氏「あとがき」P234)、その成果といえよう。

寄稿者の1人である宮本徹さんは、

「イデオロギーは人を動かす原動力である。
しかし、科学的な探求の下で生み出されたイデオロギーも、
時代・環境の変化にともなう絶えざる点検、探求を放棄したとき、
教条的な信仰と化すものである」(P45)

と綴っている。どんな真理を含む思想・信条も、固定化されてしまえば、やがてドグマへと変質してしまう。ロランという存在も例外ではないだろう。彼から得た学びを血肉とし、自らの人生で再創造していくことが、ロランの精神を継承していくことにつながるはずだ。その意味で本書の寄稿者たちは、ロランを生涯の〝道づれ〟とし、実際に彼の言葉を生きてきた弟子であり、真の友といえるかもしれない。

ロランの作品を読むと、「幼年期の夢想、尊大、家庭の温かさ、友情、恋愛、愛の喜びと離反、生活の苦労、社会の不条理、抵抗、革命、歴史、……すべての世俗的なるもの、世俗を超越したものを事前に知ってしまいそう」(志田道子さん P145)になる。錯覚にすぎないのだが、精神的な助言者としてロランほど親しみを覚える存在はない。ロランを読んでほしいとの思いが強いあまり、若い読み手の減少を嘆く向きもあるが、人生に悩む人々がいるかぎり、ロマン・ロランは読み継がれていくはずだ。ロランの言葉が散りばめられた本書は、そのきっかけになり得るだろう。


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